私が勤めていた運送会社は3代目の時に倒産。倒産した時に本当の社長の評価が分かりますね。実際に体験して感じました。本当にイイ人の場合は誰も何も言いませんが、頭に来て黙っていた場合、こう言う時に爆発するんです。「〇〇専務が~」って上司に言ったら「専務とちゃう。タダのオッサンや」って言って怒られた。そう「タダの」ってなった時が怖いですね。

 私の3代目論。3代目の派手好きには御用心と言いたい。勤めていた会社の社長は兎に角派手なことが好き。

 初代は戦前から運送業を始め、戦後組織的に発展させた苦労人。会社組織となてからも相談役として周りからの人望が厚く、お亡くなりになった後でも評価が高かった。2代目が会社組織にして初代社長として君臨しましたが、見かけは怖そうでもお金にはキレイという係長の評価がある通り、周りの人望は厚かった感じがします。実際、運送のネットワーク化に出来たのは初代と2代目の努力のお蔭だと思うのです。

 3代目は大学は関西のお金を出せば卒業出来ると言われている大学を卒業。結婚式はプロゴルファーや芸能人を呼んで派手にやったと代々(当時、社長は40歳ぐらいなので変な言い方かもしれませんが)言い伝えられていました。 テレビCMを流したり、チャリティーゴルフの番組のスポンサーになったりしていましたが、会社は火の車。私が入社して融資と資金繰りのことが経理の仕事になっていて、本当の経理の仕事はメチャメチャでした。そんな時でも「パリ~モスクワ~北京ラリー」に2回もチームスポンサーとして出場。第1回目はモスクワがエリッツインの革命の為にパリ~ダカールラリーへ出場させられましたが、部門別2位(だったと思う)という好成績で、2回目も完走で上位へランクインした記憶があります。

 会社が大きくなる時には必然的に資金繰りが厳しくなるものですが、当社の場合、無理をしたことと、組織が未熟だったことが祟って、倒産の遠因にもなったと思われます。もし3代目がシッカリしていてさえいてくれれば、今頃私も役職につけていたかなぁと思うのですが・・・

 イギリス元王妃、ダイアナの恋人のドディ・アルファイドの父、モハマド・アルファイドは中東の武器商人で、イメージを払拭するために、息子のドディを映画プロデューサーの道へ、ハロッズ(イギリスの老舗百貨店、王室御用達)の買収、元王妃をファミリーへ・・・こういう図式の上で2代目が3代目に磨きをかけているような感じがするのです。それと甘さと厳しさの境界線がないことも原因のひとつかもしれません。苦労をさせていないことも一因かも。

 でも、一番の原因は「常識がないこと」かもしれません。元社長は、会社が傾いたと誰もが実感できる時に車を売却することにしました。ベンツを売り、レンジローバー(新車)を購入。結果は高くついてしまい、社員から大顰蹙を買うことになりました(陰のことなので本人は何一つ御存じないと思われます)。額は違えど、もう少し資金繰りが良かった頃は秘書が経理部にきて「明日休みだから・・・」と課長と係長に言って、現金が底をついている金庫から10万円を持って言った時には腹が立ちましたね。私が見たのは1度きりでしたが、心から「やめて、そんなこと」って思いました。決算書はキレイな数字が並んでいましたが、実際は不明朗な仮払いだらけ。何時の間にやら「顧問」と呼ばれる先生が増え、先生達はテキトーなことばかり言って、事態は打開できず。

 こうやって私が約4年間勤めた会社はなくなりましたとさ。