BL妄想

末ズ妄想小説です(純愛)

登場人物等全てフィクションです

 





(5)

 

ニノを迎えに行くと、先に帰ったという。

電話をしても出なかった。

 

嫌な予感がして、探し回った。

ニノは、俺の部屋には帰っていなかった。

 

あの人の顔が浮かんだ。

ニノを苦しめて死んだ人だ。

 

 

 

 

俺は、最初から、あの人が信用できなかった。

ニノは、純粋で疑っても無かったけど、職場でニノが孤独だったのは、あの人のせいだ。

 

孤独にさせて、付けいる気だったようだが、そう上手くはいかなかった。

 

ニノは、一人でもちゃんと仕事をして見せたし、俺がそばで守っていた。

 

あの人が、どう言うつもりかは、分からなかった。

 

だからあの人が海外へ転勤になって、ここを離れることになった時は、心底安心した。

 

これで、ニノを苦しめる上司はいなくなると思って。

 

あの人がいなくなれば、ニノの悪い評判も消えるはずだった。

 

その評判を作った本人が、あの人だったから。

 

 

 

 

 

転勤して行った後、ニノに毎日電話して来てるとは、思わなかった。

 

どうかしてる。

 

ニノだって困惑したはずだ。

 

俺に一言相談して欲しかった。

 

最後の日、営業に電話して来たあの人が、まだニノに未練があるらしく、色々言うものだから、俺はカッとしてあの人に言ってしまった。

 

『ニノの恋人は、入社した時から、俺だ』って。

 

『もう、二度とニノを困らせないでくれ』

 

そう言ったら、あの人はショックだったらしく、黙って電話を切って、それきりだった。

 

翌日、飛び降りて死んだと聞いた時は、言葉も出なかった。

 

 

 

 

 

ニノは、あれからおかしくなったんだ。

 

誰も悪くない。

あの人が、狂ってたんだから。

 

もし、誰かが悪くて死んだと言うなら、俺のせいだ。

罰なら、俺が受ける。

だから、どうかニノを助けて。

 

俺は、生まれて初めて、神様に祈った。

 

 

続く