『僕は友達が少ない』キャラクター考察~夜空と星奈のすれ違う想い~ | 抹茶コーラ飲むですか?

『僕は友達が少ない』キャラクター考察~夜空と星奈のすれ違う想い~

10月から開始される予定の新アニメ『僕は友達が少ない』。

皆さんはご存知でしょうか!?


抹茶コーラ飲むですか?-僕は友達が少ない

僕は友達が少ない ・・・TBSによるアニメ公式ホームページ

僕は友達が少ない ・・・メディアファクトリーによる公式ホームページ


聖クロニカ学園(せいクロニカがくえん)高等部2年生の羽瀬川小鷹は、転校から1ヶ月経ってもその外見が原因で周囲にヤンキーと勘違いされ、クラスで浮いた存在であった。


ある日、小鷹はいつも不機嫌そうにしている同級生の三日月夜空が一人で楽しげにしゃべっているのを目撃。夜空はエア友達と話していたと釈明し、友達をつくるために隣人部(りんじんぶ)という部活を創部、小鷹も無理やり入部させられることになる。


やがて隣人部には女王様気質の美少女・柏崎星奈、「しんのおとこ」を目指す楠幸村、邪気眼な小鷹の妹・羽瀬川小鳩、変態的思考を持つ天才少女・志熊理科と、非常に「残念」な美少女たちが次々と入部してくる。

ウィキペディア より引用。9月11日にアクセス。)



MF文庫Jから刊行されている原作ノベルは累計で350万部を売り上げる大ヒット作ということで、アニメ放送の開始を楽しみに待っている方も非常に多いのではないかと思います。


私もこのアニメには大いに期待していて、前からずっと読んでみたいと思っていた原作にもこの機会についに手を出してみることにしました。

アニメ放送が始まるまでは特に記事は書かなくてもいいかなぁと思っていたんですが、まぁ書けるときに書いておけるのなら書いた方が良いだろうということで、今日はこの『僕は友達が少ない』の原作についてちょっと語っていきたいと思います。


抹茶コーラ飲むですか?-僕は友達が少ない 原作ライトノベル

で、何をやるのかというと、タイトルにもある通りキャラ考察です。

具体的には本作のツートップのヒロインである夜空と星奈について書きたいと思います。


この作品には魅力的なキャラクターがそろっており、キャラごとに根強いファンがたくさん付いているかと思うのですが、私としてはやはりこの二人をまずは語っておきたいのです!

というわけで、妹組や後輩組が好きな方にとってはこの記事はそんなに面白くないかもしれません。・・・ごめんなさいごめんなさい(。-人-。)



それでは前置きはこれくらいにして、早速考察を書いて行くことにしましょう。

あ、原作の内容を思いっきりネタバレしちゃってるので、6巻までを未読の方やアニメを先に観ようと思っている方はご注意ください!




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■本当は夜空のことが大好きで、仲良くなりたいと思っている星奈


抹茶コーラ飲むですか?-柏崎星奈

星奈の気持ちを読み解くのはそこまで難しくありません。

一言で言ってしまうならば、彼女は夜空と友達になりたいと思っているのです。

修学旅行や家庭科の調理実習でグループを作るときに自然と同じ班を組むような、そんな親しい関係になりたいと思っています。

「あたしも友達がほしいのよ!」と叫んで『隣人部』に入部して来た星奈のあの言葉は、100%の本心から出た言葉だったと言えるでしょう。星奈は普段の言動こそちょっとアレですが、友達を欲している普通の女の子であるという点は間違いないと思います。


ではなぜ、ごく普通に友達を作りたいと思っているはずの星奈に友達がいないのか。

それはまぁ、本編にもばっちり書いてあることですが、星奈の完璧すぎるスペックと性格に大きな問題があるからです。

お金持ちのお嬢様で、容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能のウルトラ美少女。・・・そんなただその場にいるだけで一般の女生徒から嫉妬されるような超高スペックな特徴を持っているだけでなく、星奈自身のナルシストかつ高慢な性格が災いして、女の子は誰一人として彼女との距離を縮めたいとは思わなくなってしまったわけですね。むしろ庶民を見下すような態度を取る星奈に嫌悪感すら抱いている。

せめてその高スペックをひけらかさない謙虚さや慎ましさが星奈に少しでもあれば良かったのですが、自分のことが大好きな彼女はこの問題ありありな性格を自覚しているにも関わらず断固として直そうとしないため、というか直す気がそもそもないため、結局友達はできないままという状態。


そんな星奈が出会った、素のままで付き合える唯一の同年齢の女の子――それが三日月夜空なのかもしれません。

入部したばかりの頃の星奈は夜空に明確な「敵対心」を示し、友達になりたいと微塵も思っていないように見受けられます。しかし、毎日部活で顔を合わせるうちに少しずつその心境にも変化が訪れ、星奈の夜空に対する感情は比較的早い段階で「敵対心」よりも「親しみ」や「好意」といったプラス的なものへとシフトしていったように思えます。


「……あ、あだ名を付けられたの初めてだったから、その、ちょっと……う、嬉しくて」

星奈は顔を真っ赤にしてうつむいた。 (1巻238頁)


「そうだったか? 私に名前を呼んでもらえたことを感謝するがいい柏崎星奈」

「そ、それは、う……」

何故か顔を赤らめて、星奈は再び小説へと視線をやった。 (2巻202頁)


「…………ふむ……」

夜空が若干顔を下に向け、星奈の顔を上目遣いで見つめ、低く唸る。

「な、なんか照れるわね……」

頬を赤らめる星奈を難しい顔で見つめながら(以下略) (6巻68頁)


そんな夜空を、星奈がニヤニヤしながら見つめる。

「くふふ……夜空の触手凌辱シーン……夜空が触手で……ハァハァ……」 (6巻237頁)


続けて、星奈が姿を現した。

「うぇへへ……夜空や小鳩ちゃんのいやらしボイス……ぐへへ……ぐへへへへ……」 (6巻239頁)

最新の6巻まで行くと、このようにちょっと百合方向の感情すら抱いているのではないかと推測できてしまうほどですね。ぶっちゃけデレデレです。

(夜空を盗撮した写真も実はいけない用途に使っているんじゃないのか?ww)


星奈にとって、夜空はありのままの自分でぶつかれる大切な「友達」。

これは一つの仮説ですが、今まで星奈が出会って来た女の子たちは星奈の持つ高スペックさや自己中心的な性向に嫌気がさし、彼女とまともに向き合おうとすらしなかったのではないでしょうか。

とりあえず「柏崎さんは男子と遊んでれば?」と適当にあしらっておくのが常套手段。星奈は同年齢の女の子たちからそんな冷たい対応しか受けて来なかったのかもしれない。


しかし、あの『隣人部』の部長だけは、夜空だけは、違う。

もちろん夜空も星奈の高飛車な性格を好いているわけではなく、むしろほとんど本心から鬱陶しいと思っている節すらあるのですが、それでも星奈に負けるのは癪なのできちんと彼女に向き合い高慢な態度をへし折ってやろうと真っ向から立ちはだかるわけです(たまに完璧に無視を決め込むこともあるけれど)。

罵詈雑言を浴びせたり、ハエ叩きで殴ったり、背中を足で踏みつけたり、美少女ゲームのいかがわしい台詞を朗読させたりと、とにかく容赦がありません。


単に自分を拒絶したり差別するのではなく、憎たらしいほどに立ち向かって来る。張り合って来る。そして、決して屈しようとしない、倒れない――。

そういうある意味「ライバル」にもなり得るような強力な女の子は星奈にとって夜空が初めてだったに違いない。

「男子と遊んでれば?ギャハハ☆」と嘲笑する対象として星奈を捉えているのではなく、星奈の本質に向き合い対抗しぶつかって来てくれる女の子。それが夜空。

だからこそ、星奈は夜空に惹かれていったのではないでしょうか。


星奈は「いつかあのバカをとっちめてやる」と言いつつも、本音としては夜空の存在をとても有難い大切なものだと思っているのです。そして、いつかそんな夜空に自分を友達として認めさせて、屈託なく笑い合える関係になりたいのです。

小鷹を巡って難しい様相を呈しつつある現状は別問題として、とにかく純粋に夜空と友達に・・・。

そんなピュアな気持ちが今の星奈の胸の内にはあるのではないかと思います。まぁ、傍から見れば二人とももう立派な友人関係だと思うんですが、それは言わないお約束ですね。


・・・あと、星奈って女王様気質かと思いきや実はM属性が強いので、サディストな夜空に無意識のうちにハマっているという側面も少なからずあるのかもしれません。・・・残念すぎる娘!(だがそこがいい。)





■とある理由があって素直になれない夜空


抹茶コーラ飲むですか?-三日月夜空

夜空の気持ちは星奈よりも難しいです。まずそもそも、夜空は本当に女友達を作りたいと思っているのかすら多少怪しいです。

美少女ゲームをプレイして理想の女の子を追い求めたり、夜空に積極的にちょっかいを出したり、小鳩に変質者も顔負けの好意を寄せていたりと、星奈は曲がりなりにも女の子に興味を示しています。方法や表現の仕方は限りなく歪んでいますが、女の子の友達が欲しいという星奈の気持ちは嘘でも何でもなく本物なわけです。


しかしその一方で、『隣人部』を作り上げた張本人である夜空は、それほど積極的に友達を作りたがっているようには見えません。むしろ、星奈や理科をときには心の底から拒絶するかのような刺々しさを6巻現在でもまだ孕んだままです。

友達作りに関する夜空の考えがいったいどのようなものなのかは分かりませんが、少なくとも星奈のように『隣人部』の中で進んで女友達を作りたいと思っているようには到底感じられません。


それはなぜか?

答えは簡単です。夜空は小鷹のことが好きだからです。小鷹のことが大好きで、他の友達を作ることはとりあえず二の次だと思っているからです。

いや、もしかしたら彼女は小鷹のことしか目に見えていない状態なのかもしれません。

小鷹にとってあの10年前のソラとの関係がとても大切でかけがえのないものであったのと同じように、夜空にとってもあの10年前のタカとの関係は忘れられない尊い宝物だったのです。(だからこそ、10年間の空白があってもタカの特徴的な頭髪をしっかりと覚えており、すぐに小鷹=タカだと確信できた。そういう意味では、夜空は小鷹以上にあの10年前の繋がりを大切に思っていたのかもしれない。)


そんな小鷹との関係を10年前と同じような親密なものにするために、タカとの距離を再び縮めるために創設したのが『隣人部』。

――こうハッキリと言ってしまうと酷であるような気もしますが、夜空の思惑は意識的にも無意識的にもその一点に収束されていると断言できるのではないでしょうか。

タカのことを友達と見ていたのか、それとも異性として見ていたのか、それは彼女自身にも分からない複雑で深淵で神聖な感情だと思うのですが、ともかく小鷹との仲を深めたい、小鷹に近づきたい・・・それが夜空の何よりも優先される願いなのです。


そうした思いを込めて作り上げた『隣人部』であるはずなのに、なぜか入部希望者が続々と集まり二人の空間に割り込んで来るのだから、夜空としては全然面白くないわけですね。

なぜあんな適当に作ったポスターで部員が集まって来るのか、なぜ小鷹の気を引くのに十分過ぎるような美少女ばかりが集まって来るのか・・・!夜空のイライラは募るばかりです。


「…………肉といい、何故あんなゴミみたいなポスターで……」 (2巻73頁)


「…………もうヤダ……ほんとついてない……なんでこんな上手くいかないんだよぅ……」 (5巻152頁)

集まって来た部員の中でも夜空にとって一番不愉快なのは、言わずもがな、柏崎星奈である。


星奈は性格にこそ大きな欠陥があるものの、性格以外は正直に言って非の打ちどころが皆無なパーフェクト美少女。

小鷹は今のところ星奈に特別な感情を抱いてはいない。――賢い夜空はそれを頭ではちゃんと分かっているのかもしれませんが、あれほど完璧な美少女が自分の好きな男子の目の前に常にいるわけですから、当然ながら気が気ではありません。

さらに、星奈の高慢な態度が彼女の攻撃的な神経を何かと逆なですることになってしまい、会話を重ねるごとに星奈への好感度は低下していくという悪循環。

かくして夜空の中では、星奈と友達になりたいという感情よりも、「あいつは小鷹と私の間を邪魔するただの生意気な肉だ!」というドス黒い感情の方が圧倒的に勝ってしまい、結果的に星奈をまったく友達として認識することのできない現状が完成してしまったというわけです。


夜空と星奈・・・この二人は『隣人部』とは別の場所でもっと別の出会い方をしていれば、もしかしたらすんなりと友達になれていたかもしれないのに・・・。





■でも夜空が星奈に対して全くデレていないのかと言えば、決してそうではない


抹茶コーラ飲むですか?-夜空と星奈

どちらかと言えば夜空にべったりな星奈とは対照的に、徹底して星奈を忌避しているかのようにも見える夜空。

しかし、夜空が星奈に対して心を許す言動をまったく見せていないのかと言えば、決してそんなことはありません。


それが最も端的に表れているのが6巻の「一回目」というエピソードなわけですが、これはもう読んで夜空の繊細な心情の発露を感じ取ってくださいとしか言いようがないですね。

二人の間に流れていた気まずい空気が解消されたときに夜空が垣間見せたあの微かな安堵の表情は、これから先開かれるであろう二人の明るい交友関係を示唆しているのかもしれません。・・・というか、そうだったら嬉しいな!



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・・・とまぁ、あまり難しく考察するような作品ではないと思うのですが、あえて重苦しい硬い文体で夜空と星奈について考察してみました。いかがでしたか?

基本的には下品でおバカな楽しいギャグ作品ではあるんですが、夜空と星奈の微妙にすれ違う感情の描写というか、いつも口喧嘩しているはずなのに何故かこの二人の掛け合いは心地良いというか・・・そんなところがこの作品の持つすごく魅力的な部分だし、同時に考察する価値の高い部分だと思います。


ややこしい表現をやめて率直に言えば、私はこの二人がギャーギャーと言い争ってるところがすごく好きなんですww

逆に、小鷹を巡っての部員同士のラブコメ的展開にはそこまで強い興味がなかったり。いや、非常に面白いしドキドキもするんですけど、ネタキャラ的要素が強かった理科や幸村をなぜあそこまで普通にデレさせる必要があったのかが疑問なんですよね。こじれるだけじゃん!別にハーレムいらない!


・・・え~っと、不満をぶちまけるのはこれくらいにしておいて、ともかく10月からのテレビアニメ放送が非常に楽しみな作品の一つです。

アニメが始まったらできるだけ感想記事を書いて行きたいなぁと思っていますので、よろしくお願いします。