*嵐妄想小説

*BL小説

*潤翔小説

*お話の全てはフィクションです。

 






(2)

 

翔は、いつも俺が落ち込んでると朝まで、部屋に入って来ない。

多分、気を使ってるんだろう。

 

俺は俺で。

本当は、一緒にいて欲しいなんて……言えなくて。

仕方なく、一人ぼっちのベッドで過ごす。

 

色々あった恋が終わって、やっぱり俺には無理だと思い知る。

ちゃんと、好きだと思って始まった恋だけど。

しばらくすると、上手くいかなくなるんだ。

 

だんだん、バレてしまう。

月に照らされて、真っ暗な夜に隠した秘密が、相手に見つかってしまう。

 

「付き合ってるのに、片想いしてるみたいで、辛い」

 

そう言って別れようと言われてしまう。

 

知らずに、涙が溢れてしまう。

恋が終わって泣いてるんじゃない。

 

恋が始められなくて、辛いんだ。

叶わない恋は、諦めても仕方ないと思っても終わらない。

 

目の前で、可愛く笑うから。

毎日、隣で眠るから。

俺のことばかり心配してくれるから。

 

手を伸ばせば、触れることが出来るのに。

 

俺は翔が好きなんだ。

きっと生まれた瞬間から。

 

……だって、俺たちは兄弟なんだから。

 

これ以上、近くて遠い恋は、ないと思う。

 

 

――――

 

 

気が済むまで、落ち込んで。

 

夜が終わる気配に気が付いて、リビングにいる翔を迎えに行く。

 

大型テレビの前のテーブル、ペンとスマホを握ったまま眠る俺の兄。

 

可愛くて、愛しい、永遠に触れられない相手だ。

 

 

 

 

「翔、風邪ひくぞ」

 

寒いのか丸くなってる可愛い寝姿に、頬が緩む。

 

うん、分かってるよなんて言いながら、目が開かないらしい。

 

おいでと抱き上げて、ベッドまで運んであげる。

 

 

 

「ちゃんと、布団被るんだよ」

 

「潤……一緒に寝ようよ……」

 

半分寝ぼけながら、冷たい体をくっ付けてくるから、嬉しくなってしまう。

 

 

 

「一緒に寝ようか」

 

温かくて柔らかい体を抱きしめて眠る。

 

 

 

兄だと思ったことなんて、多分1度も無い。

 

 

 

俺には、一番幸せな時間だ。

 

太陽が昇る前の一番暗い時間。

 

月が雲へ隠れたその隙に、そっと眠る瞼と額にキスを落とす。

 

 

 

月にも、太陽にも秘密にしなきゃならない。

 

それは、ただ一つの真実の恋だった。

 

 

 

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