*嵐妄想小説
*BL小説
*お山妄想
*お話の全てはフィクションです。
(4)
side 翔
仕事が終わって、智君が心配で、急いで家に帰った。
誰もいないみたいに、家中暗くて静かだったけど。
玄関には、智君ともう一人分の知らない靴。
「友達が来てるのかな……?」
たまに、後輩の男の子が、来てるって言ってたし。
また来てるなら、どんな子なのか見ておこう。
その子が、学校に行きたがらない、行ってもサボってばかりの理由かもしれない。
こっそり、まずは様子を見ようとして、驚いた。
暗い部屋で、おかしな映像が流れてた。
男同士のAV……? それだけでも衝撃なのに。
「あ……逃げんなよっ……ニノ……!」
「離してってばっ……」
智君が、小柄な男の子を襲ってるようだったから。
「智君! 何してんのっっ!?」
「翔ちゃん?」
智君も、相手の男の子も固まって。
俺は、とりあえず、智君の下から男の子を引きずり出して。
「……明日、聞くから。君はもう帰りなさい」
真っ青になった男の子は、泣きそうな顔だった。
「ち……違うんです……あの……」
「何も言わなくていいから。帰りなさい。」
「ご……ごめんなさい……」
泣きながら、パタパタと走って、男の子は帰って行った。
「翔ちゃん……」
智君は、固まったままだから、俺が黙ってDVDを停止させた。
「今日は、もう聞かないから。明日、話そう」
自分でも驚くくらい、冷たい声だった。
「翔ちゃんっ、誤解だって……」
「明日。……明日になってから、全部聞くから」
そう言って、自分の部屋に急いで、入った。
智君の声が追いかけて来たけど。
振り返る気には、なれなかった。
驚いた。
驚いた。
信じられない。
あの二人の姿が、目に焼き付いてしまった。
智君……あの男の子と?
それも、智君が襲ってるようだった。
……頭が殴られたように痛い。
何より、心臓が痛かった。
可愛い智君が、もう俺の知ってる子じゃ……なくなったかも知れない。
明日……なんて聞けばいい?
あの子が好きだから。
そう言われたら。
俺には、何も反対できる理由が無かった。
絶望感から、一人ベッドで酒をあおる。
なんでこんなに、ショックなのか。
男の子同士だから?
そんな偏見を、言いたく無かった。
会社にだって、公じゃなくても、そういうカップルもいるし。
ただ、智君だったから。
俺の……可愛い智君だからだ。
小さな清らかな羽を持った智君は、ずっと俺のものだったのに。
そう思うからだ。
(続く)