*嵐妄想小説

*BL小説

*お山妄想

*お話は全てフィクションです。

 

 

(2)

 

 月曜日の仕事が終わって、家路を急ぐ。

 

今日は、どうしようかなあ。

 

晩御飯て、智くんは、なんでも良いよって言うけど。

 

料理なんか、しなくて良いからねって、言うけど。

 

「……家で、二人で食べたいんだなあ」

 

スマホの画面を見ながら、久しぶりにスーパーへ向かった。

 

 

**

 

 

LINEで、ニノに聞いてみた。

 

翔:『俺が作れそうなのって、あるかな?』

 

 

♪すぐ、返信が来る。

 

ニノ:『具沢山の豚汁なら、失敗しないと思う。おかずにも、なるし』

 

 

 

「難しそうだけど……」

 

 

結構、大変じゃない? 俺が出来るのって、目玉焼きも危ないんだけど。

 

ニノ:『ちゃんと、具材を切った袋入りも売ってるから。味噌も出汁入りあるよ。でも、だしの素を別に買って、足した方がいいよ』

 

 

「……マジか。出汁なんか、分かるかなあ」

 

実は、米を炊くのも初めてだったりする。

 

ありがとうって、返信してスーパーを1周する。

 

 

 

「本当だ、切った野菜売ってる」

 

でも……美味しいかなあ。

 

皮剥いて、切る位なら……自分でしよう。

 

豚肉、大根、にんじん、もやし……。

あとは、ネギかな?

 

青と白の違いって何?

ゴボウとか、コンニャクとか、俺にはわかんないからパス。

 

お漬物と、玉子に、チーズにパン。あ、バターって、どこのが良いんだろ?

メインは、無理だから、お刺身の盛り合わせだ。

しまった、米がないよ。

味噌って、何味噌?

 

結構な買い物の量になった。

 

智君、びっくりするかな。

 

早く……会いたいなあ。

 

二人で住む家に、急いだ。

 

 

 

********

 

 

 

仕事の打ち合わせが、先方の都合で遅くなった。

 

翔ちゃん、もう帰ってるかも。

お腹空いてるだろうなあ。

どっか、外食にでも……。

 

その時、翔ちゃんから、LINEが来た。

 

翔:『ご飯作って、待ってるよ』

 

「ええっ、嘘っ……」

 

思わず、声が出た。

 

翔ちゃんが、料理って……。

 

怪我してないか、心配になった。

 

とりあえず、走って帰ろう。

 

 

 

********

 

 

 

「ただいまあー」

 

智君が帰って来て、嬉しくって玄関まで、走って行ってしまう。

 

「おかえりっ!」

 

「翔ちゃん、大丈夫?」

 

「へ?」

 

いきなり、両手を掴まれて、調べるようにその手を見る智君。

 

「な……何が?」

 

「……ケガしてないか、心配で」

 

「え? ケガ?」

 

「うん」

 

智君は、大真面目に頷いた。

 

「包丁で、ケガしたら、大変だから」

 

「へへ……優しい。でも大丈夫。野菜切っただけ」

 

 

 

……これって、喜んで良いんだよね?

 

智君は、いつもいつも、すごく優しい。

 

 

 

********

 

 

 

「すごーいい。翔ちゃん、料理するなんて」

 

思ったより、美味しく出来た……はず。

 

料理中は、ビッチリとニノにTV電話しながら、教わった。

 

「豚汁なんて……出来ると思わなかった。習ったの?」

 

「ニノに電話で、教えて貰った」

 

「でも、すごい。一人で作ってくれたんだ……感動した」

 

「あの……豚汁と米、炊いただけだから……」

 

「俺の為でしょ? すっごい嬉しいよ、ありがとう」

 

「あの……美味しいかどうか、分かんないけど、食べて?」

 

 

 

ビールを並べて、お刺身食べて。

 

「豚汁、旨ーい!」

 

「本当、俺が作ったとは思えないっ」

 

二人で、テンション高く、平らげた。

 

 

 

「翔ちゃん、ごちそうさま。ありがとう」

 

「こちらこそ……。あの、昨日は言えなかったから」

 

 

 

昨日は、引っ越しでバタバタして、疲れて終わったから、言えなかった。

 

 

 

「これから、よろしくね、翔ちゃん」

 

智君が、先に言ってくれた。

 

 

 

「俺も、よろしくお願いします」

 

思わず、見つめ合って、笑い合う。

 

 

 

……幸せだなあって、また思った。

 

やっぱり、昨日も、今日も、君が好き。