嵐妄想

末ズ妄想(MN)

BL小説(純愛・初恋)

登場人物等全てフィクションです

 

 

 

 side ニノ

 

 

春もうらら。

 

天気も良くって気分が良いから、電車を途中下車した。

 

家まで二駅分の散歩になる。

 

春だけあって、デートらしい二人組がたくさん歩いている。

 

駅を出た先の商店街を抜けて、懐かしい母校の登下校で通った道。

 

 

 

ここを歩くのは、いつ振りかな。

 

長い間この道は、歩いていなかった。

 

中校生の頃、この辺りで友達とカフェに入った記憶があった。

 

高校生になってからは、電車で家の近くまで帰るから通ることもない。

 

「あっ、ここだったなー」

 

大きなガラスのウィンドウの前に立ち止まる。

 

今も変わらないカフェは、学生でいっぱい。

 

「ここのキャラメル・ラテ美味しかったな」

 

看板のメニューを見ながら呟いた。

 

 

 

懐かしい友人の顔が浮かんだ。

 

眉が濃くて、目が大きくて、可愛い顔の。

 

僕より小柄で真面目で、何でも一生懸命だった。

 

 

「そうだ、潤君どうしてるんだろう……」

 

「元気だよ?」

 

独り言に返事があって、驚いた。

 

「え?」

 

思わず振り返ると、背の高い、眩しくらいのイケメンが立っていて。

 

同時にカフェの自動ドアが開いて、そのドアのガラスに反射した光が舞った。

 

 

 

「だ、誰?」

 

「え? 分かんない?」

 

まさか。

 

「潤君?」

 

そうって、そのイケメンが笑って頷いたから。

 

僕は。

 

さらに驚いたのだった。

 

 

 

+++

 

 

 

「折角だから、店に入ろうよ」

 

潤君が微笑んで言うから、一緒にカフェへ入った。

 

カフェには、女の子がいっぱいいて。

 

みんな、潤君を見る。

 

「カッコいい……」

 

「俳優みたい……」

 

小さく聞こえる囁きに、ドキドキする。

 

僕ってどう見えるのかな。

 

釣り合わないって思われてそうで、緊張しちゃう。

 

自分って、昔から変わんないからなあ。

 

そう思ってたら。

 

「ニノって変わらないね」

 

頬杖ついて、爆イケな顔で言われたから。

 

飲みかけの水を吹きそうになって、ケホケホむせちゃった。

 

「……っ!」

 

「大丈夫?」

 

「だ、だい……じょうぶ……///」

 

は、恥ずかしい。

 

必死で口を押さえてると、立ち上がった潤君が僕の背中を摩ってくれた。

 

「無理しちゃダメだよ? ゆっくり息して?」

 

「う、うん……」

 

キラキラした潤君。

 

僕より小さかった潤君の背丈は、今は僕を追い越していた。

 

髪型も綺麗にセットされていて。

 

よく見たら、服も高そう。

 

寝癖のまま歩いてる僕と、同じ男子には見えない。

 

むせちゃった声と、立ち上がった潤君の半端ないオーラに、店中が色めき立っている。

 

注目を浴びて、耐えきれずに帰ろうかと思った時に。

 

「ニノって、今も可愛いね」

 

はっきりした声で潤君が言って。

 

ニッコリ笑った顔に、僕は真っ赤になって。

 

店の中の女の子たちの小さな悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

 

「か、可愛いなんて……」

 

恥ずかしくて死にそう。

 

まだ、店の中はザワついているし。

 

……いや、可愛いって、ドジって意味かな?

 

ちょっとムッとすると、潤君が笑い出した。

 

「やっぱり可愛いじゃん、ニノ」

 

そう言って、潤君が人差し指で、膨れた僕の頬をつついた。

 

「や、やめてよっ///」

 

すると、急に真面目な顔になった潤君。

 

怒った? どうしよう?

 

「ずっとさ、逢いたかった」

 

「え?」

 

「卒業してから。ニノに会えるかなって、いつもこの辺りとか彷徨いてた」

 

「ま、また……そんな冗談……///」

 

「ずっと、ニノに会いたかったんだ」

 

「え……」

 

もうって、笑ったら怖い顔。

 

「信じない? どうして?」

 

しまった、潤君て真面目さんだったっ。(ドキドキ)

 

「ご、ごめん。でもさ……何で僕?」

 

「そりゃ、可愛かったし、今もやっぱり可愛い」

 

真面目に言ってくれるけど、こんなイケメンには似合わない僕だ。

 

「潤君だったら、誰でも好きになるよ。すごいカッコいいもん。わざわざ昔のクラスメートに逢いたいなんて……」

 

すると、パッと潤君が嬉しそうになって、僕の左手首を両手で掴む。

 

「わっ! ど、どうしたの?」

 

「今言ったこと、ホントっ? 嘘じゃない?」

 

「う、うん? 嘘じゃないよ?」

 

「カッコいい? みんな好きになる? それって100%?」

 

「え? そ、そうだね? どうしたの?」

 

ものすごく純粋なキラキラした顔で潤君が言う。

 

こんな可愛い顔で言われて、否定できる人っている?

 

「それって、ニノも?」

 

「え?」

 

「100%なら、ニノもでしょ?」ww

 

「そ、そう……ね、でもね」

 

なんだか、会話の意味がおかしくない?

 

「ニノ! 良かった! 俺嬉しい!」

 

「へ?」

 

立ち上がった潤君に引き摺られて、手首を掴まれた僕も立ち上がる。

 

「ニノ! 大好き!」

 

潤君が僕を抱きしめてくれたから、店内は今度こそ、悲鳴だらけになって。

 

僕は、声も出ないまま潤君の胸に収まってしまった。

 

 

 

 

 

……再会した友達との恋が始まるまで、あと少しの春の日。

 

僕らの、最初のデートだった。

 

 

 

 

 

 

<前編 END♡>

 

 

 

ずっとニノ💛ちゃんへ片想いしていた、純情な潤君💜でした♡

後編は潤君サイドです(^^)

 

(かつんちゃんの曲を聴きながら書きました。↓)