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*恋するアンドロイド

シーズン2「おもちゃの天使」

 

 

(2)

 

ニノを造ったアンドロイド開発者で、その分野のトップ・櫻井翔

 

彼にニノの改造を願うと、即、断られてしまったのだった。

 

 

 

 

「どうしてダメなんですか?」

 

モニターに映る櫻井の厳しい顔に、ニノは固まっているので、代わりに大野が聞いてあげる。

 

「アンドロイドは、基本的に主人を守る役目があります。暑さ寒さで気を取られては、役目に響きます」

 

「そうなんですか……」

 

ニノが、がっかりした顔をするので、大野はちょっと可哀想になった。

 

「簡単に、感覚を試すのは出来ませんか? ニノ、俺と同じ感覚が体験してみたいようで」

 

「ニノ、そうなんですか?」

 

櫻井がモニター越しに尋ねると、恐る恐るニノが返事をする。

 

「はい……ご主人様と一緒になりたいです」

 

「どうして、そう思いましたか?」

 

「みんなと同じように、ご主人様と暑いねとか言ってみたいです……寂しいです」

 

 

それを聞いて、櫻井は微笑んだ。

 

『寂しい』が分かるのは、高性能の証でもある。

 

 

 

「なるほど。随分と成長したようです。感情豊かになるのは素晴らしいことです」

 

「じゃあ……」

 

「そうですね、お試しにチップを入れてみましょう。でも、多分要らなくなると思いますけど」

 

なんだかクスクス笑う、櫻井マスターである。

 

「い、要りますっ! ありがとうございます!」

 

嬉しそうに、ニノが返事をして可愛らしくジャンプした。

 

大野とニノが顔を見合わせて、微笑んでいるのを見て、櫻井も嬉しそうに笑う。

 

 

 

「良いですか? 辛くなったらすぐ外すんですよ? 大野さん、無理させないでくださいね?」

 

「はい、わかりました」

 

この櫻井の言葉は、すぐ理由がわかることになった。

 

 

 

「すごく、暑いっ暑いですうっ……」

 

アンドロイドは、極端に暑さ、寒さに弱いようだった。

 

炎天下だったが、倒れるほどではない気温。

 

だが、チップを入れて初めて感じる感覚に、ニノは大混乱だ。

 

散歩の途中で、座り込んでしまった。

 

「え、おまえ……大丈夫?」

 

「苦しいです……どうしてご主人様は、平気ですか?」

 

「慣れてるからかなあ? 歩ける?」

 

「うっ……」

 

「仕方ないなあ、ほら、おいで」

 

大野が、ニノを軽く背中に、おぶってくれた。

 

「情けないです……ご主人様に迷惑かけてます……」

 

背中で……ぐすぐす子供のように泣く、アンドロイドだ。

 

 

 

「迷惑じゃないよ、俺らは夫婦だろ?」

 

「夫婦は、良いんですか?」(シクシク)

 

「良いんだよ、迷惑じゃない。二人で一人前なんだから」(笑)

 

 

 

実際のところ、高性能すぎるニノは、人間に近い分、ポンコツである。

 

完璧に近づけば、それは不完全になっていくのかもしれない。

 

大野とニノの生活は、夫婦というよりも、親子のようだった。

 

ニノを背負って歩きながら、大野が聞く。

 

 

 

「ニノ、俺が好き?」

 

「大好きです、全部好き」

 

「俺も。俺も、ニノが大好きだよ? だからもう泣かないで」

 

「はい……」

 

 

 

でも、その言葉が嬉しくって、アンドロイドは……また泣くのだ。

 

高性能で、ポンコツなアンドロイドは、とても愛らしい。

 

 

つづく。

 

 

 

 

ニコニコ素晴らしい進化こそ、不完全で不安定で。キラキラ