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*お話の全てはフィクションです。

 

 

 

side 二宮和也

 

 

松本さんから逃げて、大野先生の所にいた翔ちゃん。

 

俺と松本さんとで、連れて帰ってきたけど。

 

大野先生が言ってたように、まだ不安定な翔ちゃん。

 

二人にしてしまって、大丈夫かな……。

 

でも。

 

松本さんと翔ちゃん、二人の問題だったから。

 

 

 

「じゃあ、何かあったら連絡してね?」

 

「うん、ありがとう……ニノ」

 

松本さんの横で、翔ちゃんは寂しそうに、黙っていた。

 

「翔……大丈夫?」

 

「うん……」

 

「じゃあ、俺たち帰るよ」

 

運命の恋人たちなのに。

 

仲だってとっても良いのに。

 

恋も結婚も、何もかもが、大変そう。

 

 

 

俺は、その姿を見て改めて思った。

 

「絶対に……俺は、結婚しないからな」

 

寂しいなんて、大した問題じゃない。

 

……たぶん。

 

 

 

*********

 

 

朝になって、ゾクゾクすると思ったら、熱が出てきてた。

 

体温計は、38度2分。

 

「結構あるなあ……」

 

まあ、日曜日で予定も無いし。

 

「しまった……買い置きが何も無い……」

 

普段から、料理なんてしないから、家には何も無かった。

 

「熱が上がる前に、買い物に行っておこうかな……」

 

 

こんな時、一人なことを痛感する。

 

辛いとかは、無いんだけど。

 

一生このままなんだなって……思う。

 

 

「……暗いことは、考えないぞ」

 

頭をゆるく振って、弱気な考えを振り払った。

 

こんなことじゃ、長い人生やっていけない。

 

 

 

*********

 

 

 

スポーツドリンクに、缶詰とパン。レトルトのお粥や色々。

 

結構買ってしまったから、荷物は重かった。

 

いつものスーパーが閉まってたから、無理して遠出したのは……失敗だったかも。

 

だんだん、苦しくなってきた。

 

「熱が上がってきたかな……」

 

寒くてたまらない。

 

目を開けてるのも、辛くなってきた。

 

 

 

もう歩けない。

 

 

 

駅の花壇のそばに座り込む。

 

ゼエゼエいう息を何とかしようとするけど、上手くいかない。

 

途方にくれて、顔を上げた時だった。

 

 

 

すぐ前の横断歩道に停車した車から、誰か出てきた。

 

「君っ? 具合悪いの? 大丈夫?」

 

大声で、近寄ってくる。

 

「あ……大野先生?……」

 

翔ちゃんの担当医師の大野先生。

 

肩をそっと、掴まれた。

 

「あれ……二宮さん? 大丈夫?」

 

掴まれた肩から、電流が走ったようだった。

 

一気に体が熱くなって……。

 

何かが、突き上げてきたよう。

 

「先生……」

 

そのまま、俺は大野先生に抱き付いていた。

 

 

 

*********

 

 

 

やっと意識がはっきりした頃、俺は大野先生の家の布団に寝かされていた。

 

「大丈夫? いつから熱があったの?」

 

俺の頭を、冷たい氷枕で冷やしながら、優しく大野先生が聞いてくる。

 

「気がついたのは……今朝です……」

 

考えたら、寝る前も怠くて、寒かった。

 

「風邪ひいたかなって……」

 

 

 

大野先生は、困ったように眉を下げて、微笑んだ。

 

「二宮さん……シーズンは、久しぶりなのかな?」

 

「え……?」

 

「これは、シーズンの症状だよ」

 

驚いて、すぐ言葉が出なかった。

 

 

 

「抑制剤……飲み過ぎなんじゃ無いかな? 健康なのに飲み過ぎみたいだから、副作用が出てると思う」

 

「薬……効かなくなったの?」

 

怖くて、体が震える。

 

抑制剤が効かないなんて、どうしよう。

 

巨大な不安感が一気に襲ってくる。

 

「どうしよう……」

 

「大丈夫、心配しすぎ。それが副作用に影響してる」

 

「でも……効いてないんでしょう?」

 

 

 

感じたことの無い絶望感だった。

 

体が震えて、涙が溢れてくる。

 

「泣かないで……大丈夫だから。お薬を変えてみよう? 明日病院で、ちゃんと診てあげるから」

 

先生の言うことが、気休めにしか思えない。

 

 

 

「薬が効かなくなったら……もう生きていけない……」

 

自分が、自分じゃ無くなってしまう。

 

知らない誰かに、抱かれるかも知れない。

 

それも……自分から誘って。

 

 

 

「絶対に……やだ……」

 

想像が悪夢のように襲ってきて、悲鳴を上げた。

 

 

 

続く

 

 

うさぎあせる本当にサプリのニュースとか怖い。分かっていない副作用って世の中には多い気がする。お薬って二面生があるものだから。治してくれるけど毒でもあって怖いですね。

このニノちゃんは、多用しすぎたせいの体調不良でもあります。泣