久々の記事アップ。

 

コインはすっかり高くなり、20年以上前からコロナ禍前までの価格推移が頭に染み付いている私としては、すっかり手が出しづらくなった。

 

そして、何気に美術品を漁っているうちに絵画に目が止まった。

 

私の会社には80歳手前の嘱託の方がおられ、その方は自身で油彩画を描くほどの美術通だ。

以前、美大の教授から直接指導を受けたとも語っていた。

 

先日、その方と話していたら、私のコレクションの話題になり、とりわけ画家の話で盛り上がった。

 

やはり、話題の中心は小林和作だった。

大胆な色使いとタッチは写実的なものにはない魅力に溢れている。

 

欧州の有名どころの画家では、ゴッホに近い印象か。

 

近頃そんな小林和作の絵画との出会いがあった。

小林和作の"梨の花"。

 

尾道の梨園の風景を描いた変形12号の大作だ。

 

 

私は小林画伯をはじめ、絵画を持っている画家の作品集(画集)を可能な限り入手することにしている。

 

出版から年月が経ったものが多い上、限定800部とかで、しかも定価は40年以上前ですら30,000円を下らないことが多い。

そんな稀少画集でも、ネットオークションや専門書ばかりを扱う古書店で稀に見かけることがある。

 

定価の10分の1程度で買えることも珍しくない。

 

こうした画集は、稀少であるが、その分いい紙と高い印刷技術を用いているため、そんじょそこらの美術雑誌の掲載写真とは次元が違う。

 

私の見立てでは、いい画集とそうでない画集との境界線は定価で15,000円程度だと感じている。

 

私がこうまでして画集にこだわるのはなぜか。

それは、掲載されている絵画を鑑賞したいことに加え、その画家の他の作品に興味があること、あとはその画家の絵画の特徴を深く知るためである。

 

そうすることで、ネットオークションでサインのない本物を見分けやすくなるのだ。

 

さて、小林和作の代表的な画集、"天地豊麗"(1974年出版)を見てみる。

 

 

その中に、今回私が入手した絵画が大きな写真とともに紹介されていた。

 

画題は"島の春"となっているが、私が今回入手したものと細部に至るまで完全一致している。

 

 

近代日本美術界の重鎮である小林和作の代表的な作品集に掲載されている現物を入手するのは奇跡に近い。

コインに置き換えれば、PCGSの掲載現品を入手するよりもはるかに困難だろう。

 

なぜなら、作品集や画集に掲載されているものはその画家の代表作であるからだ。

 

こうした代表作は、美術館か遺族が持つものも多く、それゆえ撮影や編集が可能なのだとも考えられる。

そして、画家自身が思い入れのある絵画であることも手伝い、ネットオークションで見かけることなどありえないのではないか。

 

 

小林和作の号単価は、最新のもので110万円であり、こちらは変形とはいえ12号なので、単純計算で1,000万円オーバーとなる。

 

小林画伯の代表作なので、画廊ではこの価格帯で取引されていた可能性が高いだろう。

 

とんでもないものを入手してしまったものだ。

現時点での人気はモダンアートであると考えられている。

そのため、このような油彩画の価値はここ数十年では最も低水準であり、これ以上下がることは考えにくい。

 

昔の価値を知る人は、例えばこの絵画の私の購入価格を知れば、あまりの安さにきっと度肝を抜かれるだろう。

 

そうした視点からも、絵画には相場が存在し、趣味と投資と資産保全を兼ねることのできるポテンシャルは十分にあると考えている。