ひとりでは絶対に来てはいけない、と何度も念を押された誰もいない海。
波が高いからとか、足をすくわれるとか、地震による津波とか(これはどの海でもそうだから論外ですね)、そんな理由だったら「それはそうですね」と言って終わる話だった。
AIがあたりまえの21世紀に、盲点があるとしたらこういうところかもしれない。
助けてと叫んでも波の音が絶叫を優雅にかき消し、いや、叫ぶまえに意識を失わすための手だてなど、いくらでもあるだろう。
人攫い。
これはグリム童話でもなんでもない。
まだなにも終わってない現実なのだ。
 
 
この方向にかの国はある

 

エイプリル・フールも透けてしまふみづ   漕戸 もり