この前に『潤翔編・フランケンシュタインは望まない』UPしています。
*嵐妄想小説
*BL小説
*SFファンタジー
*大宮妄想(+翔くん)
*お話の全てはフィクションです。
*恋するアンドロイド・シーズン2「おもちゃの天使」
絵を描くのに、モデルを頼むのが大変で。
どうしようかと思ってると、知り合いに「いいのがある、ハマると思うな」ってススメられた。
アンドロイドが、良いらしい。
一時は、テロなどに使われたせいで、人そっくりな型は、禁止されてたらしいけど。
最近は、また家庭用のものが出回り出して。
ちょっとしたセレブ達には、ブームになってるようだ。
聞いた最低価格も、結構な値段だけど。
モデルを毎回頼むよりは、まあ安いし。
知人に紹介されて、アンドロイドの販売会社へ見に行った。
……それが運命になるなんて。
――――――
山奥の大きな敷地で、何棟も建物が立ち並ぶ。
この国1番とも、世界で1番とも言われる、アンドロイドの開発研究の大手企業だ。
その敷地の奥のガラス張りのショールーム。
知人の紹介だから、特別に色々見せてもらえた。
「初めまして大野智様ですね? よろしくお願いします」
案内をしてくれるのは、背の高い、目鼻立ちのはっきりしたイケメン。
年齢は、20代後半から30って感じ。
優しい笑顔と……美しい姿に、目を奪われる。
(こんな綺麗な人って、珍しいなあ)
名前は、櫻井翔さんと言うらしい。
「今の所、120種類あります」
たくさんの美男美女のアンドロイドが、ガラスの向こうに並ぶ。
男女どちらも、ワンピースみたいな白い服を着てる。
ロボットっぽいのから、生きた人間そっくりのもの。
精巧そうな生きた人間そっくりなのは、どれも高級車くらいの値段だ。
ちょっと人形っぽいのでも、300万は、する。
「た、たっけええ。最低価格は、30万くらいって聞いたんですけど?」
「ああ、ありますけど。本当にロボットですよ? 人には見えますが、立って歩くだけで、
喋りませんし、大きな人形です」
「絵のモデルだから、それで良いんだけど」
「もしお値段が関係ないとしたら、どのようなものが良いですか?」
「あの……どんなのがあるんですか?」
「一緒に暮らすパートナーを、基本に作っています。高級セクサロイドなら、夜の相手も出来るようになっています」
「ええっ?」
「色んな嗜好の方に、オーダーでも受け付けているんです。どんな嗜好でも、これなら犯罪にはなりませんから、飛ぶように売れています」
好きなタイプの顔や体に、年齢、体型、性別。
それに嗜好を入れると、家一軒くらいの値段らしい。
やばい……十分犯罪ぽいじゃん。
「性格は、A I が主人の好みに変えていきます。……どうされますか? お人形の方にされますか?」
うーん。セクサロイドなら。(恋人代わりなら)
好みは、おっぱいの大きな派手な綺麗な色っぽい子。
ただ、遊ぶだけの相手ならね。
でも、絵のモデルには、向いてないなあ。
「おすすめするとしたら、この子ですね」
穏やかに彼は微笑んで、綺麗な手で、そのアンドロイドを教える。
小柄で、華奢で色白の……若い男の子。
「男の子?」
「夜の相手は、女性と同じようにできますし、見た目も綺麗でしょう? 今はモニター期間で、学習期間でもありますから安くなります。お好きに使ってくださって大丈夫です」
色々、学習させて、バグ等を見つけて報告するのが、モニターの役目らしい。
笑顔で説明すると、眠ったまま立っていた子の電源を入れてくれた。
キーン……と高周波の音がする。
真っ白だった肌が、薄く桃色になっていく。
パッと目を開けて、薄く開けた唇、顎には色っぽい黒子があった。
幼くも見えるし、色っぽくも見える。
光に透ける飴色の瞳。
茶色のショートカットも、ユニセックスな感じで、絵のように綺麗。
「絵のモデルなら、良いんじゃないでしょうか?」
「うん……綺麗な子だなあ」
「触ってみてください」
そう言われて、手や頬をそっと触ると、俯いて恥ずかしそうな顔をした。
「可愛い……」
こっちまで、赤くなりそう。
頬に手も……白くて柔らかくて。
「お試し、10日間できますよ? お知り合いの紹介なので、お値段は、モニターの学習相手扱いで、返品されたら無料です」
お試しなら……って。
思わず、言われるままこの子を選んでしまった。
「じゃあ、可愛がってあげてくださいね? この子……初めて外に出ますので」
「はい……」
可愛がるって……。
初めてって……。
機械なのに、機械には見えないから。
よからぬ考えで、頭がいっぱいになってしまった。///
「この子の名前ってあるの?」
すると、本人が話し出した。
「ニノです、よろしくお願いします」
「ニノ……」
高めの声まで、好みで驚いた。
「では、手続きにまいりましょう」
そう言われて、ついて行こうとすると、ニノって子が俺をじっと見る。
「あ……じゃあ……一緒に行こうか」
「はい」
なんだろう、悪いことしてるような気がして、仕方ないんだ。
可愛らしく俺の後を歩くから、思わず手を繋いで、隣を歩かせる。
驚いた顔で、真っ赤になったニノ。
振り返った櫻井さんが、そんな俺たちを見て、微笑んだ。
「あなたが優しい方で、良かったです」
そう言ってまた、歩き出す。
いや……優しいんじゃない。
ドキドキが止まらない。
機械だなんて思えない。
俺は、もう好きになっていたと思う。
恋愛も交際だって、それなりに、してきたはずなのに。
こんな気持ちになるのは、初めてで。
大野智……29歳にして、本当の恋をしたようだった。
続く