作業員も通行人も、だれもかれもがその先をあおぐ。
朝、傍を通り、夜帰るときには跡形もなく、一体あれは何処へ向かっていたのだろう。
おおうい。おおうううい。
振り向いて欲しいのではない。気分はどう、と尋ねているのだ。
冷たいクレーンの先端に、世界の中心がある。
 
「ねえぼくたちに未来はあるの」「さてどうかな」

 

まるでもう豆乳の寂しさだつた激しいあとの冬の晴れ間は

漕戸 もり