私が先端恐怖症になったきっかけは、絶対あれだと思う。


幼稚園生だったときの、逆さまつげの手術


大人になった今、見聞きしたところでは、小さい子の逆さまつげの手術は全身麻酔、というではないか。
私の場合は、局所麻酔だった。それははっきりと覚えている。

その日は、ズボンをはいていた。
秋の日。駅から眼科まで、歩道に落ち葉が積もっていた。晴天。

目を開けたまま、麻酔を打ってもらわなければならなかった。
右目に向かってまっすぐ降りてくる、長い注射針。
麻酔は、上のまぶたと、下のまぶたに、何箇所も打たなければならなかった。

このテキストを打ちながら、手のひらがちりちりと嫌な感触を生み出している。
アタマの裏側に映し出される記憶のイメージには、極力注意を払わないよう、モニターと自分の手元に集中しなければならない。


アメリカに来て困ったこと。
皆、鉛筆のお尻についたちゃちな消しゴムを使っている。トンボのMONO消しゴム、みたいな、単独で消しゴムとして機能するものは、あまり目にしない。

字を消すときは、鉛筆の尖ったほうが上を向く。
卒倒しそうになった。何度も。

つい近年も、会社勤めをしていた頃、同僚が私との会話中に、シャーペンのお尻の消しゴムの部分を、とん、とん、とん、と机に打ちつけているのを見て、腰が抜けた。
シャーペンの先が、こっちを向いていたから。
あわてて自分の椅子を引き寄せながら、あたし何やってるんでしょう、と思ったね。

きっと、分かってもらいにくいんだろうな。

指差されるのも、嫌です。
お箸を振り回す人も、嫌です。

自分の子供にお箸の使い方を教えながら、ひっくり返りそうになった。
眼鏡をかけようとして、つるの部分を直視してしまってパニックになり、眼鏡がかけられなくなったこともある。
化粧に慣れるのには、大変な努力を要した。

フェンシングなんか、絶対お断りです。はい。