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*恋するアンドロイド・シーズン2「おもちゃの天使」

 



 

(8) 

 

 長かった気もするし、あっという間だった気もする時間が過ぎて行った。

 

やっと、ニノの体の再生が終わって、俺は毎日会いに行った。

 

 

「ニノ」

 

俺の声がすると、振り返ってにっこり笑うニノ。

 

 

 

櫻井さんは、もう話せるはずだから話してやってと言う。

 

でも、ニコニコしてるだけで、ニノは話さなかった。

 

 

 

「ニノ、俺の事わかる?」

 

 

 

ニノは、俺をじっと見つめるだけだ。

 

姿は、元のまま可愛くて、綺麗だけど。

 

前の記憶のある無しは、分からなかった。

 

ただ笑って、俺の言う事を聞くだけだったから。

 

 

 

 

「散歩でも行こうか」

 

ニノの手を握って、散歩した。

 

嬉しそうだけど、俺の事は分かってるのかなあ。

 

 

 

「そうだ、ニノ。教会に行こう」

 

ニノを返すのに、見かけた結婚式。

 

 

 

結婚したいと言ってくれたのに、信じてあげなかった。

 

アンドロイドだからと、分からないと思い込んでいた。

 

ニノ、君は毎日、言ってくれてたのに。

 

 

「ご主人様、好き」

 

 

可愛い声が、蘇って切ない。

 

 

 

 

 

雨上がりの並木を通る。

 

白いワンピースを着せられて、白いブーツを履いたニノは、真っ白な花嫁みたい。

 

教会は、平日のせいか誰もいなかった。

 

そっと、教会に入る。

 

「おいで」

 

ニノの手を引いて、十字架の前に立った。

 

もう、覚えてないかも知れないけど、構わない。

 

俺が、ただ、言いたいだけだから。

 

 

「ニノ、結婚して下さい」

 

ゆっくり心を込めて、ニノの両手を握って真っ直ぐ見つめながら言った。

 

静かな教会は、俺の声だけが響いていた。

 

 

 

ニノの綺麗な目が、大きく開かれて、次に涙が溢れて……。

 

「ニノ?」

 

「……良いですか? 私、『好き』足りていますか?」

 

「え? ニノ?」

 

 

 

覚えてる? どういう意味?

 

 

 

「もっと好き……じゃないから、捨てられたと思って……」

 

「ニノ? それって」

 

「ご主人様のこと、これ以上は、好きになれません。いっぱい……いっぱい好きですけど……」

 

「俺が、捨てたって思ってたの?」

 

ニノは、コクンと頷く。

 

「話さなかったのは……」

 

「私……変わってないです。同じ好きだから……ダメだと思って……」

 

 

 

それって、あの時の会話の事?

 

もっと、もっと好きになったら、結婚するって言ったから?

 

 

 

……なんて、なんてことなんだろう。

 

俺は感動して、神様と櫻井さんに感謝した。

 

 

 

 

「変わってないなんて……最高だよ、ニノ」

 

泣いてるニノを、俺も抱きしめたら、涙が流れてきた。

 

 

 

「結婚して? 返事は? ニノ」

 

「結婚したいです……良いですか?」

 

 

 

返事の代わりに、思い切りくちづけた。

 

(続く)

 



久しぶりに読み返して。

自分で書いたのに、

涙が出そうでした。(恥)///

この可愛いニノちゃんが好き。