*嵐妄想小説

*BL小説

*末ズ妄想

*Dom/Subユニバースパロ

*オリジナル設定あり

*お話の全てはフィクションです。

 

 

(9)

 

愛おしい自分だけのSub。

夢の中に行ってしまったような和也を抱きながら、潤は昔を思い出していた。

 

和也を紹介されたのは、2年前。

秘書として、この会社へ呼ばれて、暫くしてからだった。

 

和也はキツい目つきと、暴力的な言葉と行動で有名な社長代理だ。

皆が、彼を暴君だの『隠れDom』だのと噂していた。


これだけの人がいても、Dom/Sub の本物は見かけない。

正体を隠すことがほとんどで、確実にいるはずなのに、大手企業の社員には一人も見かけない。

たまにいるカリスマと呼ばれる社長はDomが少数いた。

だから社会的には、Domは認められている風潮があったが、Subは差別的な見方が多い。


だがSubを隠すのに、必死にDomのフリをする和也を、潤は一瞬で見抜いてしまう。


「初めまして、和也様。潤といいます」

 

和也は、初めて会った潤の視線に、固まって青い顔で俯いたからだ。

その様子には、気づかないフリで手を差し出した。

「和也様、どうぞよろしくお願いします」

固まったままの和也の手を取り、無理やり両手できつく握りしめて見つめた。


栗色のサラサラの髪。

潤んだ栗色の瞳。

小さな顔は、頬が赤くなった。

潤は、こんなに美しい青年は、初めて見ると思う。


「あ……ああ。よろしく」

 

やっと和也が絞り出した声は、それは甘く、可愛らしい鈴の音のように聞こえる。

ドキンと胸が高鳴り、握った手を離したくないと思う。

今すぐ、和也を抱きしめて、愛してメチャクチャにしたい衝動があった。

 


……潤こそ、本物のDomだったからだ。