*嵐妄想小説

*BL小説

*末ズ妄想小説

*お話の全てはフィクションです。

 

 

 

(1)

 

「潤君、あの……どうして怒ってるの?」

 

「何? 怒ってないよ。どこが、怒ってるように、見えるの?」

 

笑顔で、潤というイケメンで、スパダリと呼ばれそうな彼が振り返る。

 

その立ち姿は、カッコ良すぎて、眩しいくらい。

 

「……絶対に(全力で)……怒ってるじゃん」

 

ため息を吐いて、そっとカズは、小声で零した。

 

 

 

 

 

『Butter-like lover』

(彼に恋してとけてゆく)

 

 

 

 

 

バタくさい外人顔の松本潤は、男から見てもかっこいい。

優しいし、礼儀正しいし、仕事も出来て、何でも熱くなる。

そんな彼と出会ったのは……偶然だった。

 

誕生日に、年上の恋人と揉めにもめて、同棲してたマンションを飛び出した俺。

恋人のことは、誰にも内緒だったから、相談する相手もいなくて。

 

俺は、どうも愛人だったらしい。(だから口止めされてたんだ)

 

その日まで騙されてることに、気が付かなかった。

同棲してる恋人が、結婚してるとは、思わないじゃん。

 

全く最悪の誕生日。

楽しみにしてたのに。

 

……大好きな人だったのに。

 

スマホと財布だけで、シャツ一枚にジーンズで、夜中に飛び出したのは良いけど、どうしようもなかった。

ボーッと、シャッターの降りた暗い繁華街を、歩いてた。

ちょっと離れた通りで、タクシーが止まって、乗ってる客が降りた。

 

それが同じ会社の潤君だった。

営業の有名人だったから、この日は、接待の飲みの帰りか。

 

タクシーが走っていった後、その潤君は、一人きりでフラフラと、道路にゆっくり倒れてしまった。

 

「え! おい! 大丈夫?」

 

びっくりして、駆け寄ると、ベロベロに酔っ払ってた。

 

カバンも、手から落としていて、もう寝ようとしてる。

揺すっても、何だかよく分かってないようで、腕を引っ張っても起きようとしない。

このまま、放っておいたら、カバンや財布だけでなく、命だって危ないかもしれない。

 

「ねえ! 危ないから! 起きて!」

 

ゆっくり目を開けた潤君は、カッコよくて思わず、見惚れてしまった。

 

「……危ないの?」

 

焦点の合わない瞳で、潤君がしゃべった。

 

「危ないよっ、だから……」

 

最後まで言う前に、腕をつかんで引き倒された。

潤君の胸の上に倒れた俺の顔を、両手で挟むと笑って言った。

 

「危ないのは、あんたじゃない?」

 

そう言って、潤君に濃厚なキスをされたのだった。

 

 

 

***

 

 

 

……そこまで、カズ……二宮和也は思い出して、一人で顔が赤くなった。

 

気が付いたら、会社の廊下で。

 

潤が、目の前に立っている。

 

 

 

「カズ、顔が赤いよ? 何を思い出してんの?」

 

眉を顰めて、潤がカズの顎をつかんで、正面から見つめてくる。

 

「何でもないですよっ。んっもうっ//」

 

頭を振って、潤の手を避けると、赤い顔を両手で隠して逃げる。

 

 

 

その後ろ姿を見送る潤の顔からは、とっくに笑顔が消えていた。

 

「……確かに怒ってるよ、俺。いや……ショックかな」

 

そうつぶやいて、大きなため息を吐いた。

 

 

 

つづく