嵐BL妄想

大宮妄想小説

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 

(12)

 

「罠を張った……じゃなくって。約束したんだ。智と出会う為にね?」

 

 

罠、もとい約束事はこうだった。

 

魔族の力で、ニノの記憶を封じて出会う。

 

ニノの存在は、父親だけにしか知らせなかった。

 

それでも、ニノは智を愛せるか。

 

智は、ニノのために自分を捨てられるか。

 

 

 

 

「試させてもらったのよ。合格したら、結婚させてあげるって」

 

私とニノは思い込みが激しいとこもそっくりで……なんてニノの母は機嫌よく話し続けてる。

 

記憶のないニノのサポートは、母の相棒のジョニーに頼んでいたらしい。

 

 

 

そうして、今日になった。

 

試験も試練も約束も、無事に実行に移され成功した。

 

二人は、望んだ愛し合う恋人になって。

 

「そして、俺たち合格したんだ。智、結婚して?」

 

「ニノ……」

 

大混乱したままの男に、美しく可愛い魔性の人は、詰め寄った。

 

「愛してるでしょ? 愛し合ってるんでしょ? 智を愛してるよ? それで良いじゃない?」

 

 

 

死神は、魔族のプロポーズを、謹んで受けることになったのだった。

 

彼も、誰にも負けないくらい、魔性の人を愛していたから。

 

 

 

――――――

 

 

 

「記憶のないニノは、アンタに似てなくて可愛かったのに、残念だわ〜」(ジョニー)

 

「可愛かったでしょ? 父親に似てるからね」(ミラン)

母子で、男に呆けてるんじゃないわよーっ。アタシの苦労を労いなさいよねっ(キィっ)」

 

ジョニーが、呆れて言った。

 

 

 

――――――

 

 

 

……次に、ニノの父・二宮和樹の目が覚めると。

 

愛しい妻の姿が目の前にあった。

 

「……ミラン?」

 

「うふふ……やっとまた一緒にいられるわね?」

 

二人の姿は、若い頃に戻り、抱き合った。

 

死への旅は、2度目のハネムーンのよう。

 

男の人間の人生は終わったが、これからは魔族の夫としての人生が始まる。

 

魔族に戻った妻は、夫の寿命が尽きる前に、記録的な量の仕事をこなしたおかげで、2度目の特例をもらったから。

 

 

 

人格者で、苦労人だった社長は、親族や社員に、惜しまれ悲しまれて見送られた。

 

妻と子を亡くした悲劇の社長は、今は誰よりも幸せに暮らす。

 

もちろん、それは誰も知らないままだ。

 

 

 

 

 

 

ここは、普通のマンションで。

 

特別に豪華ではなかったが、幸せな家のひとつだ。

 

 

 

「智、明日は何する?」

 

「明日は、仕事が立て込んでるから、無理なんだよー」

 

「ええ? 一緒に遊びたいのにぃ〜」

 

「ごめんごめん、でも愛してるよ♡」

 

「うん、俺も♡」

 

 

 

今は、普段は会社員になった死神は、愛する人のために働きます。

 

でも、夫の智は、相変わらず死神です。

 

それも今は、人間界で暮らしています。

 

その伴侶は、ニノという名前の魔族なのでした。

 

 

 

この先のお話は……またいずれ。

 

 

 

happy ・end ♡