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*お話の全てはフィクションです。

 

 

 

 

side 二宮和也

 

 松本さんは、翔ちゃんを探して回るけど。

見つからないから俺も一緒に、探すことになった。

 

 

「松本さん、心当たりとか無いの?」

 

「うん。翔は初めてシーズンが来てから、友達関係は全部、疎遠になってる。俺が……怒ったり、心配するから」

 

気まずそうに、松本さんは俺の顔を見ないように、元気なく言った。

 

「そうか……」

 

 

 

シーズンが来ると、何が起こるか分からないし、まだ時期のコントロールは難しい。

 

俺みたいに一人なら良いけど、相手がいると、抑制剤も使うのは難しすぎるから。

 

「やっぱり……俺のせいかな……」

 

「松本さんは、悪くない。仕方ないよ」

 

松本さんの立場からしたら、恋人を縛るしか無くなってしまう。

 

シーズンが来ると、誰に盗まれてもおかしくない。

 

相手は強烈なフェロモンに惑わされてるせいだし、恋人が誰かについて行ってしまうのも、仕方の無いよくある事だった。

 

それを止めるには、恋人以外と接触しないこと。

 

もしくは、同じ体質の者(俺みたいな)とだけ、行動すること。

 

同じ体質で、気心の知れた人間なんて少ないから。

付き合いがあるのは、俺と翔ちゃんの二人と、松本さんと、あといるとすれば……。

 

「松本さん、お医者様には聞いたの?」

 

「あ……そっか! 電話する!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

考えた通り、専門外来の担当医師の所に、翔ちゃんは匿って貰っていた。

 

医師の家まで迎えに行くと、翔ちゃんがしょんぼり座っていた。

 

 

 

「いやあ……良かった。迎えに来てくれて。いくら言っても帰らないって言うし」

 

「大野先生、お世話になりました」

 

医師は、明るいまだ若い男性だった。

 

大野智という人だ。

 

 

 

「翔……帰ろう?」

 

松本さんが優しく言うと、翔ちゃんは子供のような顔で、頷いた。

 

「あの、多分……シーズンが近いと思うので、不安感が強く出たんだと思います。安定剤を用意したので、持って帰ってください」

 

大野先生が、優しく松本さんに説明した。

 

俺は久しく無いけど、シーズンが来るのは、不安でしか無い。

 

自分が自分じゃなくなる怖さは、本人しか分からない。

 

松本さんもそうだろう。

 

シーズンが来ると、いつも家へ閉じこもるようにしてるって、聞いたことがある。

 

 

 

松本さんたちと、帰ろうとすると、大野先生が話しかけてきた。

 

「あなたが、二宮さん?」

 

「はい」

 

「櫻井君が、たった一人の友達だって言ってましたよ。優しい良い方だって」

 

「いや……その。そうですか……」

 

なんて言っていいか分からない。

 

俺は今、きっと困った顔をしてる。

 

 

 

「俺も、貴方は良い方だと思います」

 

ニコニコして言われて、……イラついた。

 

 

 

「何も知らないのに、適当なこと言わないでくれる?」

 

「え?」

 

「失礼します」

 

先生が、どんな顔になってるか、それすら見たく無かった。

 

こういう能天気な感じで物を言う奴が一番苦手……いや、大嫌いだったから。

 

 

 

 

「何も知らない……か」

 

大野先生の呟きは、届くことはなかった。

 

 

 

 

続く

 

 

ニコニコ恋人たちは大変だし、ニノちゃんも。優しい大野先生が運命を変えてくれます。キラキラ