送別会。
送られるひとから、名駅周辺のお店でというリクエストがあったので場所は名古屋駅桜通り沿い。
それでも幹事の特権で、国際センター駅に限りなく寄せた店にさせてもらう。
 
名駅では、仕事はすれどよっぽどのことがない限り飲食をしないと決めている。
サービスも味もそこそこに2時間ほど(時には90分なんてこともある)で追い出される。
そのうえのべつ幕なし混んでいるから、酒に酔う前に人に酔う。
そろそろラストオーダー間近かという22時過ぎにでも、玄関先でつぎのお客が控えているのだ。
いったいひと晩で何回転させるつもりなのだろう。
この日も、国際センターに近いとはいえ、店が名駅から徒歩5分の<名駅店>とうたっているとおり、名駅の慣習に則ってきっかり時間でお勘定となった。
飲み足りないし、なによりも話足りない。
時間は22時30分。

いちいち確認しなくても、全員一致で「もう一杯くらい行きましょう」という心もちに、路面店を冷やかしながら歩くけれど、席が空いている店は一軒もない。

救世主のような磯丸水産を見つけて駆け寄ったら「すみませ~ん。ただいま満席です」とあしらわれてしまった。
 
マジか。
 
これでまた名古屋駅は通過駅の感を強くして、歩き疲れてすっかり醒めてしまった酔いを、すでに懐かしくおもいながら、それぞれの家路につながる交通機関の方向へぱらぱらと散ってゆくのだった。
 
インバウンドで海外からのお客様も多くなるだろう。
新栄や高岳、御器所や八事、上小田井や浄心。
やっぱり<庭>でのんびりするのが最高のしあわせなのである。
 
 
還暦で乗り換えるバスの速度より席の硬さと甘い酔い止め
               漕戸 もり
 
 
ネクタイをゆるめるときネクタイは見ないんだなぁ。
38年という歴史というか、毎日の夕焼みたいなものだ。