*嵐妄想小説

*BL小説

*お山妄想

*お話は全てフィクションです。

 

 

(1)

 

荷物も、まとまった。

明日は、もうここには、いないんだなあ。

 

数年過ごした、2DK。

荷物なんて少ないと思ってたのに、結構な多さで。

処分する物も多かった。

 

櫻井翔、29歳。

明日から、恋人と暮らします。

 

 

「きのうも、今日も。」同棲始めました編

 

 

秋も深まった、日曜日。

 

大野智は、朝から忙しい。

 

今日から恋人の櫻井と、同居するからだ。

 

 

 

朝から、引っ越し屋のトラックが来て、二人の荷物を運び込む。

 

一緒に住む家は、二人で探した新築マンションだ。

 

新婚とも言える二人には、ぴったりの南向きで、明るくて広い3LDK。

 

ちょっと贅沢だけど、二人で住むなら、一番気に入った場所が良かったから。

 

 

 

「智くん! おはよう!」

 

「翔ちゃん! おはよう!」

 

窓の下からは、車から降りて、駆けるように走って来た、櫻井の声がする。

 

トラックの荷物が、運び終わって、引っ越し業者も帰った。

 

たくさんの段ボール箱を前に、二人で微笑み合う。

 

 

 

「翔ちゃん、先に、お昼食べない? さっき、近くに蕎麦屋見つけたから」

 

「うん、いいね」

 

 

 

蕎麦屋さんは、家から10分の商店街。

 

お昼時を過ぎた頃で、空いて来ていた。

 

「俺は……肉蕎麦かなあ」

 

「じゃあ、肉蕎麦二つ、お願いします」

 

向かい合わせに、熱々の蕎麦を黙って食べて、お会計。

 

蕎麦屋の帰りに、近くの店を見て歩く。

 

 

 

 

「コーヒーカップ、新しいの買わない?」

 

「うん、いいね」

 

マグカップや、ティーカップ、和風の焼き物の茶碗。

 

何を見ても、なんだか嬉しい。

 

お揃いの、シンプルなカップに決めた。

 

一緒に、お揃いの皿と、茶碗も買った。

 

……こっそり、これって新婚さんみたいだよね。

 

櫻井は、一人で思って、一人で赤くなった。

 

 

 

 

大野が、明日の朝のパンを買おうと言うから、パン屋も行った。

 

焼きたての匂いがする、人気のありそうなパン屋。

 

「男前が、二人だから、サービスね」

 

優しそうな女性の店員が、フランスパンを1本サービスしてくれる。

 

人懐っこい、優しい人が多い商店街は、これから自分達を受け入れてくれそうに思える。

 

 

 

駅に近い商店街は、たくさんの人が、行き交っている。

 

「俺らも、今日からここが地元だなあ」

 

「そうだね」

 

この町は、今日から二人の地元になる。

 

それって、すごい事だと、二人は思い嬉しくなった。

 

 

 

***

 

 

 

新居に戻って、片付けること、なんと5時間。

 

片付けて、掃除して……やっと、落ち着いた。

 

「はああ……終わったあ。大変だなあ引っ越しって。もう引っ越さないぞっ」

 

「智君てば……」

 

櫻井が、子供のような大野を見て、子供のように笑った。

 

 

 

「翔ちゃんて、可愛いな」

 

「ええ? なに? 恥ずかしいよ。///……」

 

「誰もいないじゃん、俺と翔ちゃんだけ」

 

そう言って、口付ける。

 

「……そうだね」

 

 

 

今日からは、二人で暮らす。

 

好きなだけ、一緒にいられる。

 

残業で遅くなっても、寝る前は顔が、見られるんだ。

 

たくさんデートもしたし、思い出もあるけど。

 

今までみたいに、サヨナラしないで、同じ家に帰れる。

 

寝る前の電話も、もういらない。

 

朝までずっと、抱き合って眠れるなんて。

 

これからの全部が、今日からは、二人の新しい日々だ。

 

朝起きて、一緒にいる。

 

仕事が終わって、一緒に住む家へ帰る。

 

 

 

変わらないのは、昨日も今日も、君が好き。

 

それだけで。

 

 

……幸せだなあって。

 

今日はもう何回目か覚えてないけど、お互いが、そう思った。

 

 

 

 

ニコニコ飛び出すハート飛び出すハートブルーハーツラブラブ