BL要素あり、嵐妄想小説(お山OS+にのあいAN+KAT-TUN)になっております。

同一のお名前の方々とは、全く無関係です。

興味のない方、嫌悪感のある方は、Backをお願いします。

 

 

 

 

オレの先輩の大迷惑・前編

 

 

 

 

 

 

(1)

 

 

side 亀梨

 

 

冬の始まり。

 

急に寒くなったある日の夕方、先輩からメールが来た。

 

夕食のお誘いだ。

 

でも、この人からは大変珍しい。

 

滅多に無い人からのメッセージには、何か予感がする。

 

思わず、返事をする前に、上田に電話した。

 

「あのさあ、上田って、今日は夕飯どうするの?」

 

「ああ、翔さんから電話が来たばっかりでさ、これから一緒にメシ行くの」

 

「……やっぱり。俺は大野さんから来た。申し訳ないけど、断るよ」

 

「ええっ? 断るなよっ、絶対にヤバイやつじゃん!」

 

「ヤバイ、絶対にヤバイ。でも俺には、対処できないもん」

 

 

翔さんと彼氏の大野さんは、喧嘩すると、俺らを呼び出す。

 

もう、決まりごとのようで。

 

翔さんだけでも、俺らは振り回されるけど。

 

大野さんも雪崩れ込んでくると、もう最悪なのだった。

 

「ま……なるほどなあ、俺、今日帰れるかなあ、明日ヤバいかも」(帰らせてもらえない)

 

「頑張ってよ、明日は一緒にレコーディングだぞ」

 

「分かった、頑張る」

 

メッセージじゃ失礼だから、大野さんに電話した。

 

「あの……」

 

だけど。

 

「絶対に来て」

 

「……はあ。わかりました」

 

ダメだ、俺には嘘ついて断るとか出来ない。

 

きっと、また喧嘩したんだな。

 

お互いの頭が冷えるまで、俺らは付き合うしかなさそう。

 

「……が、頑張れ俺。と上田」

 

小さく呟いて、握り拳になる。

 

そうだ、俺らだけじゃ心配だから、保険に中丸へメッセージしておこう。

 

「今日は、長くなりそう……」

 

暮れゆく空を見ながら、大野さんへ会う為に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

(2)

 

 

side 中丸雄一

 

 

スマホを見つめていると、カメ(亀梨和也)からメール。

 

『これから上田(竜也)は翔さんと。俺は大野(智)さんと食事です。理由は察してね』

 

ふむ、なるほどね。

 

何かあったら、呼ばれるなあ。

 

穏便に終われば良いなあ。

 

だが、実は、俺はもう今の今、困っている。

 

二宮君から、メッセージが来てるんだ。

 

他の用で送ったメールの返信の最後。

 

「私は、これから〇〇で、飲み会です。でも、くれぐれも相葉さんには言わないでね」

 

前にも似たような事があったなあ。

 

これって、相葉さんに連絡して欲しい時なんだよなあ。

 

前の時は、気が付かなくて。

 

連絡先も分かんなかったから、何もしなかったら、機嫌が悪かった。

 

「ねえ、相葉さんから電話無かった?」

 

「え? そもそも、連絡先交換してませんけど」

 

「え? そうなの? じゃ、教えとく」

 

「ええ? 本人に無断で……?」

 

「いいのっ!」

 

無理矢理、相葉さんの連絡先を登録させられたのだった。

 

……うーん。

 

相葉さん、俺の番号知ってるかなあ。

 

俺が電話かけても、出ないんじゃあ……。

 

 

 

 

「はあ……みんな揉めないでよ」

 

後輩って、大変だなあ。

 

 

 

 

 

――――――

 

 

頑張れ、中丸君っ(^^;)

 

 

 

 

 

 

(3)

 

 

翔さんの行きつけの料理屋の個室。

 

そこで、二人で食事。

 

いつもなら、小一時間で帰るんだが、もう2時間経った。

 

 

「上田っ、聞いてる?」

 

「聞いてます、その通りです!」

 

「そうだよなっ!」

 

ええ、全然わかりません。

 

さっきから、仕事の話は乱れ飛んで。

 

もはや、何の話題なのか、着地点ってあるんだかも分からない。

 

翔さんは、大野さんと喧嘩でもしたんだろうけど。

 

大野さんの名前は、『お』も出ない。

 

「この間の企画会議さあ……」

 

「はい」

 

「あ、退屈かな? 大丈夫? 興味ある?」

 

「メチャクチャあります!」

 

「良かった、それじゃあ……」

 

翔さんは、ガンガン飲んで、喋りまくる。

 

ひたすら、熱く、仕事の話だ。

 

亀(亀梨和也)に聞いてなければ、すぐは気が付かない。

 

その熱く話す内容は、結局大野さんに繋がるんだ。

 

「でもさあ、ずるいんだ。結局あの人が最後は、攫っていくんだよねえ、一言で」

 

あの人は、もちろん「大野さん」だ。

 

「そうですよね、素晴らしい方です、翔さんの選んだ人ですから」

 

「そ、そお?」

 

「はい」

 

嬉しそうに翔さんが笑う。

 

このまま、機嫌が治れば、送っていって……。

 

あと一息。

 

コンコンとノックが聞こえる。

 

「はい?」

 

戸を開けると、山下(智久)が立っていた。

 

「お」

 

「久しぶり。隣に予約してたんだけど、翔さん来てるって聞いたから」

 

「久々じゃん! 一人?」

 

「二人だったんですが、キャンセルされて」

 

「もしかして、それって亀ちゃん?」

 

「え? なんで亀?」

 

「だって……?」

 

翔さんが振り返る、俺へ確認するように。

 

マズイ、マズイぞ。

 

まだ、あの嘘を翔さんは覚えてるう! (汗)

 

(俺らは忘れてたんだが)え? (^^;)

 

 

 

俺が言ってしまった、その場の嘘。

 

亀が山下と付き合い始めたってやつだ。

 

ぴ、ピンチかもしれない。

 

 

 

 

 

 

(4)

 

 

side 亀梨和也

 

「いらっしゃいっ♬ 悪かったねえ、無理言って」

 

「いいえ、何か……ありました?」

 

大野さんに呼び出されて。

 

なんと、自宅に呼ばれてしまった。

 

てっきり翔さんと揉めて、その相談か愚痴でもあるのかと思ったから。

 

(飲み屋とか、店に呼ばれると思ったのになあ)

 

嬉しそうな大野さんは、機嫌が良くって……どうなってるんだろう?

 

いそいそと嬉しそうに、たくさんのパンフレットを出して来た。

 

「ねえねえ、これ見てよ」

 

ほぼ、ハネムーン旅行向きの内容だ。

 

「あの……もしかして、翔さんとのハネムーンですか?」

 

「うんっ」

 

可愛い顔で大野さんは、大きく幼稚園児のように頷いた。

 

「籍をいれようかなって思う」

 

「おおっおめでとうございます!」

 

「うん。結婚式ってした方が良いかなあ?」

 

「どうかなー? 翔さんは何て?」

 

「したく無いって」

 

急に、テンション下がる大野さん。

 

「じゃあ、式はなくてハネムーン? だけとか……ですか?」

 

「ううん。行かないって」

 

「? あのう、話が……わかんないんですけど」

 

「プロポーズしても、嫌だって」

 

「……? えええ?!」

 

「俺が嫌いなの? って聞いても好きだよって」

 

「そ、それで? 俺を呼んだのは……」

 

「プロポーズのリベンジがしたいんだっ!」

 

「り……。で、でも断られたんでしょう?」(亀ちゃんストレート)

 

「俺が好きっていうのに、変だろう? でもさ嫌なのは、あのなんとかブルーってのかなあって思ったんだ」

 

「なんとか……ああ、マリッジブルー?」

 

「そうそう」

 

「結婚決まってからなるもんでしょ? 断られてんのに」(さらにストレート)

 

「男も多いって、ネットで読んだ、ほら」(全く気にしない)

 

大野さんは、スマホでその記事を見せてくれる。

 

 

男性のマリッジブルーの症状例

 

1.彼女に会いたいという気持ちが薄れる

2.イライラしやすいなど情緒不安定になる

3.体調を崩しやすくなる

 

男性のマリッジブルーの主な原因

1.「夫」や「父」になる責任感

2.経済的な不安

3.環境やライフスタイルの変化に対する恐怖

4.結婚相手に対する不安や不満

 

マリッジブルーになりやすい男性の特徴は?

1.真面目で完璧主義な人

2.自分に自信がない人

 

マリッジブルーかもと思ったら男性ができる対処策

1.友達と会って話を聞いてもらう

2.等身大の自分でいよう

3.思考の転換をはかろう

 

『男性のマリッジブルーは2人で解決しよう』

 

適当なことが、適当な対処法と書いてある。

 

 

「はあ、当てはまってるの?」(驚きすぎて、もうタメ口)

 

「めっちゃハマってる。でもそう言ったら、もっと怒って出かけて帰って来ない」

 

「ええ? そんなこと言ったら、追い込むでしょう?」(こんな良い加減な記事で)

 

「いや、二人で乗り越えようと思ってさあ」

 

頭が痛い。

 

大野さんて、本当大変だなあ。

 

盛大にため息を吐いてしまった。

 

(上田……どうしてるかなあ)

 

 

 

 

 

 

 

(5)

 

 

side 中丸雄一

 

とにかく、相葉さんへ電話してみた。

 

しばらくコールしたけど出ない。

 

「知らない番号って、取らないよなあ」

 

困った、このままだと二宮君の気持ちは伝わらない。

 

相葉さんて、鈍いのだろうか。

 

もう1回と思っていると、かかって来た。

 

うわっ相葉さんだ。

 

「もしもし!」

 

「もしもし、お電話頂いたのですが……」

 

「はいはい! かけました! 中丸です!」

 

「あれ? 中丸? 珍しいなあ、何かあった? よく電話知ってたねえ」

 

「はあ、まあ……」(二宮君に、無理やり登録させられたことは言わない)

 

「どうしたの?」

 

「う……」

 

困ったけど、仕方ない。

 

「その、これは二宮君には内緒でお願いします」

 

「え?」

 

お、声色が変わったな。

 

不審をあらわに、声が低くなった。

 

「二宮君、今日〇〇の飲み会へ行かれるそうです。相葉さんに内緒で」

 

「どういう意味? 中丸がどうして言うの?」

 

「あの、心配なので。では、よろしくお願いします」

 

「ええ? どうして? 何がよろしくなの?」

 

「それは、もちろん、迎えに行ってあげて下さい」

 

もう、説明できないし、実際どんなだかも分からん。

 

だが、きっとこういう事だろうな。

 

「内緒で言いましたからね? 失礼致します」

 

何か言ってたけど、これ以上説明できん。

 

挨拶だけは丁寧にして、電話を切った。

 

 

 

本当は、二宮君に怒られたって、構わないんだけど。

 

二宮君が、悲しんだり寂しそうなのは、嫌だからね。

 

さあ、どうなるかな。

 

 

 

上田と亀は、どうしたかな。

 

二人にメールを送ってみようか。

 

翔さんの相手も、大野さんの相手も大変だろう。

 

 

 

……先輩って、手がかかるなあ。

 

 

 

 

 

 

(6)

 

 

side 二宮和也

 

この間、翔ちゃんの元気がなくて。

 

聞いてみたら、大野さんに怒ってた。

 

「……籍を入れようって言うんだけど」

 

「そうなの? おめでとうかな?」

 

「めでたくない、あの人、もうすぐ海外に行くんだ」

 

「何しに?」

 

「そりゃあ、絵を描く為。期間も決めずに行くんだってさ」

 

「籍入れて、いなくなんの?」

 

「そう! ひどくない?」

 

「ひどい」

 

それって、縛っといて自分は自由にって思われるよ。

 

大野さん、多分言い方を間違えてるんだろうけど。

 

「その海外の話、もう1回ちゃんと聞きなよ。きっと違うんじゃない?」

 

「そうかな……いなくなりたいんじゃない? 俺ってうるさいから」

 

「翔さん、うるさくないよっ。相葉さんなんて……」

 

「相葉君?」

 

「ああ、いや。大野さんの話は、しつこく聞かないと間違ってるから」

 

きっと、何か行き違い。

 

確かに翔さん色々言うけど、縛ってるのは大野さんだよ。

 

翔さん大野さんに言われた通り、最近は上田とばっかり飯行くし。

 

(いや、上田は可哀想だけども)^^;

 

その日は、翔さんとその話は終わって別れて。

 

 

 

 

 

「相葉さん……どう思ってんの?」

 

毎日のように一緒にいるけど。

 

泊まって一緒に寝るし。

 

ベタベタキスとかしてくるけど、恋人じゃないんだ。

 

くっついて過ごすのに、それ以上は何もしない。

 

(し、して欲しいとかじゃないもん)

 

このまま、ずーっとこのままかなあ。

 

このままで楽しかったんだけど。

 

翔さんが、どんどん先にいくのを見て、ちょっと不安。

 

 

 

 

今日は、忙しかった。

 

この後は、ちょっと面倒な飲み会だ。

 

中丸に頼んだけど。

 

ちゃんと言ってないけど。

 

「中丸、電話してくれたかなあ」

 

鈍くてちょっと変わった彼は、気持ちは伝わる不思議な人。

 

「……相葉さん、どうしてるんだろ」

 

ため息吐きながら、いらない通知だらけのスマホを、カバンに放り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(7)

 

side 上田竜也

 

「じゃあ、乾杯」

 

なんて翔さんと山下(智久)が、楽しそうに飲み出した。

 

俺は気が気じゃないから、烏龍茶。

 

どこかのタイミングで、この誤解を解かなきゃならない。

 

(まあ、誤解じゃなくてただの嘘だけど)

 

まあ、元々亀は子供の頃から、山下と遊んでたし。

 

理由を言えば、分かってくれるだろう。

 

「ちょっと、トイレ行ってくる」

 

「はーい」

 

翔さんが席を外した。

 

今だっ!

 

「あの、実はっ」

 

山下は、ちょっと笑って言う。

 

「何? どんな話? 亀が関係ある?」

 

「あ、あるっ。すまん、俺が嘘ついたんだ。翔さんに、亀がお前と付き合ってるって」

 

びっくりした顔で、一瞬黙った山下は、グラスに残った酒を飲み干した。

 

「へえ」

 

「翔さんには、これから言うから、ごめん」

 

にやっと笑った山下。

 

「そのままでイイよ」

 

「え? なんで?」

 

「面白そうじゃん、このまま行こう」

 

「ええっ? いや、ダメだろ?」

 

 

そこへ、翔さんが帰って来てしまった。

 

「久しぶりに飲みすぎかなあ」

 

あははなんて、笑ってるけど、かなり酔っ払ってる。

 

このままでは、この前のパターンになる。

 

(翔さんが乙女モードになると、終わらん。その前に帰らなくちゃ……)

 

 

「翔さん、大野さんとうまくいってるの?」

 

「え? まあ……」

 

(バカッ! 何を言い出すんだっ! やめろ!)

 

さらに、山下はここぞとばかりに、イケメン顔でセリフのように言う。

 

「俺ねえ、亀と上手くいってなくて、フラれそうなんだ」

 

(うわあああっ?!)

 

翔さんが、ポカンとした顔で、驚いてる。

 

だ、だめだ、このままじゃ危ねえ!

 

「しょ、翔さん! そろそろ帰りましょうか! 遅いですし!」

 

「まだ良いじゃん」

 

「あ、上田、明日早い?」

 

「は、はい。レコーディングがあって……」

 

翔さんは、困り顔で山下と俺を見比べた。

 

うんと、一人頷いて、可愛い笑顔になって言った。

 

「分かった、上田は先に帰って。俺、山下と飲んでから帰るよ♡」

 

(えええええええー!!!)

 

「そうそう、上田は帰りな。俺、翔さんに『相談』するからさ♡」

 

「なっ……」

 

ものすごく綺麗な顔で、悪魔みたいに山下が笑う。

 

そ、そう言えば、コイツは、子供の頃も亀をよく揶揄って遊んでたっけ。

 

(か、カメーっ! うわあ、どうしよう!)

 

ますます、俺は大混乱だった。

 

 

 

 

 

(8)

 

 

side 亀梨和也

 

うーん、頭の中を整理しよう。

 

まず、大野さんがプロポーズした。

 

でも、翔さんは断った。

 

入籍・挙式・ハネムーンを全拒否だそうだ。

 

大野さんは、プロポーズのリベンジがしたい。

 

そのために、俺は呼ばれた。

 

……????

 

いやいや、なんか、分かんない。

 

大野さんの話は、ざっくりし過ぎて。

 

この雑さは、上田に通じる気がするぞ。(言葉が足りない)

 

……って事は、まだ色々、聞いてないことがあるはずだ。

 

大野さんはといえば、俺が何とかできるとか思ってるみたい。

 

のんびり歌を歌いながら、手作りのカレーを温めてくれている。

 

 

「大野さん、カレーよりも大事なことが」

 

「腹減っただろ? 美味いの食べさせてあげるから」

 

「それは、問題を解決してから頂きますから。ちょっと、こっちで話し合いましょう」

 

「え〜? せっかく作って置いてたのに」

 

「ありがとうございます、でも、翔さんと結婚したいでしょ?」

 

「うん」

 

「じゃあ、ちゃんとしましょう」

 

「ふぁい」

 

リビングのど真ん中で。

 

二人、向かい合って座る。

 

「もう1回、思い出してください。プロポーズは、どんな時に、なんて言いましたか?」

 

「えーっと。ああ、そうだ。今度海外行くんだ。だから、その前に結婚しようと思うって言ったの」

 

「海外? 仕事ですか?」

 

「うーん、絵を描くのに。まだ詳しく決めてない」

 

「いつから海外ですか? いつまで?」

 

「期限も決まってない」

 

「どうして?」

 

「だって、翔ちゃんと行こうと思って。海外で、式してハネムーンにしようって。ほらあ、何でも二人で決めないとって、亀ちゃんが言ったじゃん」

 

笑顔で言うけどさ。

 

胸を張って、俺のせいにしてない?

 

……あれ?

 

「……待って。それ、翔さんに言いました?」

 

「結婚しようって言ったよ?」

 

「そこじゃなくて、海外で式とハネムーンのところ」

 

「えーっと……言ったっけなあ」

 

「言ってない? それじゃあ、断られますよ?」

 

「なんで?」

 

「その言い方じゃ、籍だけ入れて、さっさと海外へ行くように聞こえますけど?」

 

「そうなの?」

 

あかん。(なぜか関西弁)

 

あかんでしょう?

 

やっぱり、思った通りなんだな。

 

何でもないことが、大きくなってる。

 

眩暈がしていると、大野さんが本気で聞いてくるんだ。

 

「ねえ、どこがダメだったの?」

 

「全部です」

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

(9)

 

 

 

 

side 上田竜也

 

「ちょっと、電話してきます」

 

「大丈夫? 帰っていいんだよ?」

 

「そうそう♡」

 

「お前は、うるさいっ!」

 

 

 

とんでもない事になった。

 

山下(智久)のイタズラ好きが発揮されて。

 

(ちょっと酒も入ってるからなっ)

 

俺がついた嘘を、本当のものとして貫く気だっ。

 

亀(亀梨和也)に知られたら、殺されるっ。

 

「とりあえず、中丸に……」

 

いきなり、亀に電話したら、怒鳴られそうだもんな。

 

中丸に電話しようとしたら、亀から電話が来た。

 

「げっ……」

 

し、仕方ない。

 

「も、もしもし……」

 

「上田? 翔さんは?」

 

「まだ、一緒」

 

「そう、今さあ、大野さんと翔さんの家。やっぱり誤解で揉めてるみたい。だからさ、家まで連れて帰ってよ」

 

「ああ、そう。ちょっと……その……」

 

「ん? なんかやった?」(鋭い)

 

「えっと……やってない」(嘘ではない、やったのは山Pだし)

 

「そう、じゃあ、大野さんと待ってるからねっ」

 

電話は切れてしまって、言いそびれてしまった。

 

……うちの末っ子は、怒ると怖いんだ。

 

「ちゃんと、説明しよう……」

 

決心した俺は、部屋へ戻った。

 

 

 

「すみません!」

 

部屋に入るなり、俺は頭を下げた。

 

「どうしたの? 帰る?」

 

翔さんは、心配そうに可愛い顔で聞いてくれるけど。

 

その翔さんの横で、山下はニヤニヤしてる。

 

「あの、嘘なんです。亀梨と山下が付き合ってるって言うのは! 俺が嘘つきました! すみません!」

 

「え?」

 

「そう、そっちは嘘です。俺も悪ノリしただけです」

 

「そっちは?」

 

ふふって、山下が男前に微笑んだ。

 

「俺、亀が好きです」

 

「ええっ!」

 

「はああああ?」

 

山下は綺麗で悪そうな、色っぽい顔で言い放った。

 

やられた!

 

相手は、さらに上級者だった。

 

(ひーっ! ごめんっ! 亀っ!)

 

 

<後編へ続く>