フォルチュニ、と言えば、プリーツドレスの巨人として有名なデザイナー。
もう何年も前ですが、仕事の一環でエイズで亡くなったばかりのティナ・チャウ(ティナ・ラッツ)が収集していた、素晴らしいフォルチュニプリーツコレクションを、とある企業のレセプションで見せていただいた事があり、
それからずっと憧れていたデザイナーでした。
今回、三菱一号館美術館でフォルチュニ展が開催されたので、さっそく見に行くことに。
プリーツドレス以外、あまり予備知識も先入観もなしに行ったのですが、コレが大正解!すごい展示だったのです!
フォルチュニは、スペインの有名な画家を父に、かのプラド美術館の館長を母の親族に持つ、美術界の超サラブレッドとして誕生。
最初は父と同じ画家として活動しますが、彼の天才的な才能は、それだけには収まりきれなかったのです!
10代のある日、ワグナーのオペラに魅了され、ワグナーのオペラの舞台美術、照明、衣裳、そのすべてを作製。
それでは飽き足らず、なんとワグナーオペラ用の劇場も設計してしまうのです!しかも、世界初の間接照明を使ったものを!
サラブレッド中のサラブレッドだから、才能と資金、コネクション、、なんでも出来ちゃう、すごい!!
スペインからパリに移り住み、そこで出会ったパリジェンヌの夫人と一緒に例のプリーツドレスを生み出すのですが、それはまだ後の話。
パリでは馬のフケのアレルギー(これは私と同じね)に悩まされ、海しかなく馬の通らないベネツィアに移住。
ここで、東洋から運ばれてきた美しい絹を手に入れ、それにプリーツ加工して糊で固めて「デルフォス」と呼ばれるドレスを夫人と共にデザインし、大ヒットとなるのです!
これは製法特許を取得!
ベネツィアに工房を作り、ベネツィアンガラスの小さな玉を裾や袖に付け、装飾と同時に重さを与える効果を狙っていたそうです。
しかし、今はプリーツの製法は分からなくなり、同じものを作るのはほぼ不可能とされているらしい。
100年前に作られたドレスは、シンプルで美しく女性の身体に沿うだけでなく、コルセットから解放し、
しかも、くるくると丸めて収納でき、かさばるドレスの運搬も小さな箱で簡単にでき、、
つまり、時代を先取りした素晴らしい発明品でもあったわけです!
また、フォルチュニは大変な新しもの好きで、次に夢中になったのは、写真機。世界で初めてカラー写真を撮ったのも彼なんですって!
美意識が高いから、写真も素晴らしい!
画家、舞台美術家、デザイナー、写真家、、すべてに才能を発揮!いいわあ!
こんなにすごい人なんて知らなかったので、大感激だったのでした。
展示されているプリーツドレスの多くは、共立女子大学蔵と、藤田真理子さん個人蔵。日本でもちゃんとコレクションされているんですね。
あー、ワグナーとの関係も含めて、あんまり感激したので、熱く語ってしまいましたぁー。
しかし、プリーツ、といえば三宅一生、プリーツプリーズ、、とどうしても考えてしまうのに、いっさいそこには触れられていない、、何故かしら?ちょっと不思議な、ザラッとした感じも残ったのでした。。
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