＊嵐妄想小説
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＊SFファンタジー
＊大宮妄想（＋翔くん）潤翔妄想
＊お話の全てはフィクションです。
＊恋するアンドロイド
シーズン２「おもちゃの天使」
（１）
「ご主人様……？ 寝ましたか？」
そうっと、ベッドで眠る主人の顔を覗くアンドロイドの男の子。
「……よし。頑張ろう」
コソコソと、寝室を出ていくアンドロイドを、眠ったふりした主人が目で追う。
「……何してるんだろ？」
主人が眠ってると思い込んでるアンドロイドは、後ろも振り返らずにパソコンや大きなモニターのある部屋へ。
その後ろをのんびり、主人である大野智が付いて行った。
――――――
「えーっと」
小さな頭を傾げながら、モニターの前でパソコンと戦うアンドロイド。
「こうかな？」
どんどんキーを押してるみたいだが、エラー表示ばかりで。
「困った……」
「何が困った？」
「きゃああっ」
思わぬ声に、アンドロイドは、飛び上がって驚いた。
椅子から転げ落ちて、床へ座り込んだ子に大野が笑う。
「もう、何してるんだよ、ニノ」
そっと、手を引いて立たせてやった。
「な、何もしてません……」
大きな大画面には、エラーの文字が光っている。
「何のエラー？」
「わ、わかりませんっ」
「嘘つく子は、悪い子だぞ？」
うっと詰まって、アンドロイドのニノは、考えながら言う。
「わ、悪い子は、離婚しますか？」
「へ？ ふふっ……はははは♡……」
思わず声を出して笑ってしまう大野だが、ニノは真剣だった。
「わ、私と別れますか？ 私は捨てられちゃいますか？」
涙ぐむ顔に、微笑んで大野が言う。
「ニノが悪い子でも、良い子でも別れないよ？ 安心して？ おいで？」
「うっ……」
両手を広げた、主人で夫の大野の胸に飛び込むと、ニノがグスグス泣き出した。
二人は、人とアンドロイドの夫婦である。
「う、嘘ついて……ます……ごめんなさい……」
「うん、どうしたの？ なんでも言って？ ね？」
「か、改造……してもらおうと……思いました……」
「改造？ どこを？」
「あの……暑いとか、寒いとか、お腹空いたとかです……」
「え？」
「ご主人様と一緒……なりたいです」
ニノは、痛いというのはわかる機能があるが、寒い・暑いは、その体（機械）の危険が迫らないと感じない。
痛みは即、機能（命）に繋がるので、最優先。
他のほとんどの感覚は、機械には不要な感覚だからだ。（セクサロイドなので、恋人としての機能や感覚はある）
食べなくて生きていけるのだから、感じる理由がなかった。
それなのに、大野に内緒で、ニノは改造申請を出そうとしたようだった。
だが、主人の生体認証が足りずエラーになっていた。（アンドロイドだけでは、承認されない）
「どうして？ 改造したくなったの？」
小さな子供に話すように、大野は微笑んで聞く。
「この間、寂しかったから」
「いつ？」
「パーティで」
「ずっと、俺の隣にいただろ？」
「でも、私だけ分からなかったです……みんな、一緒に美味しいとか、暑いとか言ってました」
確かに、そんな言葉が飛び交っていた気がするけど。
「ああ……寂しかったの？」
「はい……、一緒……なりたい」
「ニノ」
大野は、ぎゅっとニノを抱きしめた。
夫の大野のことで、この子の頭の中は、いっぱいなのだ。
「ニノは可愛いなあ」
「？ 可愛い好きですか？」
「ニノの可愛いは、好きだよ」
「えへへ……嬉しい」
「でも、良いんだよ？ このままでさ」
「でも……」
寂しそうに、可愛いニノの瞳が揺れるから。
「うーん、どうしたら良いか、櫻井さんに聞いてみようか？」
「はいっ♡」
きっと開発者で、ニノを作った優しい櫻井なら、良い答えをくれるはず。
そう思ったのに、返事は意外なものだった。
モニター越しに、大野とニノが相談したのだが。
見たことが無い厳しい顔で、櫻井が言った。
「それは、ダメです」
つづく。
櫻井マスターは、優しい。大野さんも、いつも優しい。ニノちゃんの傍は優しいひとばかりです。