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side 二宮和也

 

朝になって、目が覚めると。憑き物が落ちたようだった。

 

まだ熱が高くて、怠かったけど。

 

体を駆け巡った、シーズンの発作も収まっていて、ホッとした。

 

心配したようなこともなく終わったのが、奇跡のように思えた。

 

 

 

先生と一緒に病院へ行って、血液検査をしてみたら、色々と副作用で体が悲鳴を上げていた事もわかった。

 

一人暮らしで、抑制剤が無いのは、怖かったから。

 

先生がしばらく、家においてくれることになった。

 

 

「大野先生……ごめんなさい……」

 

「謝ることないよ、櫻井君も泊まってたし。ゆっくりして? 二宮さんは、自分を追い込みすぎだよ」

 

大野先生は、初めて会った日の失礼も、昨日の発作についても、俺を責めることは無かった。

 

「追い込むって……?」

 

「二宮さんは、すごく……そうだなあ。真面目で貞操観念が、人より強いんだと思う」

 

優しく笑って、俺の手を握ってくれる。

 

あんなに、この人の言葉にイラついたのも、嘘のようだった。

 

 

「シーズンて、ちゃんと恋をすると、普通の人だってくるんだよ? 名前が無いだけで」

 

「名前がない?」

 

「ほら、普通の人は、365日がシーズンなんだ。好きになったり、欲求不満だったり。理由は、いろいろでさ」

 

「はあ……」

 

「それにシーズンて、最近の研究じゃ、好みの相手にしか欲求が起こらないって、言われてるんだ。昔、みんな暴走してたのは、抑制剤反動や他の副作用もあったらしいし」

 

「……そうなの? でも、翔ちゃんはいつも、外にも出ないでいるけど」

 

「それは……彼氏の独占欲が強いんじゃない? 薬の効果も個人差があるから、なんとも言えないけど」

 

「そう……なんだ」

 

 

「薬って、どんなものも所詮毒なんだ。二宮君は多分、シーズンが怖くて多めに服用し続けたから。気分もいつも落ち込んでたんじゃない? 鬱になるケースも多いんだ。血圧なんかも無理矢理下げたりするし」

 

「確かに……いつも暗いことばかり考えてた気がする……」

 

「薬を、一度全部やめて、食事やスポーツで、健康を維持できるようにしよう? きっと上手くいくよ。手伝うし」

 

「本当? 手伝ってくれる?」

 

「ああ、もちろん」

 

 

 

狭い世界で、小さな考えで、何年も閉じこもっていた俺は、何も気が付かなかった。

 

世界も、薬も、俺たちも、毎日が進化してる事に。

 

何よりも、人の言葉に反発ばかりして暮らしてた。

 

大野先生は、俺の人生を、一気に明るく照らしてくれて太陽のよう。

 

「これから、一緒に頑張ろうね?」

 

先生の言葉が、嬉しくなった。

 

 

 

********

 

 

 

ん?

 

ちょっと待って?

 

じゃあ……あの日の発作で、俺が先生に迫ったのは……。

 

え……っと。

 

それに、久しぶりのシーズンが起こったのは、大野先生に会ってすぐだ。

 

………………え?

 

……俺は……生まれて初めての恋に気がついて……呆然とした。

 

 

 

続く

 

 

 

笑ううさぎ飛び出すハートキラキラ幸せが見えてきたニノちゃんです。