BL妄想

末ズ妄想小説です(純愛)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

(6)

 

side 二宮和也

 

毎日、毎日、あの人は俺に電話して来た。

 

職場で一人ぼっちだった俺を心配してくれてるんだと思ってた。

 

いつだって、あの人は優しかったから、疑ったことなんて無かった。

 

でも……段々、おかしくなっていった。

 

誰かと仲良くするなとか、誰々は、信用するなとか。

 

電話に出るのをやめると、毎日のようにプレゼントが届いた。

 

やめて欲しいと電話すると、あの人が言った。

 

『松本と別れなければ、彼を殺す』

 

どうして、そんな誤解したんだろう。

どうして俺に執着して来るんだろう。

俺は、誰とも付き合ってなんか無いのに。

 

必死に、勘違いだと言ったけど、聞いてくれない。

 

『裏切り者、浮気者』

 

散々罵られて、疲れてしまった俺は、もう二度と電話もしないし、かけて来ないでとキツく言ってしまった。

 

『じゃあ、死んでやるから』

 

思わず、勝手に口から出てしまった言葉。

 

『どうぞ、死んでください』

 

脅しだと思ってたのに。

怒ったらしいあの人は、そのまま携帯電話を持ったまま飛び降りた。

握りしめてたらしい携帯電話から聞こえたのは、何かが激突する恐ろしい音だった。

 

 

 

 

 

……どんな気持ちだったんだろう。

俺は、なんて冷たかったんだろう。

あんなに、いつも優しくしてくれた人に、あんな残酷な言葉を言うなんて。

 

どうせなら、もっと前に好きだと言ってくれたら、良かったのに。

 

ちゃんと、どうして正面から、向き合ってくれなかったんだろう。

 

そうしたら、結末は違ったかもしれないのに。

 

 

 

 

 

 

「……もう、疲れた」

 

一人で、自分の部屋のベランダを乗り越える。

 

「ごめんなさい……もう許して……」

 

その後のことは、憶えていない。

 

 

続く