嵐BL妄想

大宮妄想小説(ON)

登場人物等全てフィクションです

(ファンタジー)

 





(7)

 

side 智

 

3ヶ月過ぎるのは、すぐだった。

 

毎朝二人で、朝食を作って食べて。

 

二人で手分けして、洗濯に掃除。

 

ニノは、家事も初めてみたいだけど丁寧で優秀だ。

 

「智っこれって、便利だねー♡」

 

クイッ◯ルワイパーに感動して、目をキラキラさせて可愛い。

 

仕事もしない、裕福で余裕のある贅沢な毎日。

 

普通の家事や生活を覚えたら……次は、なんだろう。

 

「ねえ智は、働いた事あるの?」

 

「え? うん」

 

何となく働いた気がするし、薄ーく記憶はあるんだけど、何で死んだのか分かんないんだなあ。

 

俺って、自殺するような性格じゃない気がするけどなあ……。

 

(自殺したから、死神になったんだけどさ……?)

 

 

――――

 

 

side  ニノ

 

 

ご飯も炊けるように、なったし。

 

俺の作った出汁巻き玉子なんて、結構美味しいと思うっ。

 

智みたいに、色々はまだ作れないけど、これから教えてもらおう。

 

智って、なーんでもできるんだよ? すごいよね?

 

 

 

今まで、俺って何にもしないで、生活してたんだなあ。

 

26歳で、働いた事ないって、どうなのかなあ。

 

働いてみようかな?

 

どうしたら良いかな?

 

 

「働く? そっか……何が良いかな?」

 

「智は、何が良いと思う?」

 

 

うーんと二人で、考えて。

 

「ニノのお父さんに、聞いてみよう」

 

智がそう言うから、そうしようと思う。

 

ああ、智と住み始めて、もうすぐ3ヶ月だ。

 

そろそろ、本当に結婚していいか聞いてみよう。

 

もう、智以外なんて考えられないし。

 

 

 

 

――――――

 

 

 

夏を近く感じる程の気温になった日。

 

ニノの父親が、体調を崩し始めていた。

 

大きな窓の寝室は、カーテンが開けられて、静かで明るい。

 

父親が、ベッドで横になり、懐かしそうに妻と息子の写真を眺めていた。

 

 

「随分、会えなかったね……もうすぐ会えそうだよ」

 

 

そのそばに、静かにジョニーが座って父親を見つめている。

 

その時、ニノから父親のスマホへメッセージが入った。

 

メッセージの内容は、仕事と結婚について。

 

 

「どうしたら良いかな……。君は、ニノにどう別れを言う気かな?」

 

いつの間にか、そばに立っていたのは智だ。

 

「……悩んでいます。お父さんと婚約者を一度に……失うなんて」

 

「私は、あと何日生きられる?」

 

「2日です」

 

「ニノに、教えてやってくれ。一人で生きていくことを」

 

「お義父さん……」

 

「約束しただろう? ニノが生きていけるように」

 

「3ヶ月で、生活と恋も教えることが出来ました。でも……」

 

「無理でもお願いするしかないんだ」

 

「はい……」

 

 

いつの間にか、父親は眠り、ジョニーの姿は無かった。

 

 

智は、ただ立ち尽くしていた。

 

残酷な現実と、残酷な自分のしてしまった事の重さに。

 

「ニノ……」

 

 

死神も、人と変わらないことを実感するしか無かった。

 

 

続く