*嵐妄想小説

*BL小説

*お山妄想

*お話の全てはフィクションです。

 

 

(6)

 

side 翔

 

一緒に過ごした葬式が終わった夜。

 

あの日から、どこかで心配だった。

 

俺は、あの日が忘れられなくて。

 

あの時のあの子の顔を何度も思い出した。

 

でも、それは我慢しなきゃいけない事。

 

智君に手を出すなんて、許されない事だから。

 

この3年間、忘れたふりで接してたけど。

 

 

 

智君は、あの経験で……男の子を、好きになってしまったかも知れない。

 

そうだ……全部、俺のせいなんだ。

 

普通に幸せにして、あげるはずだったのに。

 

 

 

 

 

side 智

 

眠れなかった。

 

翔ちゃんが部屋から、出てきたら、話そうと思って待ってたのに。

 

一言も話さないまま、俺の部屋の前を素通りしていく足音。

 

今まで一度も、こんなことは無かった。

 

ケンカしても、必ず朝は、挨拶するのが決まりだった。

 

 

 

どうしよう。

 

やっぱり、昨日に無理やりでも、説明すれば良かった。

 

翔ちゃんは、もう俺を嫌いになったのかも知れない。

 

男の子を襲うような、そんな俺だと思ったの?

 

俺は、ずっと翔ちゃんだけだよ。

 

この家に来た日から。

 

 

 

***

 

 

 

side 翔

 

 

 

「へえ……それ、どうかなあ?

 

俺が昨日見た、智君と男の子の話を聞くと、松本潤が考えながら呟いた。

 

「どうって?」

 

「襲ってたんじゃ無いと思うけど」

 

「何で、わかるんだよ?」

 

「DVD観てたんだろ?」

 

「そうだよ、それで……したくなったんじゃ無い?」

 

 

 

うーーむと、松本は唸りながら、ミネラルウォーターを飲んだ。

 

「翔さんさ、智のこと、どう思ってんの?」

 

「へ?」

 

「好き? ああ、弟としてじゃ無いよ?」

 

「何言ってんだよ、弟だから」

 

「智は、違うけど?」

 

「え?」

 

「アイツは、翔さんを好きなんだよ、ずっと前から」

 

「何で……そんなことが言えるんだよ?」

 

 

 

ふふっと笑うと、松本が言った。

 

「わかるよ。アイツの目は俺と同じ。翔さんに恋してたから」

 

思わず松本の方を見て、固まった。

 

 

 

「翔さんて、気が付かないからなあ。そんな顔しないで。もう俺は何とも無いからw」

 

「えっと……」

 

言葉が出てこない。

 

「あの子、勉強でもしたかったんじゃない? 翔さんと……したくて」

 

「そんなこと……」

 

「俺も、そうだったから。翔さんが帰ってくる家で、何かする訳ないだろ? その男の子も友達だけなんじゃないの」

 

「いや……いやいや。違う。俺が悪いんだ。うっかり……」

 

 

 

俺が葬式の夜の話をすると。

 

「それくらいで、性癖が変わんないよ。元からあるもんだから」

 

「そうかな……」

 

それより、と松本が笑って迫るように、言ってきた。

 

「翔さん、いくら弟でも、好きじゃ無かったら、そんなこと出来ないでしょ? 違う?」

 

「あ……」

 

「翔さんも、あの子が好きなんだよ……ずっと」

 

松本が、もう時間がないからって、先にオフィスへ帰っても、俺は動けなかった。

 

 

 

智君が俺を好きで。

 

俺は。

 

……どうすればいいか、ますます困ってしまった。