*嵐妄想

*BLラブコメ

*大宮妄想

*お話の全てはフィクションです。

 

 

 

 

(1)

 

 今日も忙しい青年の名前は、ニノという。

可愛らしい容姿に似合った、可愛らしい響きの名前だ。

 

白くて小さな顔。

潤んだ瞳。

赤い唇は、普段は余計な言葉など出てこない。

大変賢くて上品な青年だった。

 

ニノは貧乏暇なしで、毎日あちこちで働いている。

その彼の前に現れたのは、大金持ちの息子で、サトシという男だった。

 

彼は育ちの良さが溢れている温和な表情と、美しい顔。

上品な佇まいの似合う美形。

女性なら、みな見惚れるだろう容姿だ。

 

だがそんな女性たちを、サトシは全く相手にしない。

貧乏な青年ニノの可憐で華奢な美しい外見を、ひとめで気に入ったからだった。

 

 

 

「……じゃま」

 

「邪魔してないぞ。ほら?」

 

サトシは、両手を広げてくるっとその場で回転した。

 

「邪魔だよっ! どうして行列のそばにずっと立ってんの?」

 

サトシが立っているのは、ニノがホットドックやコーラを売るキッチンカーの前。

ニノの可愛らしさに惹かれて、買いに来てくれた人たちが、10人ほど並んでいた。

 

「お客様が、いなくなったらどうしてくれるの?」

 

「オイラが買ってやるよ、全部。それなら良いだろう?」

 

金持ちの上品な容姿に似合わない「オイラ」は、昔々、幼稚園の先生が褒めてくれたせいである。

 

『あら、オイラって可愛い言い方ね』って。

 

素直で純粋な彼は、今もプライベートは『オイラ』である。

バカバカしいほど、単純な理由であった。

 

 

 

「あ、そう。じゃあさあ、在庫を全部買ってよ?」(意地悪言ったつもりw)

 

「良いよ♬」(ニッコリ)ニコニコキラキラ

 

クレジットカードを出すも、睨まれた。

 

「カードは無理。現金だけ」(冷)凝視

 

「今どき? 面倒だなあ」(困)汗うさぎ

 

「現金ないなら、帰れっ!」(怒怒)ムカムカ

 

「え”ーっ?」(泣)泣くうさぎあせる

 

 

サトシは純粋に好きなのだが、ニノには、その気持ちはまるで通じない。

 

彼はもまた、金持ちへの偏見とプライドの塊の変わった人間だった。

 

 

 

続く。

 

ニコニコ笑