俺の好みのタイプ……“家庭的な子”。
謙也さんの好みのタイプ……“無邪気な子”。
……だったはず、なんやけど。
「すまん財前、今日は鍵当番やから遅れるんやけど」
「ああ、別にええっすよ。待ってます」
ふわふわした金髪を揺らしながらせっせと部誌を書く、俺の恋人。俺は携帯をいじりながらそれを眺める。
他の部員はもうとっくに帰ってもうた。つまり、部室内に二人っきり。
――付き合うようになって、毎日一緒に弁当食うたり帰ったり、そんなことはしてるけど未だに手もつないだことがない俺たち。
どんだけ健全なお付き合いやねん、なんて心の中でぼやいても相手に聞こえる訳がなく。
「活動報告、いつもと同じ。連絡事項、白石の絶頂がうるさいてオサムちゃんがぼやいとったで……」
ぶつぶつと呟きながらシャーペンを動かす恋人、謙也さんをじっと見つめた。
「……謙也さんて、料理とかできます?」
「何やねんいきなり。あんまり得意やないけど」
「やっぱり」
待つことが嫌いなこのアホなスピードスターは、きっと手間暇かかる料理は作れないだろう。
それはわかっていた。片づけも苦手そうだし、何でもかんでも早く済まそうとして、全て雑に終わっていそうだ。
「じゃあ、俺ってどんな性格やと思います?」
「えぇー?…………無愛想、無表情、無関心?」
「酷いすわぁー俺今むっちゃ傷つきました」
「ごっつ棒読みやん」
謙也さんは“家庭的”とは程遠く、俺に無いのは“邪気”ではなく“愛想・表情・関心”ときた。
俺は、好みのタイプとは関係なく謙也さんが好きだって言い張れる。けれどそれは、謙也さんの方はどうなんだろうか。
本当に、俺でいいのだろうか。
未だに手をつなげられないのも、大した進展がないのも、そんな考えが頭の中を流れていくせいだ。
「……ほんま、ヘタレやわ」
「誰がヘタレや!!」
あんたに言うたんとちゃいます。
そう言おうと思って、やめた。
代わりにため息をひとつ。あからさまにむくれる謙也さんの頬をつついた。
ふしゅ、と膨らんだ頬から空気が抜けるのが間抜けで面白い。
思わず声を出して笑うと、つられるようにして謙也さんも笑う。
――あったかい。
「……なあ、財前」
「何ですか」
「俺、お前がそうやって無邪気に笑った顔が、むっちゃ好きやねん」
突然の告白。
めったに「好き」だと言ってくれない謙也さんが、俺の笑顔が無邪気だと言って、笑った。
俺は固まったまま、返事も返せずに呆けた顔をしているのだろう。
謙也さんは「変な顔しとるで」と言って俺の頭を撫でてくる。
「…………俺も、」
「へ?」
するりと。頭を撫でる謙也さんの手をとって、自分の方へ引き寄せる。
自然とお互いの体も近くなる。謙也さんの顔は俺の目の前。
「謙也さんが笑った顔が、一番好きや」
静かに笑って、愛しい恋人へそっと口付けた。
――――――
昨日に引き続き光謙小説!
何がしたかったのかよくわからなくなったorz
ヘタレなくせにたまに男前を見せる謙也と、謙也の無意識の行動に引っ張られる財前とか可愛いと思いますってことです←
たぶんこの後財前は真っ赤になった謙也に怒られます
でも照れ隠しなのが見え見えなので謙也は逆に財前にからかわれます
