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(7)〜(12)last 同時にUP

 

 

第12章(9)「楽園に咲く薔薇」

 

 気を失っているニノを、浅間の家のベッドに寝かせると、ドアが開いて浅間が入ってきた。

 

「浅間……」

 

「ニノを……殺したのか?」

 

「すまない、カッとなっちまった。でも気を失ってるだけだよ」

 

「でも、殺したかったんだろう?」

 

浅間が静かに聞く。

 

 

 

「……お前の言う通りだった。俺は変わってない」

 

大野は、はあっと息を吐く。

 

「でも、お前は変わったな……俺より人間みたいだよ」

 

そこまで言うと、浅間の顔色が悪いことに気がついた。

 

 

 

「どうかしたのか? ……死にそうだぞ?」

 

「……ああ、そうだな」

 

浅間が、膝をついて絨毯の上に崩れた。

 

 

「おい! 何があった?」

 

浅間は、息も荒く冷や汗を大量にかいていた。

 

その身体中から、死臭がする。

 

「……死ぬようなおまえじゃ無いだろう?」

 

 

 

「俺の薬のせいだよ」

 

 

 

声が聞こえて、いつの間にか、白いコートの男が立っていた。

 

吸血鬼のような殺気を漂わせた人間だった。

 

 

 

「大野さんだっけ? 吸血鬼を殺す薬を、この間使ったんだ。効いてるみたいだね」

 

ニコニコ笑って、男が近づいてくる。

 

せいぜい30歳前後に見える、頭の小さな背の高い男だった。

 

浅間のそばに跪くと、男は笑って言った。

 

男を睨む浅間は、動く力も、残っていない。

 

汗が流れ、吐く息も苦しそうだ。

 

「浅間、おまえの体で、新しい薬を作るよ」

 

「……」

 

言葉も出ない浅間に代わって、大野が言う。

 

「どう言う意味だ?」

 

「お礼を言ってくれて良いんじゃない? あんたは、他の吸血鬼なんて、全員殺したいんだろう?」

 

「話をそらすな。吸血鬼で薬を作ってるのか?」

 

「人間を助ける薬を作るよ。吸血鬼の体は色々使える。でもすぐ灰になってしまうから、難しいんだよね」

 

 

 

楽しそうな表情をくるりと変えて、今度は大野だけに向かって、冷たい顔になった。

 

「本当に吸血鬼を殺せるのは人間だよ。あんたのこともね。俺が殺す前に、灰にならないでいてくれよ?」

 

「おまえ……」

 

 

 

大野が男を掴もうとするが、素早く逃げるとベッドのニノの首に注射器をあてた。

 

「何するんだ! やめろ!」

 

「この子、アンタの人形なの? それとも浅間の人形なの?」

 

「その子は関係ないだろう?!」

 

「アンタは散々好きにして来ただろ? こっちも好きにするさ!」

 

大野は、黙ってしまう。

 

白いコートの男は、さらに冷たい顔になっていう。

 

 

「もう、俺たちは吸血鬼に振り回されたくないんだ。今度はこっちの役に立って貰うよ」

 

 

その時一斉に、窓という窓。

 

扉という扉が開いて、20人以上の掃除屋たちが突入してきた。

 

 

 

大野は、仁王立ちで男と睨み合ったまま。

 

一斉に掃除屋たちが襲ってくるが、男は素早い動きでニノの首に注射した。

 

「ニノ!」

 

大野がニノに縋るのと同時に、男は誰もいない窓へ飛び乗ると振り返った。

 

「残念。浅間の体も、これでただの灰になる。またね? ……大野さん」

 

そして窓から軽々と、飛んで逃げて行った。

 

 

逃げた男を、声もなく影のように掃除屋たちが、追いかけて行った。

 

男は、とても人間とは思えない動きだ。

 

 

 

 

ドサっという音がして、浅間が気を失って倒れた。

 

「浅間!」

 

大野が浅間に駆け寄り様子を見ると、真っ青で呼吸が弱くなっている。

 

「浅間……どうするんだ、お前が死んだら……ニノも……」