*嵐妄想小説
*BL小説
*大宮妄想・潤翔妄想
*SFファンタジー
*男性妊娠出産可能な世界
*お話の全てはフィクションです。
①
甘い甘いキャンディは、いつも苦手で。
口の中にいつまでも、居座る気持ち悪いものだった。
それは、上手くいかなくなった恋にも似ている。
苦手な恋の行為のようで、好きじゃなかった。
でも、突然キャンディが、たまらなく欲しくなる日がある。
それは、シーズン(発情期)に限っての事だった。
フェロモンを撒き散らすせいで、自分や相手も、人格まで変わってしまう。
それが自分でも、嫌で仕方ない。
怖いから、フェロモン抑制剤を貰って暮らして、もう長い。
恋人も不在のまま、このまま一人でいるつもりだった。
*********
side 二宮和也
会社のそばの大通りを歩いていると、大声で呼び止められた。
「ニノ〜!」
「あれ? どうしたの?」
親友の翔ちゃん(櫻井翔)の恋人の松本潤さんだった。
……確か、最近一緒に住み出したはず。
「翔を知らない?」
「え? 松本さんとこじゃないの?」
「……家出した」
「どうして?」
「ケンカした」
「ケンカなんて……めずらしい」
「プロポーズしたら、怒って逃げられたんだ」
衝撃の言葉に、絶句した。
二人は、ものすごく仲が良かったから。
*********
世界中が不妊になるのと、人の体が変化するのは、同時だった。
女性たちは、妊娠を拒み出し、そんな中で男性も、遺伝子から変わっていった。
人類の意思とも言える変化は、まだ途中経過の真っ最中。
男性の数の半分が、子宮を持って産まれるようになった。
男性の子宮はまだ未発達だったけど。
生まれた時からキチンと病院に通い、ホルモンのコントロールをすれば、子宮が育ち子供を産めるようになった。
だけどそれは、男性のまだ半分で。
俺や翔ちゃんは、その半分の性だった。
男であり、女でもある。
まだ未発達の性を持つ俺たちには、シーズン(発情期)がある。
シーズン(発情期)が来ると暴走する事があって。(ホルモンのせいなのか、他の薬のせいなのかは、まだ不明)
世間では、望まない妊娠も多かった。
特別なフェロモンを出すせいで、自分に近付いて、感化された相手も狂わせてしまう。
思春期に突然来たシーズンで、怖い思いをしてしまった俺は、一生誰とも付き合いたく無かった。
結婚も、恋人も、まして妊娠なんてしたく無かった。
でも、翔ちゃんは。
初めてのシーズンの相手が松本潤さんで。
それが運命の相手のように、上手くいってたはずだった。
「どうして、怒ったの?」
「分かんないんだよ……結婚して子供作ろうって言ったら、泣いて怒っていなくなった」
「そう……」
俺は、何も言えなかった。
俺と翔ちゃんしか分からない、この複雑な気持ち。
でも松本さんの気持ちも分かるから、何も言えないんだ。
*********
今では、特別な事じゃない。
男性の半分は、男性と結婚して妊娠して出産もできる。
ただ、男性の出産率が上がると、女性の妊娠出産率が下がっていく。
結局、出産率は変わらなくなる。
出生率を維持するために、国や世界は男性の出産を応援してくれる。
でも、古い考えの人達もいて。
シーズンがあるなんて、獣みたいだって結婚も反対される。
何よりも、本人の俺たちが一番思ってる。
「自分達は、何なのだろう」って。
シーズンで変わってしまう自分に、一番嫌悪感のあるのが俺たちだった。
獣……まさに、そう思えて嫌になった。
続く
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これも懐かしいですね。初稿2021年作品。
お誕生日だから書いたお話です。
さらに続編も書いてみたい一つです。(今のところ続編は2まで)
私が書くと、ニノちゃんと翔くんは姫になっちゃいますね。