BL要素あり、嵐妄想小説(お山OS・にのあいAN)になっております。
同一のお名前の方々とは、全く無関係です。
興味のない方、嫌悪感のある方は、Backをお願いします。
「友達の彼氏は友達だ」
周りに拗らせやさんが多いのは、俺が拗らせやさんなのかも知れない。
そう思うほど、拗らせた男が目の前で、目を瞑ったまま、腕を組んで黙って座り続けている。
仕事終わりの馴染みの喫茶店。
楽しいはずのお茶の時間なんだけど。
「俺……もう帰ろうかなっ?」
そおっと言うと、目の前の男が目を開けて睨んできた。
「……わかりました、もうちょっとだけなら付き合います」
仕方ないので、何杯目か忘れるほど飲んだコーヒーのおかわりを頼む。
「えーと、コーヒー頼むけど、大野さんも何か飲みます?」
「……コーヒー」
「はい、コーヒーね」
二人分のコーヒーを頼んで、仕方なく俺はスマホのゲームを始める。
我慢してたけど、大野さんが、黙ってるからいいよね。
「ゲームするな」
「えっでも俺、暇だもん」
「ニノが、なんか喋れよ」
……こう言うのって、どうなの。
大野さんは、黙って座ってるだけなんだもん。
呼び出された俺が、気を使って喋んなきゃいけないの?
(うーん、俺だけじゃ耐えられない)
しかし、相葉さんと潤くんは、今日は忙しそうだったし。
まあ……翔ちゃんを呼べば、いい話なんだけど。
櫻井翔:「大野さんには、会いたくない」
さっき、メッセージを送ったら、速攻で返信が来て断られちゃった。
(めっちゃ怒ってるうう……)
「アイスコーヒーでございます」
「ありがとうございます」
大野さんもコーヒー飲み出したけど。
そんな眉間に皺寄せて飲んだら……俺がっ不味くなるでしょー。
「また、翔さんを怒らせちゃったんですか?」
「分かんない」
「分かんないから、怒られてるんでしょうねえ」
「…………」
翔さんは、大野さんと揉めると上田を呼び出すみたいだけど。
大野さんは、俺を呼ぶんだよな……。
俺にも一応、予定とかさあ、あるんだけど。
こっそり、中丸にメッセージ。
「上田に翔ちゃんの居場所聞いてくれない?」
すぐ返信が来た。
「呼ばれてたけど、すぐキャンセルになったみたいです」
呼ばれてたのに……キャンセルかあ。
このタイミングだと、上田を呼んで、その後……俺のメッセージを見て……。
なるほど。
「大野さん、翔さん、家に帰ってると思いますよ?」
「そうかな」
鈍いぞ、彼氏。
「翔さん、待ってると思いますから、もう帰って下さい」
「でも、怒ってんだもん」
「大野さん、会わなきゃ別れる羽目になりますよ?」
「何云えば良いか、分かんないもん」
「分かんなくて、ごめんねって、チューでもしてあげて下さい」
そうそう、待ってるんだから、早く会いに行ってあげて。
それで、俺を解放してくれっ。
もうこのままじゃ、俺が堪らん。
「わかった、帰る。お土産とかいるかな?」
「土産は、要りません。貴方がいるだけで翔さん幸せですから」
「……そう?」
猫背で、嬉しそうに笑ってるし。
「ニノっ今度、なんか買ってやるな♡」
「はい、待ってます」
なんも要りません。
翔さんをちゃんと、見てあげて下さい。
じゃなきゃ、俺に迷惑が……。
大野さんが、喫茶店から出て行った。
すぐに、スマホを出して、大好きな人に電話。
「……あのねえ、迎えに来て」
俺も、会いたくなっちゃったじゃん。
これが、1番困るんだよね。
『なあに? 会いたくなっちゃった?』
「そんなんじゃないけど」
明るく笑って、分かってるよって、迎えに行くねって電話が切れて、つい笑っちゃう。
俺も相当、拗らせてるけど。
まだ素直な方だもん。
お迎えと、大野さんが翔さんに会うのと、どっちが早いかなあ。
……俺も早く、会いたいな。
スマホのゲームを立ち上げて、もう一杯、コーヒーを注文した。
<end>
++++++
「迎えに行くよ」
……いつだってさ。
騎士(ナイト)は、お迎えに行かなきゃいけないんだな。
一人で待たせちゃ、可哀想だもん。
******
「相葉さん、急ぎですか?」
「うん、俺を待ってる子がいてさ♬」
「そりゃ、良いですねえ♡」
仕事終わりで、相葉は結構ヘトヘトだけど、ニコニコして早足だった。
建物を出ようとした玄関で、菊池に出会った。
背が高いスタイルの良い二人は、一緒に立つとモデル雑誌のようだった。
「相葉さんっお疲れ様です っ!」
「お疲れ様っ」
「急ぎですか? 翔さんとかっすか?」
「翔ちゃんは、デートじゃないかな? (分かんないけど)可愛い子が、俺を待ってるからさ」
ふふって嬉しそうに、相葉が笑って菊池も微笑んだ。
「早く来てねえーっとか会いたいのって、言われてんすか?」
「へ? 言われたことないなあ」
「えっ(驚)! 本当に待ってるんですか(はっきり聞いちゃった)?」
「待ってんの。1回も言わないけど。でも、めずらしく迎えに来てって電話してきたから」
「……それって足(使われてる)じゃないっすか?」(悪い子なの?)
「違う違う。説明できないけど」
「じゃあ……急いでるのにすみません、足止めさせちゃって」
「大丈夫! またなっ!」
菊池は、相葉が玄関を勢いよく出ていくのを見送りながら、すっかり悪い子に騙されてると考えて。
「良い人だなあ……まあ、嬉しそうだから、OKかなあ」
言葉の足りない先輩の考察は、若い彼には難しかった。
******
side 相葉
ニノが、俺に何かしてって言うのは、俺にしか頼まない事ばかり。
頭が良くって、いつも動じないニノが、動揺するのは、俺が絡むことだけだから。
好きだとか、嬉しいだとか、普通のことは言わないけど。
「やっぱり、相葉さんなんだから」
そう言って、他所を向く君の耳は、可愛く赤く染まってるから。
君が何も言えないのは、分かってる。
俺が言ってあげるからね。
愛してるとか、好きだとか、一生一緒だよ、とかね。
ニノから、一言メッセージが届く。
『まだ?』
「もうちょっと、待っとけよ」
スマホの画面を見て、一人で呟いて微笑む。
俺にだけ、飛んでくるワガママなメッセージが、君からの唯一の愛の言葉なんだよね。
<end>