*嵐妄想小説
*BL小説
*大宮妄想・潤翔妄想
*SFファンタジー
*男性妊娠出産可能な世界
*お話の全てはフィクションです。
②
side 二宮和也
松本さんは、翔ちゃんを探して回るけど。
見つからないから俺も一緒に、探すことになった。
「松本さん、心当たりとか無いの?」
「うん。翔は初めてシーズンが来てから、友達関係は全部、疎遠になってる。俺が……怒ったり、心配するから」
気まずそうに、松本さんは俺の顔を見ないように、元気なく言った。
「そうか……」
シーズンが来ると、何が起こるか分からないし、まだ時期のコントロールは難しい。
俺みたいに一人なら良いけど、相手がいると、抑制剤も使うのは難しすぎるから。
「やっぱり……俺のせいかな……」
「松本さんは、悪くない。仕方ないよ」
松本さんの立場からしたら、恋人を縛るしか無くなってしまう。
シーズンが来ると、誰に盗まれてもおかしくない。
相手は強烈なフェロモンに惑わされてるせいだし、恋人が誰かについて行ってしまうのも、仕方の無いよくある事だった。
それを止めるには、恋人以外と接触しないこと。
もしくは、同じ体質の者(俺みたいな)とだけ、行動すること。
同じ体質で、気心の知れた人間なんて少ないから。
付き合いがあるのは、俺と翔ちゃんの二人と、松本さんと、あといるとすれば……。
「松本さん、お医者様には聞いたの?」
「あ……そっか! 電話する!」
***
考えた通り、専門外来の担当医師の所に、翔ちゃんは匿って貰っていた。
医師の家まで迎えに行くと、翔ちゃんがしょんぼり座っていた。
「いやあ……良かった。迎えに来てくれて。いくら言っても帰らないって言うし」
「大野先生、お世話になりました」
医師は、明るいまだ若い男性だった。
大野智という人だ。
「翔……帰ろう?」
松本さんが優しく言うと、翔ちゃんは子供のような顔で、頷いた。
「あの、多分……シーズンが近いと思うので、不安感が強く出たんだと思います。安定剤を用意したので、持って帰ってください」
大野先生が、優しく松本さんに説明した。
俺は久しく無いけど、シーズンが来るのは、不安でしか無い。
自分が自分じゃなくなる怖さは、本人しか分からない。
松本さんもそうだろう。
シーズンが来ると、いつも家へ閉じこもるようにしてるって、聞いたことがある。
松本さんたちと、帰ろうとすると、大野先生が話しかけてきた。
「あなたが、二宮さん?」
「はい」
「櫻井君が、たった一人の友達だって言ってましたよ。優しい良い方だって」
「いや……その。そうですか……」
なんて言っていいか分からない。
俺は今、きっと困った顔をしてる。
「俺も、貴方は良い方だと思います」
ニコニコして言われて、……イラついた。
「何も知らないのに、適当なこと言わないでくれる?」
「え?」
「失礼します」
先生が、どんな顔になってるか、それすら見たく無かった。
こういう能天気な感じで物を言う奴が一番苦手……いや、大嫌いだったから。
「何も知らない……か」
大野先生の呟きは、届くことはなかった。
続く
恋人たちは大変だし、ニノちゃんも。優しい大野先生が運命を変えてくれます。