嵐BL妄想

大宮妄想小説

登場人物等全てフィクションです

 

 

(11)

 

呆然とする智に、ニノが今までの本当のことを話し出した。

 

「まず、1から。お母さんが、お父さんと結婚した時からね」

 

 

 

 

魔族で、彷徨う魂の回収に来ていたニノの母・ミラン。

 

その相棒の魔獣が、ジョニーだった。

 

 

 

優しいニノの父親……二宮和樹に一目惚れした母は、人間になった。

 

この時も魔族としては異例の結婚だったが、急いで百年分の仕事をこなした彼女は、百年の休暇を取って嫁入りしてきたのだ。

 

特別タブーはなかったし、結婚中は普通の人間の体で、子供まで授かった。

 

普通に幸せで。

 

夫の寿命がくれば一緒に霊界へ帰るつもりだった。

 

 

 

だが、事故に巻き込まれた。

 

踏切で車を停めている時、事故を起こした車に追突されて、踏切に車ごと押し出されてしまう。

 

車にはニノも乗っていた。

 

怪我をした二人は、動けない。

 

それを助けにきたのが、智だった。

 

 

 

踏切の音が鳴り響き、皆が智に帰ってこいと怒鳴る声が響く。

 

それでも、彼は逃げなかった。

 

救出は間に合わず、3人一緒に亡くなった。

 

 

 

人間の体は、脆い。

 

だが体は死んでも、魔族は死なない。

 

ニノも魔族の子だった。

 

人としては、死んでしまったが。

 

 

 

「え……? 俺、じゃあ自殺じゃないの?」

 

「そう……でもね、私たちが魔族だったから、認められなかったの。無理な救出の死亡は、自殺認定される。人間を救う為でなく、魔族だったから自殺になってしまったの。頭に来てねえ」

 

一息でそこまで言って、息継ぎをする。

 

「人間の体は死んじゃったけど、ニノと私は魔族でしょ? 基本死なないもの。それで、大野智って人間の人生を調べたの。主にニノがね」

 

呆気に取られている智に早口で、ニノの母が説明した。

 

「でね……俺、感動したんだ、智に。本当にいい人で、そのうち智を好きになったんだ」

 

「そうなの、付き合っても無いのに、結婚するって言い出したのよ」

 

「え……俺と?」

 

 

 

 

でも結婚するには、色々無理があった。

 

智はもう死んで、死神だ。

 

そこで、ニノの父の寿命の期限が近づいていることが分かった。

 

「智の死神の仕事で、お父さんの前に現れたら、罠にかけてもらうことにした」

 

ニノが頷いて、真面目に言う。

 

「わ……罠?」

 

「この世で最後のお願いをしたの。彼はOKしてくれたわ」

 

ニコニコしていうお母さん……犯罪じゃないの?

 

死神の仕事を失敗させて、適当な理由でニノと付き合わせるって。

 

「ええ? でも……」

 

「それには、条件もある」

 

 

 

結婚は、無理矢理はできない。

 

まだ、付き合った事も、出会ってもない恋だったから。

 

ちゃんと恋をして、愛しあわなきゃ意味がないんだから。

 

そうして、罠を……いや、約束が行動に移されることになる。

 

 

続く