（BL/ON/大宮妄想）
改めて投稿しました（ごめんね〜）
（11）
手紙の通り、二宮君の会社からの講演会の依頼が来た。
これって、どうしたら良いのか。
俺が、もうすぐ死ぬなら、二宮君と会っちゃいけない気がする。
二宮君が、あんな手紙を書くほど悲しむなんて……可哀想だ。
考えながら、机の引き出しを開ける。
二宮君の手紙を出そうとして。
「あっ……やばい」
引き出しが、引いた勢いで落ちてしまった。
「ええっ、そんなに強かったかな」
引き出しの中身が、床に散らばって。
「……？」
１通だけ、封を開けていない手紙があった。
「二宮君から？ え？ ここにどうして？」
この机は、ポストを作って余った木材で作ったものだ。
潤が言ってた『いい木』？
まさか……？ 慌てて、手紙の封を切った。
『大野智様
俺を信じてくれるなら、運命を変えることができます。
俺に会わないで。恋人にはならないで。
もし、なったなら貴方は、2020年のX月X日の飛行機事故で、死んでしまいます。
14時30分に羽田を出る便です。
行き先は、ローマです。
どうか、この飛行機に乗らないでください。
そして、俺を忘れて下さい。
二宮和也』
手紙を読んで、やっと分かった。
「こういう意味だったんだ……」
しばらく考えて、二宮君の会社に電話する。
「すみません……今回の講演会は、遠慮させて頂きたいのですが……」
講演会は、断った。
「さあ、奇跡はこれからだ」
運命を変えるんだ、俺のためだけじゃない。
もう、二宮君を悲しい目に合わせたくないから。
――――――
本当の出会いの時期は、ずらした。
また会えるとは限らないけれど、きっと色々なことが変わるはず。
そのせいなのか、俺の前からは、潤がいなくなっていた。
スマホにも、連絡先の会社にも、彼のいた形跡が消えてしまっていたんだ。
彼の正体は、わからないままだ。
手紙に書いてあった飛行機は、確かにエンジントラブルの事故が起こったけれど、誰も死ななかった。
「やったー！」
そのニュースに、一人でガッツポーズを取った。
俺だけじゃない、たくさんの命がこれで助かったんだ。
それから、たくさん絵を描いた。
必ず、二宮君に会える。
俺に出会う前じゃない、手紙をくれた二宮君に出会える気がして来た。
運命の日は、その翌年になった。
俺は、気が付くと結構な売れっ子画家になっていたんだ。
「待ってろよ、二宮君」
――――――
2021年10月
改めて、二宮君の会社から講演会の依頼が来て。
担当は、二宮君らしかった。
今日は、二宮君に出会うはず。
運命の人は、俺の運命を変えてくれた。
俺は、去年死んでるはずの男だ。
……だから、今日会う二宮君は、初めて会う二宮君じゃないと思う。
きっと、運命が変わった、手紙をくれた二宮君だ。
ずっと会いたくて、ずっと恋して来た人。
なんだけども。(・∀・) ……………………。
「申し訳ありません！ すぐ担当の二宮が行きますのでお待ちください！ すみません！ お待たせして！」
俺のアトリエに来るはずだったのに、待てど……暮らせども……二宮君は来ない。
「俺、間違えたかな？」
会社に電話すると、めちゃくちゃ謝ってくれた。
「いいえ、大丈夫です。ずっと、お待ちしてますから」
そうなの。
もうさ、何年も待ってるの。
俺は、待ちくたびれたさ。
前にも、スマホ落としてたしなあ。（可愛かった）
会うのが楽しみ。
一人で、気持ち悪く笑ってたら、インターフォンが鳴った。
猛ダッシュで、玄関に行き。
でも慌てて、落ち着く。
俺、一応、初対面の男だもんね？
＊＊＊＊＊＊＊
「貴方が、二宮和也さん？ 初めまして」
「大野さん、初めまして……」
一応、初対面だから、まともな挨拶をする。
二宮君は、他人行儀な俺に一瞬だけ悲しそうに瞳が揺れる。
変わらず美人で、華奢な体に、揺れる瞳も可愛いまま。
少しやつれて、泣き腫らしたような目。
俺に、初めましてと言いながら、手が震えてる。
間違いがなかった、きっと手紙をくれた方の二宮君だ。
とりあえず、早る気持ちを隠して。
座ってもらって、お茶を用意する。
お茶を持って戻ると、二宮君が涙ぐみながら、部屋を見回している。
俺の絵を見て、驚いた顔でその絵の前へ。
そうなの。
その絵は、君なんだから。
「ずっと、見てたんだ。やっと会えたね」
「どういうこと……？」
俺は、二宮君がくれた手紙を出して見せた。
「ずっと、会うのを我慢したんだ。運命を変えたくて。2021年なら、無事に会えるかもって」
「本当……？ 俺のこと分かるの？ 知ってるの？」
震えて上手く声も出ない二宮君をそっと抱きしめた。
「ねえ、俺は君を信じたよ。だから、俺のこれから話す奇跡のことも、信じてくれる？ ……ニノ」
「大野さん……っ！」
二宮君を抱き締めて、運命が変わった事を実感した。
「会いたかったよ……ずっと」
「俺も……もう会えないと思った……」
初めて会うけど。
初めてじゃない、きみと俺。
不思議な恋の奇跡だ。
これからは、もう悲しませないからね。
何から話せば良いんだろう。
君が、見せてくれた奇跡は、これからの奇跡を呼んでくれたんだ。
闇の中にいた君と。
君の顔の見えない夜明けにいた俺。
……かわたれどき（彼誰時）の終わりだった。
やっと……二人の新しい日が、はじまる。
愛する人の顔を、窓からの光が綺麗に照らして。
俺は、もう幸せな予感だけで、胸が一杯になったんだ。
それは……かわたれどき（彼誰時）
目を瞑って想うのは、ただ貴方のこと。
どこからか……流れてくる音楽のように、
溢れてくるこの気持ち。
この気持ちも、音楽のよう。
また会えた貴方を、ただ想う。
ただ、愛して愛されて。
I wish you nothing but happiness.
「ニノ……やっと会えたね」
もう、離れないからね。
＜end＞
七夕でもあるので。
21時にオマケのイチャイチャ💙💛up
すぐアメンバー限定にしますので、
アメンバーじゃない方は急いで読んでね。