BL要素あり、嵐妄想小説(お山・OS+KAT-TUN)になっております。

同一のお名前の方々とは、全く無関係です。

興味のない方、嫌悪感のある方は、Backをお願いします。

 

 

 

 

 

オレの先輩と心配・前編

 

 

 

 

(1)

 

 

side 上田

 

最近、俺の先輩の翔さんが、ガラッと変わってしまった。

 

なんだか……中性っぽくなったんだ。

 

イケメンで、男らしいんだけど、たまに色っぽくなるんだな。

 

?????

 

恋人ができたのかなーっと思ったけど。

 

中性っぽいって?

 

中丸に、言ってみた。

 

 

「他所は他所です、上田は、気にしないように」

 

 

意味わかんねえことしか、言わないんだ、じいちゃんだからだな。(違)

 

カメ(亀梨)にも聞いてみた。

 

 

「恋人が、男なんじゃないの?」

 

「えっ? 前は、女と付き合ってたけど」

 

「ふーん、どうなのかなあ。一緒に調べてみる? 俺、今日なら空いてる」

 

悪戯っ子な顔で、カメが言う。

 

そっか、そうだな。

 

中丸がPCしながら、「やめなさいっ」て言うけど。

 

うるせぇんだな、こっちも見ないで注意すんじゃねえ。

 

「上田、どうする?」

 

ワクワクした顔で、カメが聞くから。

 

「よし。実行だ」

 

こらって、後で中丸がまだ、ごちゃごちゃ言ってる。

 

「うるさいっ。俺は、先輩のことが心配なんだ」

 

もし男が相手で、悪い奴なら、どうするんだ?

 

傷つけられて、捨てられて、なのに、女と付き合えなくなったら。大変だろう?

 

「それは……本人が考えるし、余計なお世話なんじゃ……」

 

「まあ、いいからいいから♬ 俺が付いてくから大丈夫っ♡」

 

「上田とカメじゃ、不安なんだっ!」

 

中丸まで、付いてくるって言う。

 

なんだ、付いてきたいんじゃん。(違)

 

 

翔さん、真面目なんだからなっ。

 

どんな相手か、確かめなくっちゃ。(真剣)

 

 

***

 

 

先輩に負けない真面目な上田くんの探偵ごっこが始まった。

 

 

 

 

 

(2)

 

 

side 上田竜也

 

 

翔さんを調べるにも、本人以外に聞けない案件だ。

 

いや、本人には、もっと聞けない。

 

だって。

 

「先輩の恋人って誰?」

 

「先輩の恋人って男ですか?」

 

翔さんに、そんなことが言える奴は、この世にいないと思う。

 

仕方ないから、俺たちは翔さんを待ち伏せする位しか思い付かなかった。

 

出会えたら、そこから尾行だっ。

 

 

 

***

 

 

 

「上田、おまえが呼び出して、ご飯でも食べて訊けば?」

 

「カメ、そんなこと出来ねーよ。俺が呼び出したら彼氏と会えねーだろ?」

 

「彼氏もどうぞって言えば?」

 

「そんなメンタル、俺には無い」

 

「なるほど」

 

俺とカメ(亀梨和也)が、ごちゃごちゃ言ってる横で、(ここは、翔さんがよく来る店の前のオープンカフェだ)

 

ジイちゃんが(中丸雄一)呑気にケーキ頼んでやがる。

 

「中丸……俺らは、ケーキ食いに来たわけぢゃねーぞっ!」(怒)(八つ当たりともいう)

 

「でも、お店に入ったなら頼んであげなきゃ……あ、このケーキも美味そうだなっ♡次回は、これ頼もうかなっ」(女子味)

 

おまえがっ食いたいだけだろうっ。(付き合いが長いから、バレてんだぞ)

 

「でも、俺がいるからこの店も分かったんだろ?」(ドヤ顔)

 

「そうだね、二宮くんに聞いたの?」(ロバ丸のケンカの気配を感じて、間に入るカメ)

 

「3軒教えて貰った」

 

「はあ? 3軒あるのに、じゃあ、なんでココだって決めたんだよ?」(まさか)

 

「ケーキが美味いって聞いたから♪」

 

「中丸が食いたいんじゃねーかっ!」(ほら当たってたっ)

 

「3分の1じゃん、どこでも同じなら、美味しい方がいい」

 

「俺とカメは、甘いもん食わないだろうっっ?!」

 

「そうだっけ」(確信犯だ)

 

思わず、中丸の頭を叩こうとしたら、カメが慌てて止める。

 

「待って待って、翔さん来たよっ」

 

「「えっっ?」」

 

 

なんと、翔さんが本当に現れた。

 

しかも、聞いた目の前の店に入らず、こっちのカフェの離れたテーブルに座ったんだっ。

 

 

「おいっバレるっ、他所向けっ! いや隠れろっ」

 

俺とカメが必死で、思わず屈んでテーブルの下に入ったのに。

 

「お待たせしましたあ、苺のタルトスペシャルですう!」

 

「おー、ありがとうっ♡」

 

中丸のバカっ! 全くジイちゃんだなっ。

 

おまえがココで、大声出してどうすんだっ!

 

頭に来て、足で椅子を蹴り倒す。

 

「うわあっやめろっ」

 

俺から逃げようとして、中丸が立ち上がった。

 

椅子は、倒れるし、音も声もデカいし……。

 

 

翔さんが、この騒ぎにこっちを向いた。

 

バレるっ!!

 

そう思った時に。

 

 

「翔さーん、お待たせしてすみません」

 

大きな声がして、翔さんはそっちに、気を持って行かれた。(ラッキーだ)

 

もちろん3人でその声の主をガン見した。

 

 

 

そいつは。

 

 

 

 

風磨だった。

 

 

 

 

「許さねえっっ」

 

「いやいや、上田落ち着けっ」

 

「あの子が、彼氏とは限んないじゃんっ!」

 

……そうか、でもアイツだったら、ビンタじゃすまねえぞ。

 

カメが必死で、俺を後ろから抑えながらいう。

 

「ほら、顔見て見なよ? 恋人と会う顔じゃ無いよっ」

 

翔さんと菊池は、コーヒーかなんかを、頼んで話し始めた。

 

カメの言う表情なんか、よく見えない。(俺は目が悪いんだぞ)

 

メガネ付けるか……。

 

「……どんな顔だったら、恋人なんだよ?」

 

「え……と」

 

その時、スマホを翔さんが取り出した。

 

電話が鳴ったようだ。

 

「ああ、あんな顔? 見える?」

 

俺は慌てて、メガネ(薄いブルーのレンズ)をかけた。

 

 

確かに。

 

見たことない、可愛い顔の翔さんだ。

 

「え……恋人から?」

 

「かも」

 

俺とカメが、翔さんに釘付けなのに、ジイちゃんは「いただきまーす」なんて食い始めた。(バカっ)

 

 

甘くて嬉しそうな翔さん。

 

その前の菊池は、スマホをイジって気も付かない。

 

お前って、そーいう奴だな。(偏見)(パワハラ)

 

もっと翔さんが話しやすいように、トイレでも行けやっ!!(無理)

 

 

俺とカメは、翔さんの顔を見て確信する。

 

翔さんの相手は、ほぼ間違いない、男だ。

 

 

 

なぜなら、顔が可愛い女の子みたいになったから。

 

 

 

言えないけど、俺はショックだ。

 

 

 

「いつまで食ってんだっ! ジジィっ!」

 

「うわっ危ないっ、バカっやめろっ」

 

中丸に、やつ当たるしか無い俺だった。

 

 

 

 

(2)−2(中丸のつぶやき)

 

side 中丸雄一

 

なんかまた、うちのが騒いでる。

 

この感じは、ダメなやつだな。

 

上田竜也は、少年ジャンプに出てくるような裏表の無い男だし。(子供みたいで可愛い)

 

亀梨和也は、仕事は誰より出来て優秀だが、普段はふわふわした天然だ。(これも可愛い)

 

長男な位置の俺が、二人を守んなきゃならない。

 

だが、俺の苦労も知らないで、二人は俺を「ジイちゃんジイちゃん」と煩い。

 

ほら、上田が仔犬みたいな顔して聞いてくる。

 

「櫻井先輩が……」

 

今頃どうしたんだ、今まで気が付かなかったのか。(噂話嫌いで、聞かないからな)

 

さすが少年ジャンプだ、純粋な子だからな。

 

櫻井さんの恋人は、公には秘密だが、身近な人間は皆知ってる。

 

公然の秘密だ。

 

説明しても、ややこしいから。

 

「他所は他所です、上田は、気にしないように」

 

言った途端に、「ジイちゃんだなっ」

 

って怒りながら、今度はカメのとこに行った。

 

カメも知らなかったみたいで、二人で調べようかとか言ってる。(カメまで分かってないって……)

 

困ったなあ。

 

やっぱり、ややこしいじゃないか。

 

二人の天然が、炸裂してる。

 

仕方ないから、付いていく事にする。

 

行くぞっオウッとか、言ってる二人を、先に行かせて。(カメは、遠足気分みたいだし)

 

「え……っと。電話……」

 

二宮くんに、電話する。

 

簡単に説明すると。

 

「ああ、そうなんだ。翔ちゃんが行くとこねえ」

 

「あの、普段は行くけど、今日は行かないだろうなって店で、お願いします」

 

「なんだよww……面白いんだから」

 

諦めさせるしか無いからね。

 

あんまり、色々知ってもショックだろうから。

 

まず、上田は男と付き合うって選択肢が無いから、理解できないだろうし。

 

櫻井さんのこと大好きだろうから。

 

聞くなら、本人からじゃないと。

 

櫻井さんにも、悪いし。

 

 

「中丸って、優しいよね。翔ちゃん、中丸が話しても怒んないのに」

 

「いいえ、それは申し訳ないんで」

 

「頑固で、真面目なんだから」

 

いや、それを言うなら、過保護なんです。

 

そう言えなくて、挨拶して電話を切った。

 

二宮くんは、色々察するのが早いし、頭がいいからこう言う時、頼りになる人だ。

 

 

 

 

急いで、二人を追いかける。

 

万が一、櫻井さんに会えたら……まあ無いと思うけど。

 

場合によっては……邪魔しなきゃならないかも。

 

 

外に出ると、待ちくたびれた二人が叫ぶ。

 

「「おせーよっジイちゃんっっ!」」

 

必死な顔に、思わず笑ってしまう。

 

「ごめんごめん……」

 

「笑ってんじゃねーっ!」

 

 

二宮くんに、教えてもらった店は3軒。

 

でも、二人に教えるのは一番来ないだろう店だ。

 

その前にある店で待ち伏せさせよう。

 

ケーキが美味しいらしい♡(ネット検索済み)

 

 

さあ、探偵ごっこのお付き合いが始まった。

 

 

 

 

(3)

 

 

 

 真面目な翔先輩の後輩、さらに真面目な上田竜也。

 

先日、先輩の変化が心配で。

 

亀梨と中丸を巻き込んで尾行したものの、結果はもう1つだった。

 

先輩が変わったのは、新しい恋人のせいだとは、分かったものの。

 

まだ、先輩を変えた恋人の影も見られないままだ。

 

恋人はどうも、男性らしいとなったから。

 

酷い目に遭わされないか、後輩は心配だった。

 

関係ないと言われれば、それまでの後輩の身である。

 

気にせず、良い後輩の友人で居たいのも、本音だ。

 

もう、この件は関わらない方が良いかも……とグルグルする。

 

 

 

それなのに、何も気が付いてない翔先輩は、急に食事の誘いの連絡を寄越して来た。

 

頭を抱えつつミネラルウォーターを飲んでいる前で、亀梨は心配そうに様子を見ていた。

 

 

「上田ぁ……大丈夫?」

 

「……大丈夫じゃねえ。これから翔さんと会うんだ」

 

「えっ! どうするの? 聞け……ないか」

 

「いや、聞こうかな」

 

「おお? 大丈夫?」

 

「……カメも来る?」(おずおず)

 

「えっ本当? いいの? いくっ♡」(喜っ)

 

 

 

「ダメです」(パパの断言)

 

 

 

声がして振り向くと、いつの間にか、中丸がそばに立っていた。

 

 

「中丸どうしたの?」

 

「なんなんだよ、ジイちゃん」

 

 

上田と亀梨のそばの椅子に座ると、はあっと息を吐く。

 

 

「鬱陶しいぞ、中丸」

 

「俺、上田が良いって言うから、行くんだけど?」

 

 

中丸は、腕組みすると、お父さんのように話し出す。

 

 

「カメは、お留守番です」

 

「「ええっなんで?」」(二人の悲鳴)

 

「カメは、この後も仕事の打ち合わせだろ? それに櫻井さんと上田の二人の方が良い」

 

 

「あの事」を聞くならな、と念を押す。

 

上田は、シュンとして、次は口を尖らせた。

 

亀梨も、不満そうだ。

 

(打ち合わせって、なんで中丸がスケジュール知ってんの?)

 

(中丸くんは、なんでも知っている)

 

 

「上田一人の方が、櫻井さんも話しやすいと思わないか?」

 

「……分かった」

 

「困ったら、連絡しろよ。なんならカメ連れて迎えに行くから」(結局良いんだ?)

 

何それっ? って亀梨が、ブツブツ言っているが、中丸は気にしていない。

 

 

「そうだな……でも聞けっかなあ」

 

「無理に聞かなくても良いと思うけど」

 

「そうそう。機嫌良く、いつもみたくすれば? そのうちに、向こうから言うかも」

 

 

亀梨は、特別に勘が良い。

 

この日も、それは当たることになる。

 

 

「翔さん、待たせちゃ悪いから、行ってくる」

 

「行ってらっしゃーい♡」

 

「困ったら、連絡なっ」

 

 

中丸は、いつだってお父さんのようだ。

 

亀梨は、そんな中丸と上田を微笑んで見つめた。

 

(二人とも、優しいからなあ)

 

 

 

***

 

 

 

「上田、お待たせ。」

 

 

櫻井が予約した店は、個室の和食店だ。

 

早く着いた上田が待ってると、櫻井が時間通りやって来た。

 

 

「お疲れ様です……?」

 

「あ、一人で飯行くって言うから、誘ったんだ。良いかな?」

 

「上田君、こんばんはあ」

 

あの風磨が、櫻井について来た。

 

「(げっっ良くないっ)はあ……イイっすけど」

 

(また、コイツはっ。一人じゃないじゃんっ中丸のばかっ)(八つ当たり)

 

 

とりあえず、乾杯して、食事が進んでいく。

 

上田は、櫻井と菊池の楽しそうな会話を聞きながら、ひたすら食べる。

 

「上田君、食べんの早いですね? 中丸君は、来ないんですか?」

 

「あっ? おまえ中丸に用でもあるのか?」

 

「こわっww、いや、俺中丸君と気の合う気がするんですよねえ」

 

 

お酒も入って、楽しそうな後輩は、そう言って上田の機嫌を悪くする。

 

明るく頭もいいし、スタイルも良くて。

 

彼の悪いところは馴れ馴れしいところだけ。

 

だが、上田はこの世で馴れ馴れしい男が、1番嫌いなのだった。(女子は無視だ)

 

 

「ごめんごめん、怒んないでね? ほら、菊池も甘え過ぎないようにね」

 

「甘えちゃダメなんですかあ♡」

 

「翔さんの前で、酔っ払ってんじゃねえっ!」

 

 

櫻井からするとこの二人は、きっと仲良くなれると思って引き合わせているのだが、なかなか上田は難しい。

 

特に今は、機嫌が悪いらしいのは、感じている。

 

 

「翔さん、今日は本当はデートだったんすよ」

 

「はっ?」

 

「おい……」

 

酔っ払った青年は、悪気もなくニコニコ話してしまう。

 

「デート……」

 

上田は、どうしていいか分からない。

 

こんな時の為に、亀梨を連れて来たかったのに。

 

(くそー、俺には気が利いた事なんか言えねえ。中丸のバカっ)

 

 

「いや、後で迎えにくるって、ここへ来る直前に、連絡あったんだよね」

 

嬉しそうに、照れくさそうに櫻井が言う。

 

「ああ。じゃあ良かったっすねえ♡。俺も誰か知らないんすよ、楽しみだなあ」

 

菊池が、無邪気にいう。

 

上田は、櫻井の様子を見ながら、言葉が出てこない。

 

 

「上田にもさ、一度紹介したかったから、ちょうど良いかなって思ってさ」

 

(ちょうど良いって、何なんですかっ。俺には分かんねえ)

 

「はあ……俺が会って良いんですか?」

 

「うん、紹介したい」

 

ニコニコ可愛く言われてしまって。

 

恋人のことになると、嬉しそうだから。

 

「……ありがとうございます」

 

複雑な気持ちで、言うと菊池が、良かったですねっなんて言うから、黙って頭を引っ叩いたのだった。

 

「おまえは、もう帰れっ! 酔っ払い!」

 

「あははは、怒ってるう。上田君も、中丸君呼んで下さいよお」

 

「しつこいっ」

 

ギャンギャン騒いでると、個室の扉が開いて。

 

 

「おう、楽しそうじゃん。翔ちゃんお待たせ」

 

覚えのある声が、響いた。

 

ゴチャゴチャしてた上田と菊池が、思わず固まって黙って見つめる。

 

 

「「ええ?……」」

 

 

「お疲れ様」

 

 

 

笑顔で櫻井が迎えた相手は、大野智だった。

 

 

 

「「……大野さんなんですかっ??」」

 

思わず仲良く後輩二人は、声をあげたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)

 

 

 

 

翔さんの……翔さんの恋人は、大野さんだった。

 

やって来た大野さんは、穏やかに微笑んで、当然のように翔さんの隣に座る。

 

「お……お疲れ様です」

 

「お疲れ様、悪かったね。俺が遅かったから」

 

そう言って、翔さんの手を握った。

 

翔さんは、ちょっと恥ずかしそうに、下を向く。

 

 

……どっち見て良いか分かんねえ。

 

「上田君……俺ら邪魔じゃないすかね?」

 

「もちろん邪魔だ、お前は帰れ」

 

「えっ! 俺だけ帰るなんて、嫌ですよっ」

 

俺と菊池のやりとりを聞いていた大野さんが笑う。

 

「帰んなくて良いよ、一緒に飲もう。俺、腹減ってるし」

 

「あ……はい」

 

「そうですかっ! じゃんじゃん飲みましょう!」

 

菊池、お前はどうかしてるゾッ。

 

俺は黙って、菊池の頭を叩いた。

 

 

 

どんどん、追加料理が運ばれて。

 

お酒も結構進んで、翔さんは、もう真っ赤になっていた。

 

大野さんは、飲もうと言いながら、最初の小ビール一杯だけで、あとは烏龍茶。

 

菊池は、もう半分寝ている。

 

後輩が先輩の前で、潰れてんじゃねえええ!(バカッ)

 

俺も、酒は早々にやめて、烏龍茶に水だ。

 

酒に呑まれるなんて、あり得ない。

 

何かあった時の為に、自制しておく。

 

俺がいる場所で、翔さんに何かあっては、申し訳ない。

 

 

 

 

「……大野さんのバカっ……」

 

……? ……聞き間違いかな?

 

「ごめんごめん」

 

「連絡も無いんだから……俺、いっつも……いっつも……!」

 

「ごめん」

 

えっ……絡んでる? 翔さんが? 大野さんに?

 

菊池は、盛大に寝だしてるし。

 

……俺一人じゃんかっ!

 

菊池っお前は本当に、役に立たないっ。

 

翔さんは、涙ぐんで何か怒ってるし。

 

大野さんは、そんな翔さんを抱き締めちゃってるし。

 

やばい……他の奴らなら、放って帰るか、文句言ってやるのに。

 

……いや、帰るべきか。(すぐ帰れば良かった……)

 

「きっ菊池っ! 起きろっ! 起きなきゃ永遠の眠りにつかせるゾッ!」

 

「ええ……なんすかあ……」

 

「帰るゾッ! 起きやがれっ!」

 

「えー……眠いっす……」

 

「ここは家じゃねえ! 殺すゾッ!」

 

 

 

「上田、帰らなくても……」

 

酔っ払って泣いてるのに、翔さんが俺の上着の裾を引っ張る。

 

「す、すいません。俺らもう帰るんで……」

 

「ごめんな? 気にするな」

 

大野さんがそう言って、翔さんの手を掴んで離させる。

 

……やばいぞ、早く帰んないと。

 

これ以上は、俺のメンタルが保たない!(涙)

 

凄い、恋人っぽいぞお……。

 

「帰るぞ! 菊池!」

 

「ふぁーい……」

 

丁寧に、頭を下げて菊池を連れて、逃げるように店を出た。

 

「……死ぬかと思った」

 

「ええ……なんでですかあ? でも、翔さんて……女の子なんすかねえ?」

 

「はあ? 男に決まってるだろう?」

 

「やだなあ、『どっち』ってことっすよっ」

 

え?

 

それって……もしや……。

 

「菊池、2度とその話をするんじゃねえっ! 今度したらその場で殺すからなっ!」

 

「ええっ? 怒ってばっかりじゃん!」

 

「うるさいっ!」

 

グダグダまだ飲みに行きたいとか言う菊池を、なんとかタクシーに乗せて、帰らせた。

 

やっと一人になって、はああっとため息が出る。

 

 

「カメに……聞いてみよう……」

 

これからの対処法をカメと考えなきゃ……。

 

俺には無理だっ。

 

想像もできないが、色々考えなきゃならない。

 

この調子じゃ大野さんがいないと、呼び出されそうだし。

 

スマホを片手に、通りを歩き出す。

 

……後輩って、大変だぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(5)

 

 

 

side 中丸雄一

 

 

上田(竜也)が、翔さんとの飲み会から帰るなり、カメ(亀梨和也)を呼び出した。

 

で、カメも少々飲んでるから、車を出してと電話して来て、結局俺まで上田の家に集合だ。

 

「やっぱ、ジイちゃん優しいなっ♡」

 

「お前と、そう変わんないからっ」(怒)

 

そうして、先輩翔さんの心配の相談会議は、始まる事になった。

 

 

***

 

 

上田の家は、真っ白なポメラニアンのチビがいる。

 

上田的には、彼女よりチビが上らしい。

 

「チビーっ♡相変わらず美人だなっ♡」

 

俺らは3人揃って、犬好きなので。

 

上田と話すより、まずチビと話す方が、先で長い。

 

俺もチビは可愛いが。

 

いつまでもいつまでも、犬から離れないのは、困るんだ。

 

カメは、終わりが無いからチビごと、奥の部屋に引きずって連れて行くことにする。

 

『もうっジイちゃん、せっかちで面倒だなあ』とか言ってるが、バカッお前が一番面倒なんだっ。

 

 

 

***

 

 

 

翔さんとの飲み会での出来事を、いつもながら、分かりにくく説明されて。(難しすぎるんだ)

 

いまいち、俺は分からんが、カメは感覚だけでわかるようだ。

 

「上田は、関係ないだろう?」

 

「中丸は、他人事だから分かんねえだろ?」

 

「他人事ではないけど……」

 

「俺は、関係なくないから、困ってんだっ」

 

そうして、上田は真面目だから、カメとまた変な会話ばかりしてるんだな。

 

「カメ、男と付き合ったことある?」

 

「は? 俺が男と付き合ってるとか思ってた?」

 

「いや、お前は、女に優しいもんな。モテるしな」

 

「俺、男4人兄弟の3男なのに、有り得ねーよ。男ばっかだぞ? 嫌だよ」

 

「そうだよなあ……」

 

まあ、二人とも男に興味は無いもんな。

 

若い頃は、二人とも女の子みたいな見かけのせいで、色々襲われそうになってたりしたけど、相手をボコボコにして帰って来たのは知ってる。

 

「男同士って、どうやるか知ってる?」

 

「知ってるっ! 昔にBL……? とかいう本もらった」

 

「ええっ? なんて書いてあった?」

 

あかん。

 

また、話がおかしな方向に……。

 

二人は、天然炸裂するタイミングが同じなんだ。

 

(俺には、プリ○ュアに見えるからなっ)

 

「えーっと……」

 

カメが何か言うたびに、上田が悲鳴を上げている。

 

きゃあきゃあ、大騒ぎだ。

 

全くこんな時は、子供なんだから。

 

「そ……そんなのは、有り得ねえだろ?」

 

「さあ……書いてあったけど?」

 

「なんでも、鵜呑みにすんじゃねえぞ。絶対に綺麗でも、気持ちいいワケでも無いだろっ?」

 

「俺ら、やった事ないから、分かんないなあ」

 

現実的じゃない描写が多いらしい……。

 

ってか、何の話なんだ。(知ってどうするんだ)

 

翔さんの話は、どうなったんだ。

 

「上田、翔さんの何が気になるんだよ?」

 

「いや……もし……だけど」

 

ちょっと、考えながら言いずらそうにしてる。

 

「万が一さあ、翔さんが別れちゃうとするだろ? どうなるかな?」

 

カメがチビと、ゴロゴロ転がって遊びながら答えた。

 

「次の恋人……ってなるんじゃない?」

 

「そうなら良いけど……。偏見じゃねえけど。きっと翔さんは、男が好きな訳じゃねえ。大野さんが良いんだと思う」

 

「まあ……モテるんだし。いつも美人にいっぱい寄って来られてるもんね。それが大野さんだもん」

 

「でもさ……上手く言えないけど……男と付き合って、女と付き合えないってなったらさあ……」

 

「大野さんが良いなら、その後は、男も女も無理になっちゃうなあ」

 

「そう! そうなんだよ! それが心配なんだよなっ」

 

 

 

なるほど。

 

そこまで心配するのか。偉いな上田。

 

俺が見ても、翔さんて、そんな器用そうに見えないしな。

 

 

 

カメが、チビと戯れながら言う。

 

「それはさあ……大野さんに頑張ってもらわないとねえ」

 

「どんな風に?」

 

「上田に聞いてる話からじゃ、翔さんて真面目で拗らせそうじゃん。好きでも別れるとかしそうじゃない?」

 

「うわっ、やめろよ。怖いだろーっ」

 

「どうしようもないよ、本人らしか」

 

本当にそうだな。

 

大丈夫かどうか、俺らには分からない。

 

「なんとか、うまくいって貰うように、祈るしかないなあ」

 

「拗れたら……俺……大変になりそうじゃんっ……」

 

「確かに」

 

 

 

確かになあ。

 

でも大丈夫だろうなんて、俺らは言ってたんだけど。

 

もしかしたら。

 

カメの予想と上田の心配は、現実になってしまう気も、ちょっとするけど。

 

(カメの言う事は、よく当たるんだな……^^;)

 

もし、そうなっても。

 

 

 

……上田っ! 大好きな先輩のためだっ! がんばれよ! ^^;

 

俺とカメは、遠ーく遠ーくから、応援してやるからな。(棒)

 

何、骨なら二人で拾ってやるから、頑張れよ。(逃)

 

 

 

 

 

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