*嵐妄想小説
*BL小説
*櫻葉妄想
*お話の全てはフィクションです。
(3)−1
執事というものは、朝から夜まで忙しいものらしい。
そんな執事の櫻井翔様 という、美人で色っぽくて頭脳明晰な執事は、毎日坊っちゃまと一緒にいる事へ重きを置いている。
坊っちゃまの相葉雅紀様は、頭の小さな足の長いスタイルが良い美形で、性格も可愛くて優しい人柄だ。
執事は美しい容姿を駆使して、その可愛らしい坊っちゃまを揶揄うのが生き甲斐で。
何より料理も、掃除も他の屋敷の用事や雑用は、全く役に立たない不器用な彼だから。
実際には、屋敷の仕事は他の者に任せているのだった。
その為に、たくさんのスタッフを用意している。
ただただ、坊っちゃまの生活と仕事全てをサポートして、一緒に働くのが楽しい。
とても執事は忙しいが、それが気になる事はないようだった。
坊っちゃまの体調は、万全に管理出来ても、自分の事は後回しになってしまっている。
**
仕事も落ち着いた、午後のお屋敷。
見目麗しいと世間で評判の坊っちゃまが、困りながら呟いた。
「……翔ちゃん、なんで俺の膝に座ってるの?」
「重いですか? 暑いですか? 邪魔ですか?」
「そうじゃなくて(いや、全部そうだけれども……)俺の膝の上に座るのは、なんでなの?」
相葉雅紀 と言うこの大きな屋敷のお坊っちゃまは、真っ赤になって膝の上の執事に聞く。
たまには、放っておいたままのピアノを弾こうと、座ると執事がその膝に座って来たのだった。
「坊っちゃまの膝に座ってみたくて♡」
うふふと、悪戯っぽく笑う執事は、とびきり美人だった。
笑いながら、坊っちゃまの首に両手を回して、キスできそうな距離まで唇を近づけて来る。
「……キスしますか?」
色っぽく囁かれて、飛び上がりそうになる。
「だ……ダメだって、この前……翔ちゃんが言ったじゃん……」
しどろもどろになって、真っ赤な顔のまま坊っちゃまは、執事に返事する。
「まあ? そうでしたっけ? ふふ……残念ですね」
そう言って、ふうっと坊っちゃまの唇に息を吹きかけて、膝から立ち上がる。
立ち上がる時に、何気なく坊っちゃまの足の間に、軽く触れてから。
「もうっ……翔ちゃん!」
「何か、ありましたか?」
涼しい顔で、そう言うと。
「お茶にしましょうね。お菓子は何がいいですか?」
そう言って、美しい顔で微笑んだ。
坊っちゃまが、お菓子より食べたいのは、この執事だけど。
「……甘くないチョコケーキがいい……」
「わかりました」
背筋を伸ばして、何もなかったように、ドアから執事は出て行った。
「もう……翔ちゃん、何考えてんの……?」
……純情で綺麗な姿と心の坊っちゃまは、ずっとこの執事に恋してる。
両思いだなんて、坊っちゃまは、信じていなかった。
(続く)