はい今度はスズナリ | 板倉佳司の日々雑感

はい今度はスズナリ


昨日下北沢スズナリにて燐光群『ワールド・トレード・センター』観劇。
お前一体どうしたの?って言われそうですが・・はい観劇続いてます。
東京公演千秋楽一日前の公演は満員で補助席を使用しても客入れが間に合わず、時間15分程押しての開演となった。
客入れの最中、会場にはあの9・11のあの日のニューヨークの雑踏の音らしき効果音が流れている。交通整理をする警察官のホイッスルの音やサイレンや車のエンジンを吹かす音等等・・。それはスズナリに隣接する通りの雑踏とリンクして、それもおそらく演出の
意図しているものなのだろうな・・などと考えながら開演を待った。

2001.9.11のあの日のニューヨークに在住する日本語新聞の編集室の長い長い一日を描いた大変大胆でかつ繊細な一幕の芝居は、期待以上に良かった。
私は不覚にも少なくとも3回は泣いてしまった。それは悲壮とか哀悼とかというものだけでは括れない・・何か、この芝居を作った全ての人々に感謝したい気持ちからくる喜びとも言って良いかもしれない、何かこう・・不思議な暖かい涙だった。

もう10年も前、某青山円形劇場で・・カッコーの巣がどうしたこうしたっていう・・精神病患者逹の芝居を我々がやったときに、その芝居を観てくれた某青年座の大御所の役者さんが大変感動してくれて『俺は良い芝居を観ると色々な行動をしたくなるけど、今俺はこの芝居を演じたガッツあるお前ら全員と一緒に酒を飲みたいって強く強く思う・・で、これは俺の最大の賞賛の気持ちを表してると思ってくれ』と言うようなことを仰って頂いて、演出の栗田芳宏氏が本当に嬉しそうに我々にこの言葉を伝えていたのが思い出されたが。
今回私はその時の大御所さんと同じ気持ちでした僭越ながら・・。うん、旨く言えないけど・・。

当然、劇団形式でやっていれば色々とあるだろうけど・・でもなんていうのかな、その・・芝居を作る為の情熱を間違いなく・・例えばピントのハズし具合等も含めて・・出来る限り最上に緻密に全員がその上演に際しての“情熱”とかあるいは“使命感”を共有している(または“しようとしている”)っていうのが良くわかる・・。
そして、その視点を・・何処か安寧とするような気がしてしまう部分に置くということに逃げていない・・。そして何というかこう、確固とした主張を客席に敢えて投げかけないところにかえってものすごい主張がある・・と感じさせてしまうどこかフラットでもありクールで且つ非常に繊細で品位のある雰囲気等が誠に芳しく・・。
そして、ラスト『I love You・・』という、芝居のラストにはもうさんざん使い古されたような言葉であえて幕を閉じさせる・・。事にも敢えて挑戦?
で、やはりそこに最大のメッセージを込めている・・のか?。うむうむ・・素敵でした。次回以降も益々愉しみです。というか多分これは再演するんじゃ?
ベテランの皆様が良い味でした。編集長役の俳優さん良かったよ。
で、若手さんの技量云々を差し引いても“劇団の芝居”というものの、これもあるひとつの完成形でもあるかな?という気も又しました。当然ながら“本”も素晴らしく・・。大変素晴らしい良い芝居でした。

東京公演は今日で終わりだけど、小田急線新百合ヶ丘に新しく出来た川崎市アートセンターにあるアルテリオ小劇場という劇場で11月29日~12月2日まで上演するとの事なので皆様是非。おすすめです。ことに、あの事件のすぐ後・・どうしてもじっとしていられずニューヨークの現場まで飛んでいってしまったKB3・・あんたには是非観て欲しい。おすすめだ。

今週~来週と“劇団”の芝居が続く予定です。楽しみです。

マイクル・コナリー『終結者たち』読了。要するに今回はボッシュ自身があまり描かれていなかったのがちょと不満。事件先行なヒラリー・ウオー的な地道なオーソドックスな捜査小説風で・・それはそれで結構でしたが。でも、古沢さん翻訳が・・前々から気にはなっていた部分なんだけど、現代の日本的な言い回しを多様するようになってきている為か(とくに会話の部分とかね・・)、なんかボッシュに年齢相応の深みが感じられなくなってしまって来ているような・・。
やはり菊池光氏又や田口さんや小鷹信光氏とまでは言わずとも大久保寛等に比べたらちと酷なの?それでもラストの一行で見事に胸が一杯に・・。次回に超期待します。古沢さん是非・・お願いいたします。
クラムリー新刊発売まで間、ペンズラーのアンソロジーで彼の『メキシコの雌ブタと山賊』短編読み返して待機・・。

今日は朝早くうちの6フィートギター坊主が長崎へ就学旅行に出発しました。奴にとってはなんと初飛行機です。どんな顔をして飛び立ったのか・・想像すると何度も笑えます。