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*恋するアンドロイド

シーズン2「おもちゃの天使」

 

 

(3)last

 

櫻井マスターの言う通り、ニノが新しいチップを使うことは無くなった。

 

大野が、辛そうなニノに言ったからだ。

 

「必要な日だけ、このチップを入れて使おう? ね?」

 

「はい……」

 

 

 

こうでも、提案しないとニノは我慢してでも使おうとする。

 

櫻井は、こうなる事がわかっていたようだ。

 

大野とニノが、櫻井にモニター越しで、そのことを伝えた。

 

櫻井は、微笑んでそうですか、と言っただけだった。

 

 

 

すっかり、落ち込んでいるようなニノ。

 

二人で、綺麗な湖に来たのに、浮かない顔のアンドロイドだ。

 

 

 

「ニノ、ここ、綺麗だね。綺麗って分かる?」

 

「綺麗……わかります。光ってるとか、明るい色とかです」

 

「そうだね、ニノの心も、とっても綺麗なんだよ?」

 

「心ですか? 私の心臓が、光ってますか?」

 

「心臓は見えないよ、見えないものが、大切なんだよ」

 

「見えないものですか?」

 

「ほら、ニノを好きな俺の気持ちは見えないだろう? でも分かるだろ?」

 

「はい♡分かります」

 

「そうなんだよね、分かるって見えるのと違う。ニノの綺麗な気持ちが、俺は分かるんだ」

 

「よく、私は分かりません。どうやったら分かりますか?」

 

「綺麗な気持ちは、いつも相手のことを考えてるから。分かるかな?」

 

「うーん……難しいです」

 

 

 

眉間に皺を寄せて考える顔が可愛くて、大野は笑いだす。

 

「分かるようになるし、わからないままでも、俺は良いよ」

 

そう言って、ニノを抱きしめた。

 

「どんなニノも好きだからね」

 

「私もです、私もご主人様が、全部好きです」

 

 

 

ニノは大野と見る景色は、どれも綺麗なのだと初めて気が付いた。

 

必ず、綺麗なものを指して教えてくれる。

 

「綺麗だよ」って。

 

綺麗なものをたくさん教えてあげたいと、大野はいつも言っていた。

 

「ご主人様……綺麗が好きですか?」

 

「ん? そうだね」

 

 

うさぎ。。。。

 

 

 

 

 

ニノは、アンドロイドで、自分の美醜は分からない。

 

だが、大野に好かれたくて、綺麗になりたいと考え始める。

 

素直なアンドロイドは、また改造申請を出そうとして、今度は大野に怒られた。

 

 

「整形なんてっ! どうして?」

 

「き、綺麗にしたいですっ」

 

「綺麗じゃん!」

 

「ひ、光ってないし……それに」

 

「それに?」

 

「綺麗になったら、セッ◯スしてくれますか?」

 

「えっ……」

 

「綺麗になったら、してくれるかもって思います」

 

 

 

アンドロイドは、また、おかしな情報を、何処かから読み取ったらしい。

 

結婚した二人だが、大野の思いやりで、二人はまだキス止まりだった。

 

 

 

「それは……」

 

「綺麗になっても、ダメですか?」

 

ウルウルした瞳で、聞かれて困ってしまう。

 

「じゃあさ、俺のこと、ご主人様じゃなくてサトシって呼んでよ」

 

「えっと、サトシ?」

 

「ふふ、そう。その方が嬉しい」

 

「はい、そうしたら?」

 

「呼んでくれたら、考えるよ」

 

 

 

その日から、『サトシ』『ニノ』と呼び名が変わり、また近づく二人でした。

 

でも、もう少し。

 

体も夫婦になるには、早いと大野は考えている。

 

ニノの心が育つまで、大野は待たせるつもり。

 

本当は、大野が1番待っている。

 

 

 

「サトシ、まだダメですか?」うさぎ

 

「そうだなあ、そのうちね」ニコニコ飛び出すハート

 

大野の心も、誰より綺麗だった。

 

 

 

「綺麗を教えて」<end>

 

 

 

キラキラニコニコ 綺麗な綺麗な二人の心のお話でした。ラブラブラブラブラブラブ