詩人にも俳人にも歌人にもひたりと当てはまる、ばななさんの言葉のなかからもうひとつだけ記しておこう,の第二弾。

※以下引用

 

 

養うものを持つ。

植物でも、犬でも、車でも、金のない仲間でもいい。

自分だけだとどんどん視野が狭くなるしケチになる。

 

       小説家としての生き方100箇条 吉本ばなな  より引用

 

 

持つ,ということを考えるとき、

すごく欲しくて持っている、そこまでじゃないけれど欲しくて持っている、なんとなく持っている、とりあえず持っている、面倒だけど持っている、持つしかなくて持っている、ほとほと嫌で持っている、

なんとなく持っていない、必要がなくて持っていない、いらないから持っていない、そして、欲しくても持てない、ということをいつも頭のどこかに置いている。

どんな状況であれ持っているひとと持てないというひとが、じぶんやお互いを語りあうとき(ここに友好的な譲渡関係が生まれるようなケースは除いて)たいてい、殺人をしていないのに殺人者のきもちがわかるわけない,というような論理で話がすすむので、表明的にはおだやかなまでも交わることは限りなく難しい。

事実このようなことで,疎遠になってしまったひともたくさんいる。

というか。

持つか持たないかを互いに意識しあうときに、関係は決裂するのかもしれない。

いきものも国も水や土や宇宙も。

 

そんななか養うものを持つことは、罪のないひとが毎秒傷ついている毎日に淡く希望に繋がっている気がする。

養うもの。

それがないとケチになります。

 

 
 
爪は皮膚あんかうへ刺し込みやすし    漕戸 もり
 
 
爪のためせっせとカルシウムを摂っていると言うと、ネイリストから爪は骨ではなくて皮膚だからタンパク質を摂るように教えられた暖秋。