9月9日を境に、金谷の景色は完全に変わってしまった。

 

 

 

9月8日深夜、強い台風15号が上陸。

 

 

自室で照明を落とし、

横になっていたら、

ドドドド、ゴーッ

という風の音とともに

強い横揺れが始まった。

 

 

収まったかと思うと、

少しずつ強くなりながら

揺れは何度も繰り返した。

 

 

「これは寝台列車」

と、自分に言い聞かせている自分がいた。

 

 

窓の外が一瞬強く光り、

スマホの充電が止まった。

停電したんだな、と思った。

 

 

そのあとは、時折風の音で起きながら

途切れ途切れで眠った。

 

 

 

 

 

朝起きて、まず家を確認したところ

なんとか停電のみで済んでいた。

 

 

「他のとこは大丈夫だったのかな?」

と思いながら

外に出ると、

家のまえの電柱が傾いていた。

 

 

そのまま歩いていくと、

踏切が壊れて

警笛が

異常な音を立てていた。

 

 

いつも作業している「まるも」に行くと

集中スペースのガラスが見事に割れて、

コンクリのブロックで抑えていた

シャッターがめくれて無くなっていた。

 

 

友達の家は

屋根ごと消えて

部屋から青空が広がっていた。

 

 

歴史ある古民家カフェ「えどもんず」は

吹き飛んだ屋根が道に散らばって

完全に道を塞いでいた。

 

左奥の電線がポッキリ折れている。

 

 

金谷の重要文化財的な存在だった。

 

 

一部は、電線に引っかかっていた。

 

 

アジフライで有名な

さすけ食堂は

看板が大きく曲がっている。

 

 

 

 

セブンイレブンは

パンやおにぎり、2Lの飲み物が

全て売り切れ、

停電した店内に

残り少ない食料を買い求める人の列ができ、

店員さんが

手計算でお会計をしていた。

 

 

並んでいるお客さんは

「木更津、君津はどこもコンビニが営業してない。

開けてくれてるだけでありがたいね」

「館山の方がやばいらしいよ」

といった話をしていた。

 

 

電車も高速も止まっているという情報もあった。

 

 

とにかく、

驚くような光景の連続だった。

 

 

 

 

THE FISHで

掃除を手伝った。

 

奥の建物がTHE FISH。金谷を代表する観光施設。

 

 

ガラス張りの、

海の見える素敵なレストラン

であった場所に行き、

 

 

足の踏み場もないほどのガラス片と、

泥まじりの海水を

20人ほどで淡々と片付けた。

 

(ここまで、充電ができなかったので写真がない。)

(ここまで貼ってあるのは台風後2日目以降のもの。)

 

 

車で来てる受講生が

車で携帯を充電させてくれて、

とてもありがたかった。

 

 

掃除がひと段落した後は、

まるもに戻って

スーパーからもらった大量のお魚を

みんなで焼いてパーティーをした。

 

みんなというのは

現在金谷で開催している

田舎フリーランス養成講座の受講生、

今回私も務めさせていただいている講師メンター&スタッフと、

その他のまるも会員の皆さん。

 

 

 

 

冷凍庫が止まったので

廃棄されることになったお魚を

もらってきたのだ。

 

 

「屋根なくなったとか、コメディだよね」

「魚でバーベキューって美味しいね」

「最後の晩餐って感じだね」

 

 

そんな感じの話題で笑って、

いなフリ生とまるもにいたメンバーで

たくさんのお魚を食べた。

 

 

 

水道はまだ使えたが、

断水の話が出ていると聞き、

ここにいるのは危ないなと感じた。

 

 

 

その後、作業でかいた汗を

水シャワーで流し、

 

 

夕方から夜にかけて、

みんなで

6時間くらいボードゲーム大会をした。

 

 

暗くなってきたら、

発光するものを持ってきて置いたり、

スマホの明かりの上に

水の入ったペットボトルを置いて

間接照明がわりにした。

 

 

笑って笑って、

死ぬほど楽しかった。

 

 

 

 

 

次の日、

体調を崩す人が出始めた。

 

 

連日35度以上の猛暑の中、

クーラーが使えないのが

かなりきつい。

 

 

そして、虫の息だった

携帯の電波が

完全に圏外になった。

(千葉県の非常用Wifiも金谷は圏外。)

 

 

 

セブンイレブンは物資が到着しない中、

12時〜15時まで

上限10人の入店制限をかけて営業。

 

 

店の外に

たくさん人が並んでいた。

 

 

信号は依然消えていて

車は譲り合いながら勝手に走っている状態。

信号とは何なのだろう。

 

 

 

 

フェリーが動き始めたので、

久里浜に行って

作業会をした。

 

フェリー乗り場の扉のガラスが割れて、シースルーになっている

 

 

 

私は次の日東京で

外せない用事があったので

次の日どうなるかわからない状況を考慮して

金谷に帰らず都内で前泊した。

 

 

私が都内に着いた頃、

金谷では、

いよいよ断水が始まった。

 

 

コミュニティの掲示板は

「宿がなかったら来てください」

「足に使ってください」

といった優しい書き込みであふれた。

 

 

東京は何事もなかったかのように

平和に時間が流れている。

 

 

宿泊場所であったかいお風呂に浸かった時、

言葉にならない幸せを感じた。

 

 

やっぱり災害になると

色々なことを

我慢することになるのだなあと思った。

 

 

 

 

 

 

 

私は東京で受講生の家に滞在していて、

この文章は東京のコワーキングスペースで書いている。

 

 

金谷のいなフリ生やまるも関係のメンバーは、

9割がたいすみ、都内や実家に避難したとのこと。

 

 

 

現在の金谷は

 

 

・停電、

・断水、

・電波圏外、

・電車が来ていない、

・物資の調達が困難、

 

 

といった状況なので、少なくとも電気が復旧するまでは

避難していた方が安全だ。

 

 

 

 

木更津などの電気の復旧は

13日以降になる見通しと

先日東京電力から発表があった。

 

 

金谷は週明けくらいに

復活するのではという声もあるが、

11日に完全復旧するという発表があった時点で

そもそもあてにならないと私は思う。

 

 

(11日時点で、26200軒の復旧計画があったが、

実績は0軒)

 

(現在は佐貫町まで電気が復旧しているとのこと)

 


あちこちで電線が折れたり、

切れた電線がぶら下がっている状況なので

1ヶ月くらいかかっても全然おかしくない。
 

 

9月20日までを予定している

今回のいなフリが今後どうなるのか、

 

 

金谷のライフラインの

復旧がいつになるのか、

今は全くわからない。

 

 

 

 

 

私は、金谷の町が

みるみる復興を遂げ、

繁栄し、

みんなが豊かさと幸せを感じて

笑顔であることを望む。

 

 

 

 

必ず元に戻れると信じて、

今は生き延びながら

できる限りのことを

やっていくつもりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

COKO

 

 

※本記事の文章、写真の無断転載を禁じます。

 

 

 

 

追記:

この記事を下書きに保存してから、以下のようなツイートがありました。
https://twitter.com/officialtepco/status/1172091351522918400?s=21

 

 

早く復旧するといいな...!