BL妄想

大宮妄想小説(ON)です

登場人物等全てフィクションです

意味の分からない方はBackお願いします

 
 

(1)(この前にジョニーのプロローグがあります)

 

まだ肌寒い春の午後。

 

誰もいない噴水の前。

 

一人は薄い茶色の綺麗な瞳で、華奢な可愛い少年に見える青年。

 

その青年の前には、肌も髪も健康的に焼けた美形の青年。

 

華奢な可愛い青年は、物憂げに相手を見つめるだけ。

 

その彼に、お願いしますとお辞儀する青年。

 

 

「一目惚れなんですっ! 結婚してくださいっ! 二宮和也くんっ」

 

「はい、お受けします……えっと名前なんだっけ?」

 

「大野智ですっ!」

 

「そう、じゃあ宜しくお願いします」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

side 智

 

冗談みたいなプロポーズで結婚を決めたのは、3月の日曜日だった。

 

初めて会って、プロポーズ。

 

まさか、ニノにその場でOKされるとは思わなかった。

 

しかし、ニノの父親が3ヶ月経ってからじゃ無いと結婚はダメだというので、まずは仮の結婚生活が始まった。

 

「お試し期間みたいなものだって」らしい。

 

無理なら別れなさいって、言われてるそうだ。(そりゃ、そうか)

 

 

新婚生活3日目。

 

早起きのニノがいつも、起こしてくれる。

 

朝からシャワーを浴びて、綺麗にお洒落したニノは、自慢の新夫。

 

綺麗な顔で、俺のベッドに腰掛けて微笑む姿は、女神みたいだ。

 

 

特注のキングサイズのベッドは、なんと一人用で。

 

結婚するまでは、寝室は別々にしようって決めたんだ。

 

まだ、一緒に二人で寝たことは無い。

 

 

 

「おはよう智、お腹空いた」

 

「おお……おはよう。お腹空いた? 何しようか」

 

「これ、食べたい」

 

俺の女神が指差したのは、誰かに貰ったらしいファーストフードの広告チラシだった。

 

 

 

普通の男の甲斐性じゃ、とても住めない豪華なマンション。

 

ニノは、どこでも良いと言ってくれたけど、彼の父親が心配して用意してくれた。

 

家具から何もかも、至れり尽くせりで。

 

俺も、それには文句なんて無い。

 

そんな父親の元で育ったニノは、想像を超えて世間知らずだった。

 

「そんなのがいいの?」

 

「うん、食べた事ないから」

 

「なるほどね……待っていて。俺もシャワー浴びて着替えるよ」

 

「うん、チューして」

 

「うん」

 

可愛い唇じゃなくて、ニノの額にキス。

 

不満そうに唇を尖らせて、ニノが睨んでくる。

 

「ねえ、いつチューとか、その先するの?」

 

「まだ早いよ。いつでも出来るんだから、今はこのままで」

 

「みんな、チューくらいしてるって、ジョニーも言ってたよ?」

 

「ジョニー?! ああ、アイツの言うことは信用しないでよ?」

 

ジョニーというのは、オネエみたいな、おカマっぽい、ロン毛のムキムキな大きな体のおかしな男だ。

 

なんでか、ニノの友達らしい。

 

世間知らずで、友達の少ないらしいニノの世間の情報は、この男からが殆どで。

 

俺としては、心配だ。

 

「ジョニーは、いい子だよ」

 

ニコニコしてニノが言うから、そうだねって返事しながらシャワーを浴びに、風呂場へ行った。

 

 

******

 

 

シャワーを勢いよく出すと、ため息を吐いた。

 

「ごめんな……」

 

俺は、まだニノに言ってない事がある。

 

この秘密をどうして良いか、どうしたらニノが悲しまないか、そればかり気になって。

 

その他の事に、気が付かずにいたんだ。

 

 

俺が、ニノをどんどん好きになるにつれて。

 

ニノが、俺に懐いてくれていくに連れて。

 

このままでいいのかと、悩んでいた。

 

 
 
(続く)