*嵐妄想小説
*BL小説
*大宮妄想・潤翔妄想
*SFファンタジー
*男性妊娠出産可能な世界
*お話の全てはフィクションです。
④
side 大野智
不意に始まったシーズンと薬の副作用で、パニック状態の二宮さんを、思わず抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫だよ」
ゆっくり、焦らずに、背中をトントンと叩きながら。
腕の中で、二宮さんは子供みたいに、泣きじゃくってる。
その色気は、はっきり言って、慣れてる俺でもヤバかった。
白い首筋も、涙も、興奮して赤くなった頬も。
体の全部が綺麗で、艶かしい。
違う誰かだったら、間違いなく彼を襲ってると思う。
必死に理性と戦って、優しく背中や髪を今度は、撫ぜてあげる。
「大丈夫、大丈夫」
念仏のように、声をかけながら、途中からは自分へ声をかけてた。
大丈夫じゃ無いけど、大丈夫。
俺は、二宮さんを襲ったりしないぞ。
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side 二宮和也
なかなか、興奮が収まらなかったから。
大野先生が、安定剤をくれるけど。
体が思うように動かない。
困った先生が、……俺の口に薬を入れてくれた。
「飲める?」
先生の指が、唇に触れるとゾクゾクする。
震えて飲み込めない。
コップの水も溢れて飲めなかった。
「ごめんね……ちょっと我慢してね?」
先生が、口移しで水を飲ませてくれて。
我慢できなくて、先生の舌に自分の舌を絡めていく。
「んんん……」
驚いた先生が逃げようとするのに、それを許せなくて強く抱きしめる。
……どうしよう。
したくて……たまらない。
されたくて……されたくて。
しばらくの間、唇を離せなかった。
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side 大野智
……しまった。
シーズンを抑えるのに、飲ませた薬が効く前に、刺激してしまった。
専門の医者なのに、ありえない大失態だった。
二宮さんは、もう正気じゃない。
こんなに激しい発作を現実に見るのは、初めてだった。
しかも、二人きりの部屋で。
……流石に、辛い。
こんなに綺麗な人に、縋り付かれるなんて。
なけなしの医者のプライドを必死に思い出す。
患者に手を出すなんて、最低なんだからなっ……。(泣)
ああ、いっそ、普通の会社員になりたいなんて、一瞬思ってしまう。
「二宮さん。深呼吸して? ゆっくり目を閉じようか?」
「うん……」
涙をこぼしながら、やっと目を瞑ってくれた。でも。
「ねえ……触って?」
色っぽい声で、囁かれてしまう。
「……10数えるからね? 10数えるからゆっくり、息をしようか。いち……にい……さん……」
二宮さんが眠ってくれるまで、拷問のような甘い時間が過ぎていった。
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side 二宮和也
嵐のような時間が過ぎて。
大野先生の優しい声で、眠りに落ちた。
優しい優しい声と、大きな手は、安心できた。
俺は、狂う自分が怖かった。
でも。
いつか、自分じゃなくなることは、あっても。
先生のように、優しくしてくれる人がこの世にいる。
そう思ったら……。
嵐のような発作が、小さくなって、消えていったんだ。
続く
大野先生、カッコいいですね〜。