DIY熱が高まった知人がとうとう作業部屋を作ってしまった。
こじんまりとしたスペースに、道具は磨かれ、整理整頓され、行儀よく並んでいる。
それはまるで芸術だった。
よく喋り、飲み、体が多少傷んでも煙草をやめない頑固者で、差別用語も平気でのたまう危なげなところも持ち合わせているので、ラグジュアリーでお淑やかで、尚且つ品位を重んじたり、フェミニズムを自称するような貴兄には、ちょっと相容れないかもしれない人物だけど、いつのまにか何十年の付き合いになってしまった。
この作業部屋を見せて貰って、ああわたしは彼のこういうところをちゃんと感じていたんだなぁ、としみじみしてしまった。
離れてゆくひともたくさんいるけれど、不思議と彼のまわりには人が絶えない。
その人たちのひとりになれたことが、とても嬉しいような照れくさいような秋の一日。
たましいをこぼさぬかたちの木の椅子へわたしの甘い体温を置く
漕戸 もり
手づくりの木の椅子。
温かい椅子。
