焼肉に軟骨は欠かせないくせに、牛の軟骨を食べるのは初めてのこと。
ここのお店の軟骨は輪切り。
さっくり焼いてこりこりこりこりこりこりこりこり無口になって食べていると、お店のお母さんが「牛軟骨は弱火でじっくり焼いて焦げ目をつけてぱりぱり食べるもの」と食べかたを教えてくれた。
 
優勝。
 
かりっと香ばしい軟骨は、ビールにぴったり合うおやつ。
光り輝くキムチの盛り合わせとともにハズレのない焼肉店だ。
お店を出ると隣のライブハウスのステージがちょうどはねたところで、狭い路地に人溜りができていた。
そういえば、ライブハウスなんてもう何年行っていないだろう。
2020年春以降、狭くて窓のない場所へどうしても足が向かない。
些細なことにみえるけれど、実はこんなつまらないことが、ひとはもちろん動物や植物への愛しかたを変えてしまったような気がしている。
あれからずっと。
これからずっと。
 
白い歯をあぶらで濡らし齧る骨したいとおもふ心重たし
漕戸 もり
 
 
焼肉店って欲望という名の電車。