(BL妄想/SN/磁石妄想小説)

*季節は冬の日本の年末です*

 

 

<side 翔>

 

 薬を飲んだのに。

 

「全……然……熱が下がらねえ……」

 

体温計は、39.8度。

 

参ったなあ。

 

ベッドに潜り込んで、ため息がでた。

 

仕方なく旅行は、さっきキャンセルした。

 

スマホからキャンセル出来て良かった、声もあんまり出ないし。

 

物凄く前から、良い宿を予約したのになあ。

 

取り敢えず、水を思い切り飲んで寝るしかないか……。

 

シーンと静まった部屋。

 

いつもと同じなのに、こんなに頼りなく寂しい感じが漂っていて、落ち込みそう。

 

ニノ、どうしてるかなあ。

 

俺、いつ会ったっけ?

 

この風邪、ニノに感染させるわけにいかないから。

 

早く治さないと、会えないじゃん。

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

玄関のインターホンが鳴った。

 

「……?」

 

薬のせいか、眠っていたみたい。

 

 

 

「……いいや、放っておこう……」

 

熱と頭痛でそれどころじゃない……。

 

何度か鳴るインターホンの音。

 

無視してると、電話が鳴った。

 

表示された名前の文字は、ニノだった。

 

「あれ?」

 

慌てて電話に出る。

 

「どうした? なんか有った?」

 

「しょ……翔くん!」

 

絶叫されて、驚いた。

 

「ニノ? 何か……」

 

「今、今、大丈夫なの? 熱あるんでしょ? 今、マンションの玄関なっ……なんだけど……!」

 

なんか、ゼエゼエ言ってる。(?)

 

慌てて、オートロックを開ける。

 

動くとクラクラするけど、ニノが心配で、玄関まで急いで行くとドアを開けた。

 

すると玄関のドアから、ニノが泣きそうな顔で入って来た。

 

「翔くん!」

 

胸に飛び込んで来たのを、受け止め切れずに座り込む。

 

「ご、ゴメン! 翔くん……」

 

「いや……何か有った? そんな顔して……」

 

頭が回らない。

 

「翔くんが心配で来たの!」

 

胸に華奢な体を抱きしめたまま、動けない。

 

「何で……心配なの? ……」

 

「翔くん! 好きだからでしょ? 熱っ! 体すごい熱いよ! 何度あるの?」

 

ああ、熱ね。

 

でも、その前の言葉が嬉しくて、思わずキスしてしまう。

 

めっちゃ、可愛いニノ。

 

涙目で、俺に必死で抱きついてくる。

 

何度もキスして……しまった。

 

ニノに風邪が……。(もう遅い)

 

 

 

 

 

「きゃあっ……翔くんっ……」

 

そのまま、俺は、ぐったり動けなくなって倒れてしまった。

 

 

 

 

つづく

 

 

 
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