*嵐妄想小説
*BL小説
*お山妄想
*お話は全てフィクションです。
(5)②(物語は師走です)
師走の人がごった返す商店街を抜けたら、大きな魚市場。
駅の前から、人が行列であちこち忙しそうに、散っていく。
翔ちゃんに、美味しいものを食べさせたくて、知り合いに紹介してもらった魚屋さん。
ちょっと贅沢な鍋用のフグと、てっさ(刺身)を取り置きしてもらった。(早朝は、行けそうに無かったから)
今日は二人で、忘年会しよう。
結構立派なクーラーボックスには、お正月用の鯛や数の子、いくらに海老……。
「翔ちゃん、喜ぶかなあ」
可愛い顔を想像したら、嬉しくなった。
美味しいもの食べさせて、元気にしてあげたい。
もうそろそろ、起きてるかもしれない。
スマホを開けたら、LINEに翔ちゃんからメッセージ。
急いで、返信する。
「買い物したから、すぐ帰るね」
*********
LINEが鳴って、智君からメッセージ。
「すぐ帰るね」の文字が嬉しい。
駅まで、迎えに行きたいから、急いで着替え始めた。
寒いから、厚めの上着に、厚めの靴下。
風邪を引いたら、せっかくのお正月休みが台無しだから。
「マスクした方が良いかな」
マスクを探してたら、テレビが事故のニュースを教えてきた。
電車が、事故で止まってしまったらしい。
「智君……大丈夫かな」
帰ってくるはずの駅の沿線。
ここからは、遠い駅の事故だけど、止まったら帰れない。
*********
「うわ……マジか」
事故で、電車が止まってしまった。
バスは、遠いし、荷物は多い。
タクシー乗り場は、ずっと遠くから行列だった。
駅員さんに聞いてる人がいて、聞き耳を立てる。
「多分、1時間くらいだろうって」
……仕方ないから、電車を待とう。
タクシーも1時間以上待ちそうだし。
翔ちゃんにLINEする。
「電車止まった。動くまで1時間くらいだそう。電車が動くの待つよ」
*********
「本当に、電車止まってるのに当たっちゃったのか」
智君のLINEに、ガッカリする。
買い物って、何だろう。
荷物が、重いんじゃないだろうか。
「やっぱり、早く起きれば良かった……」(しゅん)
一緒に起きて、一緒に買い物へ行っていたら、こんなに心配しなかったのに。
冬は、すぐ寒く暗くなるから、気分も暗くなりそうで。
「駅のそばで、待ってようかな」
駅のそばのどこかで時間を潰そう。
5分でも早く顔が見たいから。
*********
「うーん……参ったな」
電車は、確かに1時間で動き出したけど。
乗りたい人が多すぎて、なかなか乗れない。
まだ、改札より外の行列の中だった。
翔ちゃんが、待ってるのに。
早く、喜ぶ顔が見たかった。
続く