たいせつなひとがたいせつなわたしたちに毎月送ってくれているくだもの。
届いたばかりの箱を開けるとき、顔の表皮が年齢に関係なくピンと張っているのがよくわかる。
オノマトペで言えばワクワク、ドキドキが止まらない。
そんな気もちになれるのは、おとなになればなるほど減ってゆくから、抱くようにそっとテーブルの上に届いたものを置くと、段ボールにすら傷つけないよう慈しみながらそぉっと開く。
え?
おもわず蓋をして閉じてから、またゆっくりと開けてみた。
山形の白桃がちいさな箱に無造作に詰められ押しつぶされている。
そのうえ殆どが深い傷を負っており、瀕死の状態だった。
白桃はもう手の施しようがないから仕方がないとして、
贈り主であるたいせつなひとのことをおもっていたら心が折れてしまった。
決して安くない費用を捻出していることを知っているので「無理しなくていいです」と遠慮したこともあるのだけど、パンフレットを見てなにを届けたらあなたたちが喜ぶだろうって考えている時間が楽しみなのよ、と勿体ないことばが返ってきた。
悲しい。
ほんとうに悲しいです。
ふさわしいことばをさがすなりたての秋の暑さにこゑを濡らして
漕戸 もり
