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*恋するアンドロイド・シーズン2「おもちゃの天使」

 




 

(3)

 

side 大野智

 

ニノと、ちゃんと仲良くなりたいな。

そう思った。

 

ニノは、ロボットで機械なんだけど。

ちゃんと、仲良くなってからじゃないと、抱けないと思ったから。

 

ニノは、アンドロイドで、セクサロイドだけど。(セクサロイドは、主人の恋人役をする)

俺は、主人とロボットでなく……本当の恋人になりたいんだ。

 

 

――――――


 

仲良くなるには、まず一緒に食事。

そこから、始めよう。


キッチンで、何か作ろうかと思って用意してると、ニノが隣で不思議そうに立ってる。

 

「ご主人様、ご飯食べる?」

 

「ご飯食べるよ、ニノも食べられる?」

 

「食べられます、でも食べなくても大丈夫です」

 

「そう……じゃあ、ご飯て、何が好き?」

 

「好き? ご主人様が、好き」

 

そう言って、俺にキスをする。

 

「うあ……」(汗)

 

俺、もういい大人なのに、動揺してしまう。

 

「ご主人様は?」

 

ニコニコして、俺の顔を覗き込む。

 

本当、今までの女の子だったら、即、ベッドに連れていってたけど。

 

「ご主人様は……私が嫌い?」

 

「違うよ、大好きだから……」

 

そう言って、ニノを抱きしめて軽くキスしてあげる。

 

「良かった♡」

 

ニノが嬉しそうに笑うけど。

 

好きだから、我慢するとか。

好きだから、好かれてないって分かるとか。

 

ニノには、何も分からないんだろうか。

 

この子は、俺が主人だから。

好きとか嫌いも、関係ない。

 

愛とか嫌悪感も無くて。

俺に抱かれても、きっと他の男でも、同じなんだ。

 

……初めて、胸が痛くなった。

 

好きでもない男に、抱かれるなんて可哀想で。

抱いても愛して貰えないなんて、ただ悲しい。

 

「はあ……こんな辛いなんて」

 

「辛い? どこか痛い?」

 

「うん、胸が痛いんだ」

 

やるせなくて、そう言うと。

 

「かわいそう」

 

ニノが悲しそうな顔で、シャツの上から俺の胸に、くちづけた。

 

「まだ、痛い?」

 

「……ふふ。大丈夫」

 

そう言って頭を撫でてあげる。

ホッとしたように笑うニノ。

 

 

 

 

……本当は、もっと痛くなったよ。


 

 

――――――


 

 

軽い食事を用意した。

焼き魚と卵焼きと味噌汁。

 

ニノは、食事をしたのは初めてだったみたいで。

不思議そうに食べてた。

 

焼き魚は、よく分かんないみたいで、ぐちゃぐちゃにする。

小さな子供みたいで、笑っちゃった。

 

「ご主人様? 笑うのは、どーして?」

 

「え? 食べ方下手なんだもん」

 

「下手?」

 

「赤ちゃんと一緒なんだなあ……」

 

ニノの魚を綺麗に解して、食べさせようと思ったんだけど。

 

「はい、あーんして? 口を開けるの」

 

「あーん?」

 

可愛い口を開けて、目を瞑った顔が可愛くて。

顎の黒子が、色っぽかったから。

 

「……食べさせてあげるね」

 

俺が、魚を咥 えて口移しに、食べさせる。

 

「んんん……」

 

「よく噛んで、飲み込むんだよ」

 

「んんんん」

 

素直に、噛んで飲み込んだ。

 

「飲み込みました、ご主人様、あーん」

 

嬉しそうに、そう言って口を開けて見せるんだもん。

 

「バカ……」

 

堪んなくて、頭を両手で押さえてキスをした。

 

「んんん……あっ」

 

ニノのワンピースみたいな服を捲り上げて、体を触る。

抵抗もせずに、ぼんやりした顔で、俺にされるまま。

 

「嫌じゃない?」

 

「?」

 

不思議そうな顔で、俺を見上げる。

アンドロイドは、意味が分からないんだ。

 

このまま、抱きたい。

でも。

 

「ニノ、気持ち良いってわかる?」

 

「? わかりません」

 

「そうだよね」

 

ニノを膝に抱いて、目の前のソファに座り直す。


ドキドキする。


俺が初めて、ニノに触れる人間で。

誰も知らない……体。

 

尊くて、嬉しくて。

そっと耳を噛んだら、ニノの甘い声がした。

 

「あっ……ご主人様」

 

「ニノ」

 

今は、これだけで充分だなんて。

 

自分で自分が信じられないや。

 

それも、なんだか嬉しくて。

 

ただ抱きしめて、キスするだけ。

 

それ以上はしなかった。

 

 

 

 

ニノを……本当のおもちゃには、したくなかったから。

 

続く