*嵐妄想小説
*BL小説
*大宮妄想・潤翔妄想
*SFファンタジー
*男性妊娠出産可能な世界
*お話の全てはフィクションです。
⑤
side 二宮和也
朝になって、目が覚めると。憑き物が落ちたようだった。
まだ熱が高くて、怠かったけど。
体を駆け巡った、シーズンの発作も収まっていて、ホッとした。
心配したようなこともなく終わったのが、奇跡のように思えた。
先生と一緒に病院へ行って、血液検査をしてみたら、色々と副作用で体が悲鳴を上げていた事もわかった。
一人暮らしで、抑制剤が無いのは、怖かったから。
先生がしばらく、家においてくれることになった。
「大野先生……ごめんなさい……」
「謝ることないよ、櫻井君も泊まってたし。ゆっくりして? 二宮さんは、自分を追い込みすぎだよ」
大野先生は、初めて会った日の失礼も、昨日の発作についても、俺を責めることは無かった。
「追い込むって……?」
「二宮さんは、すごく……そうだなあ。真面目で貞操観念が、人より強いんだと思う」
優しく笑って、俺の手を握ってくれる。
あんなに、この人の言葉にイラついたのも、嘘のようだった。
「シーズンて、ちゃんと恋をすると、普通の人だってくるんだよ? 名前が無いだけで」
「名前がない?」
「ほら、普通の人は、365日がシーズンなんだ。好きになったり、欲求不満だったり。理由は、いろいろでさ」
「はあ……」
「それにシーズンて、最近の研究じゃ、好みの相手にしか欲求が起こらないって、言われてるんだ。昔、みんな暴走してたのは、抑制剤反動や他の副作用もあったらしいし」
「……そうなの? でも、翔ちゃんはいつも、外にも出ないでいるけど」
「それは……彼氏の独占欲が強いんじゃない? 薬の効果も個人差があるから、なんとも言えないけど」
「そう……なんだ」
「薬って、どんなものも所詮毒なんだ。二宮君は多分、シーズンが怖くて多めに服用し続けたから。気分もいつも落ち込んでたんじゃない? 鬱になるケースも多いんだ。血圧なんかも無理矢理下げたりするし」
「確かに……いつも暗いことばかり考えてた気がする……」
「薬を、一度全部やめて、食事やスポーツで、健康を維持できるようにしよう? きっと上手くいくよ。手伝うし」
「本当? 手伝ってくれる?」
「ああ、もちろん」
狭い世界で、小さな考えで、何年も閉じこもっていた俺は、何も気が付かなかった。
世界も、薬も、俺たちも、毎日が進化してる事に。
何よりも、人の言葉に反発ばかりして暮らしてた。
大野先生は、俺の人生を、一気に明るく照らしてくれて太陽のよう。
「これから、一緒に頑張ろうね?」
先生の言葉が、嬉しくなった。
********
ん?
ちょっと待って?
じゃあ……あの日の発作で、俺が先生に迫ったのは……。
え……っと。
それに、久しぶりのシーズンが起こったのは、大野先生に会ってすぐだ。
………………え?
……俺は……生まれて初めての恋に気がついて……呆然とした。
続く
幸せが見えてきたニノちゃんです。