嵐BL妄想
大宮妄想小説
登場人物等全てフィクションです
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呆然とする智に、ニノが今までの本当のことを話し出した。
「まず、1から。お母さんが、お父さんと結婚した時からね」
魔族で、彷徨う魂の回収に来ていたニノの母・ミラン。
その相棒の魔獣が、ジョニーだった。
優しいニノの父親……二宮和樹に一目惚れした母は、人間になった。
この時も魔族としては異例の結婚だったが、急いで百年分の仕事をこなした彼女は、百年の休暇を取って嫁入りしてきたのだ。
特別タブーはなかったし、結婚中は普通の人間の体で、子供まで授かった。
普通に幸せで。
夫の寿命がくれば一緒に霊界へ帰るつもりだった。
だが、事故に巻き込まれた。
踏切で車を停めている時、事故を起こした車に追突されて、踏切に車ごと押し出されてしまう。
車にはニノも乗っていた。
怪我をした二人は、動けない。
それを助けにきたのが、智だった。
踏切の音が鳴り響き、皆が智に帰ってこいと怒鳴る声が響く。
それでも、彼は逃げなかった。
救出は間に合わず、3人一緒に亡くなった。
人間の体は、脆い。
だが体は死んでも、魔族は死なない。
ニノも魔族の子だった。
人としては、死んでしまったが。
「え……? 俺、じゃあ自殺じゃないの?」
「そう……でもね、私たちが魔族だったから、認められなかったの。無理な救出の死亡は、自殺認定される。人間を救う為でなく、魔族だったから自殺になってしまったの。頭に来てねえ」
一息でそこまで言って、息継ぎをする。
「人間の体は死んじゃったけど、ニノと私は魔族でしょ? 基本死なないもの。それで、大野智って人間の人生を調べたの。主にニノがね」
呆気に取られている智に早口で、ニノの母が説明した。
「でね……俺、感動したんだ、智に。本当にいい人で、そのうち智を好きになったんだ」
「そうなの、付き合っても無いのに、結婚するって言い出したのよ」
「え……俺と?」
でも結婚するには、色々無理があった。
智はもう死んで、死神だ。
そこで、ニノの父の寿命の期限が近づいていることが分かった。
「智の死神の仕事で、お父さんの前に現れたら、罠にかけてもらうことにした」
ニノが頷いて、真面目に言う。
「わ……罠?」
「この世で最後のお願いをしたの。彼はOKしてくれたわ」
ニコニコしていうお母さん……犯罪じゃないの?
死神の仕事を失敗させて、適当な理由でニノと付き合わせるって。
「ええ? でも……」
「それには、条件もある」
結婚は、無理矢理はできない。
まだ、付き合った事も、出会ってもない恋だったから。
ちゃんと恋をして、愛しあわなきゃ意味がないんだから。
そうして、罠を……いや、約束が行動に移されることになる。
続く