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*恋するアンドロイド・シーズン2「おもちゃの天使」

 




 

(2)

 

  冷やかし半分で、アンドロイドを見せて貰いに行ったはずなのに。

 

勧められた「ニノ」ってアンドロイドが可愛かったから。

 

「連れて来ちゃった……」

 

ニノをすすめてくれた、櫻井翔さんの言葉が甦える。

 

 

 

『じゃあ、可愛がってあげてくださいね? この子……初めて外に出ますので』

 

 

 

セクサロイドっていうらしいけど。

 

このタイプは恋人のように、ベッドの相手にも使われるそうだ。

 

ニノも、セクサロイドだ。

 

勝手にドキドキしてる俺の様子を見て、不安そうに見つめて来る。

 

 

 

「あの……ご主人様、どうかしましたか? 私は、何か間違えてますか?」

 

「えっ、いや。大丈夫っ間違えてないよっ」

 

そう言うと、ニノはホッとしたように笑う。

 

機械だなんて思えない。

 

 

(どうしよう……可愛いぞ……///)

 

 

一応、アンドロイドの使い方は、スマホアプリで分かるそうだから。

 

「え……と。まず教えることは」

 

主人の情報を教えること。

 

家での過ごし方、使い方、それと……。

 

『夜の相手・恋人役をさせる場合』の文字に動揺する。

 

「わわわわっ……!」

 

ドキドキして読めないっ。

 

「まあ……とりあえず、家のことを。いや、俺のことを教えなくちゃ」

 

ニノの手を引いて、椅子に座らせる。

 

俺も、その向かい側で椅子に座って、両手は開いた両足の膝に左右で置く。

 

緊張してる時や、考え事する時の癖だった。

 

 

「ニノ、俺の名前は大野智で、男だ。画家でデザイナーとかイラスト描くとか、まあそんな仕事をしてる」

 

「はい」

 

「俺は、絵を描くのにモデルが欲しくて、お前を連れて帰ったんだ」

 

「はい」

 

「え……その。まあいいや。とにかく仲良くここで、生活して行こう」

 

「わかりました」

 

そう言って、ニノはニッコリ笑うと、立ち上がって俺の左右の頬を両手で挟むように持つと。

 

「好き」

 

そう言ってキスしたんだ。

 

「……!」

 

軽くチュッてキスして、また微笑んだ。

 

「仲良くしました」

 

仲良くって……バグってるけど。

 

「……もう1回してよ」

 

「はい」

 

柔らかい唇は、気持ちよくて、目を伏せた顔も可愛かった。

 

俺から、その体を抱きしめて何度も口付ける。

 

止まらなくなって、華奢な体を抱き上げて、ソファに連れて行った。

 

「……仲良くして良いの?」

 

「……はい」(?)

 

ニコニコ笑う顔も、可愛かったし、最近はそういう事もしてなかったから。

 

このまま……しちゃいたいけど。

 

初めてなんだよな、この子は。

 

機械だし、その機能もあるはずだけど。

 

 

 

「説明を読もう……」

 

ニノをソファに置いたまま、もう一度スマホで説明を読む。

 

 

「えっ」

 

説明書には、本物の恋人たちのような段取りが書かれていた。

 

何だか生々しい内容に、呆気に取られる。

 

驚くようなことばかり……書かれている。

 

「性 行 為で出 血する場合……? 長く痛む場合……?」

 

分かってないらしいニノは、キュルンとした顔で、俺を見つめる。

 

機械なんだけど……すごい罪悪感だ。

 

 

 

「ダメだ……可哀想すぎる」

 

せめて、もっと仲良くなってから。

 

機械のことは、よく分かんないけど。

 

もっと簡単なのかと思ってた。

 

痛みって。痛いってことだよな?

 

 

 

ニノは、おもちゃみたいなロボットじゃないんだ。

 

櫻井さんが言ってたことを、改めて考える。

 

 

『一緒に暮らすパートナーを、基本に作っています』

 

 

だから、可愛がってくれと言ってたのかもしれない。

 

きっと、大切に作った子だから。

 

表情も仕草だって、人間にしか見えない。

 

 

 

 

 

 

「ニノ、ごめん。まずはご飯でも食べようか」

 

「はい」

 

ニコニコ笑うニノは、もう俺にとっても、おもちゃじゃない気がする。

 

そっと抱きしめる。

 

 

 

さっき会ったばかりで、この子は機械だけど。

 

大切にしてあげようと、心から思った。

 

 

(続く)